健康保険も高齢化により自助努力が必要になります|健康保険の2022年問題

健康保険も高齢化により自助努力が必要になります|健康保険の2022年問題

健康保険も高齢化により自助努力が必要になります|健康保険の2022年問題

私たちが病院に係った時、病院に支払う診察料や治療費などはすべて自分で負担しなくてよい仕組みになっています。

原則は3割負担。かかった医療費が10万円だったとしたら、3万円の自己負担で済みます。(年齢によって異なるケースもあります)

学生に至ってはこれも自治体によるのですが、18歳までは医療費は無償としている自治体もあります。

75歳以上は1割負担です。10万の医療費なら1万円の自己負担で済んでしまします。

これだけよい健康保険制度を用意している国はそうそうありません。

ところがよく考えてみてほしいのですが、私たちが3割負担で済んでいるからと言って、残りの7割は病院が割引してくれるわけではありません。

のこり7割は誰かが負担しているのです。そう、国です。

国もそうなのですが、私たちが給料から引かれたり、毎月収めている健康保険料がこの原資となっています。

健康保険料の負担が増えています

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この健康保険料、実はじわじわと毎年上昇しており、私たちが給料や直接払っている健康保険料の負担は増え続けています。

健康保険料が上昇する原因の代表的なもの

  • 高齢化で医療費を使う頻度の多い人が増えている
  • 高度でお金のかかる治療や薬が増えた
  • 子どもの医療費の無償化を導入する自治体が増えた

これだけの要件がそろっているのですから、健康保険料が今のままでは当然維持できるわけありません。

健康保険の医療費が増加するという点で、「増加率」という点で見れば子どもの医療費の伸びが1番大きいようです。

しかし、増加率は抜きにして健康保険の利用する金額で最も大きいのはやっぱり高齢者の医療費です。

一生涯の医療費の半分以上を65歳以上で使うといわれています。

ではこれから高齢化がますます進展したらどうなるんでしょうか?

それが健康保険にまつわる2022年問題です。

団塊の世代が75歳になり始める

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団塊の世代が75歳になり始めることで私たちの現役世代の健康保険の財政を圧迫しています。

どういうことがというと、75歳以降の後期高齢者医療保険制度と65歳~74歳の加入者が多い国民健康保険の医療費の負担は私たち現役世代が納めた健康保険料で賄っている部分が4割もあるのです。

この現役世代が高齢者の医療費を賄っている部分のことを「拠出金」といいます。この拠出金額は2017年に3兆5000億で、被保険者(健康保険を払っている人の総人数)で割ると、一人当たり、高齢者のために、年間21.5万円をつかっていることになります。

高齢者の医療費を支えるために、現役世代が負担したり給与天引きされた健康保険料が使われ、この負担はますます今後も増えるということです。

2022年から団塊の世代に入り、団塊の世代がすべて高齢者になるのは2025年と言われており、この年では拠出金は4兆5400億円になります、ということは高齢者に使っている医療費は年間21.5万どころではありませんね。

この保険料を負担するために、狙い撃ちされているのは大企業の健康保険組合です。そこそこ給料が高いので、年に1%や2%引かれても、気が付かない人たちが大半なのが大企業の人たちです。

だまって医療費を給料から値上がりしましたよーーといっていとも簡単に社員の給料から健康保険料が今までよりも高い金額差し引かれています。

はい、サラリーマンからは健康保険の保険料、給与から天引きなので、つらっと値上げをしやすいのです。

請求書に対して健康保険料を支払う形式の国民健康保険は、値上がりをするとわかりやすいので巷が騒ぎやすいのでここにメスをいれることができないのです。

大手企業が独自で運営している、健康保険の保険料率が10%を超えてしまえば、国が運営しており、国が補助金を出している協会けんぽの平均保険料率10%と同等になってしまうので、わざわざ企業独自の健康保険組合を作る必要はありません。すでに保険料率が10%を超えている組合数は2019年度302から、今後は601組合になるといわれています。

大手企業の独自の健康保険制度は解散をする企業が出てくることが予想されます。

健康保険制度を支える方法は2つ

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健康保険制度を維持する方法は2つしかない
  • 高齢者の自己負担の金額を増やす。(後期高齢者なら医療費の1割自己負担なら、今後は2割にする。。など
  • 健康保険料率をもっと上げる

健康保険も年金同様で今後は良くなる方向に進むことはありません。年金の2000万円不足問題同様、健康保険も保険会社の医療保険や共済などで医療費をカバーするなどの自助努力が必要になります。

将来を見越して、きちんと自助努力で備える行動をとるようにしましょう。