店舗の火災保険は意外と使えない|内容確認が重要です
- 2019.08.09
- ファイナンシャルプランナー(FP) 損害保険 火災保険
Contents
店舗の火災保険は意外と使えない|内容確認が重要です
これは私自身も何度も経験をしたのですが、店舗向けの火災保険は意外と保険の支払い対象外になるケースが多いです。
このブログで家庭用の火災保険は本当に幅広く、
えっ??そんなのも支払われるの?もっと早く知っていればよかった。
と言われることが多いのですが、
店舗向け・・すなわち企業の火災保険は思ったより使える場面が少ないということに注意が必要です。
ただし対策はありますので、最後までお読みいただければとおもいます。
借家人賠償責任保険が最大の課題
借家人賠償責任保険(しゃっかにんばいしょうせきにんほけんと読みます)が家庭用の火災保険と店舗用の火災保険と大きく異なります。
借家人賠償とはどんな補償?
まずは普通の火災保険の内容を理解
主に賃貸で建物を借りる人が大家のために入る保険だと思ってください。
まずは賃貸アパートを例に考えてもらうとわかりやすいです。
通常自分で家を購入した時には火災保険に入ります。火事で自分の家が全焼してしまった時に、火災保険に入っていなかったらどうなりますか?
まず住む家がなくなります。
そして次に住む家がないのでまた家を購入するか、賃貸アパートに引っ越しをして住む場所を確保しなければなりません。
これをしなければ住むところがなくなります。
さらに家をローンで購入したような場合、家がなくなり、ローンだけが残ります。
それが困るので火災保険に加入をして、全焼したら保険金が受け取れるようにしておけば再度家を買いなおしたり、住宅ローン返済をすませて家は無いわ住宅ローンは残るわ・・という状態を解消できるわけです。
その他にも自宅用火災保険では補償の内容によって水漏れ、(給排水の穴あき(ピンホール))、漏電、凍結による損害など、支払いの要件は火事だけでもありませんし、全焼や全壊しなくてもお支払いします。
と、ここまでは普通の火災保険のお話でした。
借家人賠償責任保険は建物を借りているときのための保険
通常の火災保険は建物が自分の持ち物であるときの保険です。
借家人賠償とは漢字で難しそうですが、よくよくこの漢字を分解して見てみると
借りる、家、人、の賠償責任保険。
ということです。
具体的に言うと、賃貸アパートを借りて住んでいる状態を想像してください。
アパートを借りているので部屋は自分のものではありません。ここが先ほどの火災保険とは違うところです。先ほどは建物が自分の持ち物だったからです。
では自分の持ち物ではない、アパートの部屋に損害を与えてしまったらどうなるんでしょうか?
大家さんや管理会社から修理代を請求されますよね。
ということで、賃貸アパート、マンションもそうなのですが、賃貸の場合は建物に損害を与えたら、
「弁償」・・すなわち「賠償責任」が発生します。
賠償責任は、火災保険では支払われません。
ということで賃貸アパートの場合は火災保険だけではなく、賠償責任保険に加入する必要があります。
そこで出てくるのが
借家人賠償責任保険です。
この借家人賠償責任保険は火災保険の特約でしかつけることができません。
比較的、家庭用の火災保険の特約についている借家人賠償責任保険は万能に対応してくれます。
あまり気を持たせてもいけないのですが、
えっ!そんなことまで対応できるの?ということが多々ありますので、
賃貸物件で部屋に損害を与えたときはまず保険会社に相談してみることをお勧めします。
以下のブログの後半にトラブル事例の記載があります。参考にしてください。
店舗にも同様の特約があります
家庭用の住居だけでなく、店舗用にも火災保険というものは当然あります。
お店の建物が火災で焼けたりしたら困りますからね。
そしてこのお店の火災保険の特約にも借家人賠償保険というものがあります。
しかし、同じ名称の保険でも給付内容が異なるケースが散見されます。
家庭用の借家人賠償は何でもかんでも大丈夫とはいえませんが、比較的オールラウンドに損害を補償してくれます。
ところが店舗用の借家人賠償責任保険は、破裂・爆発を原因とした損害しか補償されない内容になっているケースがあります。
具体的にはこんなケースです。
店舗の店員が水を出しっぱなしにしてしまいました。水が溢れてフロアが水浸しになり壁や床を張り替えなければならなくなってしまいました。
大家さんからこの張り替え費用の請求が来たのですが、これは昔ながらの店舗の火災保険では支払われないことがあります。
通常の家庭用の火災保険なら、都度確認はしていただきたいですが、一般的には支払いになる内容だと思われます。
このように、家庭用の借家人賠償保険では支払われるはずの要件が店舗の同様の特約では支払われないケースがあります。
店舗用の借家人賠償は、
火災、爆発によって大家さんに対して弁償な必要な金額しか補償されません。
水漏れや大きな什器をぶつけて壁を破損させるなどうっかり破損させたというときは、補償されないので注意が必要です。
借家人賠償責任特約に、さらに特約をつけて範囲を広げれば、水漏れやうっかり事故などもカバーできる内容に変更することができます。
少々保険料は上昇しますが、実際にはこの借家人賠償責任保険をさらに特約で拡充したプランの方が現実的です。
お店の火災保険の中にある、借家人賠償責任保険がきちんと拡充したプランになっているか?を確認しましょう。
保険料が安ければ、というだけでよしとせず小さい事故でもカバーできる内容にしておかないと、10万、20万という事故でジワジワと店舗の利益を圧迫していきます。
店舗用の火災保険の風・雹(ひょう)・雪にも要注意
いまだにこちらは家庭用の火災保険でもまだ見受けられますが、
火災保険の補償範囲の中に風・雹・雪による損害も含まれるのですが、風・雹・雪で建物に損害を受けた場合は
20万をこえる損害にならないと支払われないという要件が付いていることがあります。
これは20万をこえれば支払われます。23万だったら3万だけ払うというわけではなく、20万を超えているので23万を支払います。20万を超えているかいないかが支払いのポイントになることがあります。
店舗の火災保険でもこの要件になっていることがありますので、
こちらももし気になる方は確認をしましょう。
店舗の火災保険も単なるお守りではない
家庭用の火災保険は単なるお守りではないのですが、店舗についても同様です。
大家さんが火災保険に加入しろというから加入したという人ももしかしたらいるかもしれません。
そのような理由で今まで何もなく、とくに内容も見直すこともなく継続しているような場合は、本当にいざというときに店舗の利益を思わぬところで圧迫してしまうので注意が必要です。
- 前の記事
保険会社は細かいグレーがたくさんあります 2019.08.08
- 次の記事
寡婦への年金|中高齢寡婦加算と経過的寡婦加算 2019.08.10