寡婦への年金|中高齢寡婦加算と経過的寡婦加算

寡婦への年金|中高齢寡婦加算と経過的寡婦加算

寡婦への年金|中高齢寡婦加算と経過的寡婦加算

老後2

遺族年金の続編になります。まず寡婦(かふ)の定義とは以下の通りです。

寡婦(かふ)とは、夫や妻が亡くなったとなどで再婚していない女性、夫のない独身の女性を意味する。 別名では、寡(やもめ)、女寡(おんなやもめ)、後家(ごけ)、未亡人(みぼうじん)などがある。寡〈やもめ〉という言葉は男女双方をさすことがあり、男性の場合は寡夫(かふ)、男寡(やもお、おとこやもめ)などという。

ウィキペディアを参考に筆者加筆

遺族年金を受け取れるということは寡婦に該当することになりますが、定義をよく見ると

再婚をしていない

というのがポイントです。

また、中高齢寡婦加算は

「寡夫」

は適用されません。

中高齢寡婦加算とは

遺族年金には、遺族基礎年金遺族厚生年金がありますが、遺族厚生年金の受給権があり、一定の要件を満たした者が遺族厚生年金に加えて受け取ることができます。

中高齢寡婦加算の金額は年額で585100円(2019年現在)です。

厚生年金に加入をしていた夫の妻は、ご主人に万が一のことがあった場合は遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を受け取ることができます。

ところが、遺族基礎年金の方は子供が18歳到達年度末日(障がい者は20歳未満)までが支給対象で、それを過ぎると遺族基礎年金は無くなり遺族厚生年金だけになってしまいます。

18歳到達年度末日とは??

学校と同じ考え方で、たとえは平成30年10月1日に18歳になったら、平成31年3月31日までが支給対象日になります。年度末日とは3月31日だと考えてください。

遺族基礎年金の代わり

その18歳到達年度末日に遺族基礎年金が支給停止となり、それに代わって中高齢寡婦加算が支給されることになります。

中高齢寡婦加算の支給要件

遺族基礎年金に変わって中高齢寡婦が受け取れるケースは

「妻」「夫」それぞれ要件があります。

妻の受給要件

①夫が亡くなった当時、40歳以上65歳未満で子がいないこと

②40歳未満で、40歳に達した時点で子がおり遺族基礎年金を受け取っていた。ちなみにここでいう「子」とは前述の18歳到達年度末日(障がいの場合は20歳未満)までの子を指します。

夫の必要要件

①夫が厚生年金の被保険者であったこと

②被保険者期間の間の病気やケガで初診日から5年以内に亡くなった

③障害厚生年金、1級、2級の受給権者である。(亡くなる前にすでに障害年金を受け取っている状態であったと考えてください)

夫の必要要件の長期要件

夫が被保険者ではなくすでに老齢厚生年金の受給権者または、受給資格期間を満たしている場合は厚生年金の被保険者期間が20年以上あることが要件になります。

経過的寡婦加算

中高齢寡婦加算の妻の要件①にあるように、妻が65歳になると中高齢寡婦加算は支給停止となります。しかし、昭和31年4月1日以前に生まれた遺族厚生年金の受給者の妻は中高齢寡婦加算に変わって経過的寡婦加算に変わります。

支給額は「妻」の生年月日で異なってきます。

寡婦年金

pension

寡婦年金は第一号被保険者(個人事業主など)でご主人が一定期間保険料を納めていたにもかかわらず老齢基礎年金や障害基礎年金を受け取らずになくなった場合、「妻」が60歳から65歳になるまで支給されます。

ただし、「妻」が老齢基礎年金の繰り上げ支給を受けているときは支給されません。

寡婦年金の支給金額

なくなった夫が第一号被保険者であったときの被保険者期間で老齢基礎年金額を計算し、その金額の4分の3が「妻」に支給されます。

寡婦年金の受給要件

①亡くなった夫の第一号被保険者での期間が10年以上あること。

その期間は「保険料納付期間+保険料免除期間」も含めて10年あれば要件は満たしますが、第2号被保険者、第3号被保険者期間は含まれません。

②婚姻期間が10年以上であり、生計を維持されていたこと

亡くなった時の一時金

一時金の支給要件

①保険料納付済み期間の月数+保険料4分の1免除期間の月数×3/4+保険料半額免除期間×1/2+保険料4分の3免除期間×1/4の合計が36月以上

②老齢基礎年金または障害基礎年金を支給を受けずに亡くなったこと

上記の要件を満たした場合、

優先順位で配偶者、子、父母、孫、祖父、兄弟姉妹の順で一時金を受け取れる対象者になりますが、この中に遺族基礎年金を受け取れる人がいる場合、一時金は支給されません。

亡くなった日の翌日か2年経過すると時効となり請求することができません。

寡婦年金と一時金の受給要件を両方満たす場合はどちらか一方を選択します。

一時金の支給額

保険料納付期間一時金の額
36か月から180カ月未満120,000円
180カ月~240カ月未満145,000円
240カ月~300カ月未満170,000円
300カ月~360カ月未満220,000円
360カ月~420カ月未満270,000円
420カ月以上320,000円

毎月の保険料に加え付加保険料(毎月400円)を納付した期間が3年以上ある人は8500円が加算されます。

寡婦年金と一時金は有利な方を選択する

実務では寡婦年金と一時金の有利な方を選択するようにアドバイスをします。

また、老齢厚生年金を前倒しで受け取る場合は寡婦年金年金よりも少ない場合があります。この場合も有利な方を選択する余地がありますので、注意が必要です。