生保各社の決算をみて終わっていると思う理由
- 2019.05.26
- ファイナンシャルプランナー(FP) 生命保険
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生保各社の決算をみて終わっていると思う理由
主要生命保険会社が31年3月期連結決算を発表
保険会社でいう売上高に相当する保険料収入は各保険会社おおむね良好だったようです。しかし、その内容を見てみると、保険料収入の伸びと利益の大半は、節税保険といわれる法人向け商品と外貨建て保険が生み出している傾向が各社見られます。
この流れ非常に危険だと私は感じています。
節税保険は販売自粛となったのはなぜ?
節税保険は企業の社長が、「本来は」自分が万が一のことがあったときに会社存続のために加入をする保険です。
特に中小企業の社長に万が一のことがあったときは、社長の顔や人間関係、信頼で銀行がお金を貸してくれたり取引先が存在している部分があるかもしれません。
そのような借り入れを返済するためや、当面社員の給料、取引先が減少してもやっていけるくらいの利益も確保しておきたいところです。
このような目的で社長は、自分の万が一のために保険に加入をするのが本来の目的です。
これならみなさんはそりゃそうだ。
と思うと思います。
そして細かい説明はさておきますが、この保険に加入をすると会社として節税効果があるのです。
社長が会社の万が一のために備えて入るのですから、企業の福利厚生費として扱われ、経費扱いになる。
そう考えれば、よく商談で利用した飲食店で社長が「それ経費にしておいて。」とか「経費で落ちる」という感覚と金額は違えど同じことです。
別に何も問題ないでしょ。
ところが、この節税保険は資産性があるのです。
この節税保険は解約すると、解約をした時期によって一定額が一旦会社にお金が入ってきます。
これを保険会社の営業はこう説明します。
「社長!頑張ってきた社長に自分退職金として用意しましょう!」
社長の万が一の時は、社員の当面の給料、銀行の借り入れ等をカバーするためのお金になりますし、何もなければ解約すれば退職金として扱えばオトクに受け取れますよ!
これはまだよい説明です。
ちなみに私の知っている社員は
「節税になりますよ!」
以上。
その仕組みや受け取り方については何の説明もしていません。
適切な説明をうけて、金額も無理のないものであればこの節税保険はなんだかイメージが悪いですがとっても優れた金融商品です。
ここまではまだよかったんです。。
節税商品ブームが到来
昔からの大手国内生命保険会社は、正直個人向けの保険は内容が悪く売り物がありません。
マイナス金利が導入され、安全だし銀行に預けておくよりはマシだよという積立型の商品も、マシではなくなってきてしまいました。
もはや国内生命保険会社に売り物なし。。そこで目を付けたのが節税保険と後述する外貨建て保険です。
節税保険は加入をするのは社長ですし、保険金額も支払う保険料も高額になります。一発決まれば、その保険営業に数百万が入ることも珍しくありません。
売り物が無くなった大手国内生保は、相次い社長に対して魅力的な商品を開発し始めました。
年齢によっては払った金額よりも多く戻ってくる。加入をして3年や4年くらいで払った金額よりも多くなったりもする摩訶不思議な保険が生まれました。
この保険のもっと不思議なところは、さらに一定期間すぎると解約した時に戻ってくるお金が急速に減っていくのです。
ということは、払った金額よりも多くなっているうちにやめてお金受け取ってしまいましょう!社長!!
社長「これもらったお金どうすんの?へんに会社にお金が入ってきても税金で持っていかれちゃうよ。。」
保険担当「その時は社用車でも買うときの足しにすればいいんですよーー」
この節税保険を解約した時のお金の使い道について、各保険会社の営業に問い合わせをしたところ明確な答えは誰一人答えられませんでした。
細かい説明は割愛しますが、社長が引退するときにこのお金を受け取ることで節税保険は大きなメリットがあるのです。
さらにこの節税保険の本来の目的は何だったでしょうか、、当面の社員の給料や、会社の借入金の返済など会社の万が一のためだったはず。
そして社長の退職金だったはずです。
加入をして、3、4年で解約をして会社にお金が入ってくる。確かにこの期間に万が一のことがあれば会社としての備えにはなっています。
しかし各国内生保が、元本に対して解約すると戻ってくるお金を一覧表にして、ウチがは元本に対して110%です!あそこは109%だからウチにしてください!
あそこは元本に対して戻ってくるお金が115%で、ウチは110%しか戻ってこないんですけど私の顔をたてて、なんとか社長お願いできませんか??
もはや保険としての機能はどこへ行ってしまったのか?
保険会社と行う社内会議は本当にウンザリします。
●●社長や役員の身辺の息子、娘を全て洗い出せ!後継者候補になる親族を調べてこい!
大体保険会社が仕事に関係のない話を持ち掛けているときは、あなたの人間関係を探っています。
いろいろ話をして、契約が終わったときに、または契約しなかったとしても
保険の営業はこういいます。
「そういえばお話の中で息子さんが、社会人になったばかりですよね?保険にはご加入ですか?紹介していただけませんか?」
「そういえば、社長、先日修行に言って戻ってくる予定の息子さんがいらっしゃるって言ってましたよね?紹介していただけませんか?」
などなど・・
あまり余計な身辺話をしない方が身のためです。
ちょっと話がそれましたが、全く保険の本来の目的を逸脱したこの販売方法についに・・
節税商品に金融庁が怒りの鉄槌!
そこへ金融庁が各保険会社に具体的に何と言ったかは省略しますが、
要するに
「オマエらええかげんにせえよ!」
ということで、各社は販売を自粛することになりました。
このやり取りはずっと続いてきました。
ずっと金融庁も指摘してきました。
ここ1~2年特に法人向けの保険が、過剰サービスになっておりついに金融庁が動き出したのです。
2019年の2月で節税保険は販売を自粛しています。
一部抵抗した会社もあるようですが、あっけなく撃沈。。
さて、いよいよ売り物が無くなった国内大手生保。
外資系保険会社や損保系保険会社には個人型の保険では全く歯が立ちません。
今やっているのは若いうちに・・(保険料が安いうちに)取り込んでしまおうという作戦です。一時期、若い人向けにちょっと軽いタッチのテレビCMを保険会社が出していましたが、一瞬で消えましたね。
この人たちが40歳、50歳となっていけば保険料が上昇していく商品のため、いずれ乗り換えられる運命にあります。
あとの頼みは外貨建て保険ということになります。
または外国の保険会社の買収です。
各保険会社の決算内容の詳細を見ていただくと、おそらく外貨建て保険、節税保険の販売拡大、海外保険会社の収益拡大。
これしかないことがお分かりいただけます。
国内の個人客の保険料収入で売り上げを伸ばしたという保険会社は皆無であることがお分かりいただけます。
ところが、いずれこの外貨建て保険も同じ道をたどることになるでしょう。
さらに保険会社は厳しい環境になっていきます。
銀行と同様、保険業も全く将来性はありません。
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