老後2000万不足は楽観論です。老後の「自助努力」に怒っている場合ではない

老後2000万不足は楽観論です。老後の「自助努力」に怒っている場合ではない

老後2000万不足は楽観論です。老後の「自助努力」に怒っている場合ではない

金融庁が公表した「高齢社会における資産形成・管理」報告書案の波紋がいまだに広がっています。

その後国会で野党が追及し、老後の不安をあおるような雑な試算だった。

のようなコメントを自民党はしていますがどのように感じましたか?

知っておいてほしいのは若干謝罪のような発言をしたものの、当初発言した95歳まで一般的な家庭で2000万が必要という事実が決して間違っているわけではないということです。

2000万円程度必要だということがウソだったわけではないですし、今後は超高齢化社会において人生の3歳支出である「教育資金」、「住宅資金」、「老後資金」に加え、「介護資金」というライフイベントが新たに加わる時代になってきていることは事実です。

2000万の貯蓄が無理だと騒いだところで、

貯金なしで老後を迎える自身はありますか?

いやいや老後貯蓄ゼロは極論でしょう。。

では貯蓄が500万だったらどう思いますか?

今住んでいる家が雨漏りなどをして、リフォームしたら一発で飛んで行ってしまう金額ですよ。

また両親が介護状態になったらどうしますか?

介護にかかる費用は80歳を過ぎると急激に増え始めます。

これについても金融庁は触れていました。

65歳以降は2000万が不足するというのはあくまでもモデルケースのお話です。ではどんな世帯がモデルケースなのかというと、サラリーマンのケースで、年収については金融庁は触れていませんでしたが、

おおよそ年収500万くらいで22歳から38年間ずっとサラリーマンとしてはたらいた場合のケースです

そして配偶者は専業主婦(夫)で扶養の範囲内という前提で行けば65歳以降は今の年金制度で行けば毎年22万円がうけとれるという試算になります。

夫婦で想定される生活費が夫婦2人で27万円で計算をすると、

受け取れる年金額22万円-生活費27万円=▲5万円

▲5万×12か月×30年間(65歳から95歳までの期間と仮定)=1800万

生活費以外にもいろいろあるからざっくりと2000万くらいは必要という計算です。

確かに雑といえば雑な計算なのですが、、、

この結果をみて

払った年金を返せ!払い損!という

文句を言う前に内容をよく見て自分なりに考えてみる必要があると思います。

サラリーマンの場合は年収によって受け取れる年金額が変わってきます。

年収が多ければ多いほど、現役時代に支払う厚生年金が多いので受け取れる年金も大きいという仕組みになっています。

2000万円不足というのは楽観的

年金2

官僚は基本庶民の感覚とはズレていますので、一般的な企業は年収500万くらいはあるだろう・・とおもっています。

しかし、実際どうでしょう。もしかするとこのような記事を見に来る方は意識が高いので、大黒柱の年収が500万を超えている方も多いかも知れません。

しかし地方の中小企業は400万から500万といったところです。

まして若くして、400万~500万という年収はもしかすると優良企業かもしれません。

サラリーマンは現役時代の年金の天引きが多い分、将来受け取れる年金も多いです。

個人事業主で第一号被保険者といって国民年金を支払っているケースであれば、40年間払い続けたとしても夫婦2人で約14万弱です。

ゆとりある生活したくないですか?

実は毎月の夫婦2人で27万円という生活費は必要最低限の生活費と言われています。生命保険文化センター(生活保障に関する調査(平成28年度版)によるとゆとりある老後生活費は実際は以下の表のようになっています。

平均では34.9万円です。

ゆとりある

私はゆとりなんてなくてもいい!という人もいるかもしれませんが、もう少しそのゆとりのある生活費とはどんなものかというのを深堀りしていくと以下のようになります。

ゆとりある明細

身内との付き合い、趣味、教養なども含まれています。

退職して65歳~今回の金融庁の資産の前提である、95歳まで30年。

旅行や趣味も行ってみたいですよね。もしかしたら子供が結婚する際に援助を求められることもあるかもしれません。介護費用なども子供に迷惑をかけたくない・・いろいろ考えると決してゆとりあるといいながらもいらない支出とは言えない項目もあると感じるのではないでしょうか?

毎月の生活費を35万で計算すると、

年金22万ー35万円=▲13万円

▲13万×12か月×30年=4680万円です。

95歳まで旅行や余裕資金なんていらないよ!という部分ももちろんありますが、そこまで細かく計算をするなら、自分の家庭の場合はどうなんだろうと個人が自分なりに計算をしていく必要があります。

年金の支給は65歳からです

年金3

もう一つ確認をしてほしいのが、現在の制度で行けば年金の支給は65歳からです。かなり雇用延長等が企業に浸透してきておりますが、役職定年などで55歳以降から年収が下がっていくことも現在は起きています。

サラリーマン退職の節目になるのは60歳ですが、60歳で仮に退職をしたとすると年金を受け取るまで5年間は無収入の期間が発生します。

ということは22万(生活費)×12か月×5年間=1320万

1320万がなにも収入がなければただ支出だけする期間が発生します。

2000万しか貯蓄がなければこの5年間であっという間に貯蓄はなくなります。

高齢者の就労支援はかなり国としても推進していますので、65歳以降も働いていくことはほぼ必須になっていく人はかなりの数になると思っています。

金融庁は今回は2000万不足は雑な計算ということで、謝罪のようなニュアンスを表明しておりましたが2000万不足というのはかなり甘めの試算だと思っています。

一概に2000万という言い方は個別の事情を加味していないので、雑な試算は確かです。しかし、実態をみると自助努力は2000万ではかなり心もとない老後を過ごすことになると私は考えています。

このことはいろいろな専門家が警鐘を鳴らしていました。

私は自助努力2000万はかなり楽観論だと思っています。

ただあまりにも個々の事情によってこの金額は差がでてくるため、一概に全員当てはまるわけでもありません。

今はいろいろな金融機関のサイトで自分で無料でライフプランを作成することができます。よくわからない人は保険会社の営業等がライフプランを無料で作成してくれます。

ご自身の目で確かめて、現状を知って対策を立てることはやはり必要です。

金融庁が示しているイデコや積立NISAを中心とした資産運用からスタートし、長期運用で老後資金を増やすのは必須と考えます。