教育訓練給付制度が拡充されます
- 2019.07.28
- ファイナンシャルプランナー(FP) 年金、健康保険
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教育訓練給付制度が拡充されます
教育訓練制度とは雇用保険に加入している人(被保険者)が資格取得をしようとして費用を支出した場合、その一部を補助する制度を言います。現状10万が上限ですが、一部20万になり、要件によっては百万単位の給付額になることがあるので、知っておきたいところです。
教育訓練給付制度とはそもそもどういう制度か
雇用保険の中の、一般教育訓練給付金が教育訓練給付制度に該当します。
教育訓練給付制度は簡単にいうと以下の通りです。
※被保険者期間が通算して3年以上(初回利用の場合は通算して1年以上)ある者が、
厚生労働大臣の指定する教育訓練講座を受講する場合に
その受講費用の一部を支給される給付金です。
支給額は受講費用の20%相当額で上限は10万円です。
※被保険者というのは、雇用保険に加入している方のことを言います。
皆さんの手元の供与明細をみて、雇用保険の欄があってそこから給料が差し引かれたら雇用保険の加入者です。
この教育訓練給付を受けるためには雇用保険に加入している必要があります。
雇用保険に加入しているのはこんな人
以下のすべてに該当している人が雇用保険に加入の義務があります。
①勤務開始時から最低31日間は働く見込みがあること
31日以上働かないことが明らかな場合(短期の催事やイベント設営などの労働でありがち)以外はこれに該当します。
②1週間で20時間以上働いていること
一時的ではなく、定期的に1週間20時間以上働いていること。たまたま忙しくてその週だけ20時間以上働いたという場合は該当しません。
また、こちらも労働契約などで所定労働時間は20時間未満です。と記入されている場合は該当にはなりません。
※オーバーして働けば、残業という扱いになります。
③学生では無いこと
学生であったとしても、卒業した後に今働いている職場に引き続き勤務する予定で、勤務するだろうと認められる場合は加入対象者になります。
通信教育、夜間、定時制で扱いが異なってきますので確認が必要です。
③のケースでも当然勤務日数が前述の月に31日以上、週で20時間以上の要件は満たす必要があります。
特定一般教育訓練給付が新たに創設
一般教育訓練給付は前述しましたが費用の20%(上限10万円)になります。
2019年4月時点で約1万1700講座が対象となっています。
これが従来までの制度です。
特定一般教育訓練制度とは
2019年10月から創設される特定一般教育訓練制度とは現在とのような資格を対象とするかは検討中ですが、受講費用の4割(最大20万)まで給付するという制度です。
おおむね1年以内で取得可能な公的職業資格、難易度の高いIT資格などが対象となるようです。
専門実践教育訓練給付も拡充
いままでは比較的短期で取得可能な資格についての給付でしたが、
時間をかけて専門的な知識を身に着けていくような資格取得の給付金も実はありました。
それが専門実践教育訓練給付です。
看護師、介護福祉士、美容師、MBA、など約2400講座が対象になっています。
給付の期間は最長で3年、
給付の金額は費用の50%(上限は3年で120万円
さらも講座終了後1年以内に就職した場合は70%(上限3年で168万円)が追加で支給されます。
上記120万に最大で3年で48万上乗せされるという意味です。
これが従来までの制度です。
これからは従来最大3年分でしたが、4年コースも追加され、4年で160万が上限になり、1年以内に就職した場合は224万円に広がります。
対象講座は管理栄養士4年コースの講座は確定のようですが、今後は設立される4年間の専門職大学なども指定を受ける可能性があるようです。
教育訓練支援給付金との併用
上記と似て非なる制度ですが、教育訓練支援給付金という制度があります。
前述の専門実践教育訓練給付を受給できる方のうち、受講開始時に45歳未満で離職している場合など一定条件を満たす場合には、訓練受講をさらに支援するため、
教育訓練支援給付金
が支給されます。
これを併用することで、雇用保険の失業手当をの期限が切れた後、基本手当の8割を講座終了まで受給することができます。
大手企業が45歳未満の人をリストラしている動きが良く見受けられます。
富士通やコカコーラ等大手企業が45歳を基準にリストラをしていることをご存知でしょうか?
なぜ45歳なんだろう・・と疑問を持つ人も多いかもしれません。
なぜ45歳未満でリストラをしているのかというと、この教育訓練支援給付金を受ける余地を与えているためと考えられます。
資格のお金も全額ではありませんが補助してくれる上、会社都合で会社を辞めると雇用保険の基本手当はすぐに受け取れます。
自己都合退職になってしまうと3カ月の待期期間があります。
45歳を基準にリストラをすれば、会社都合での退職となり社員はこの専門実践教育訓練制度と教育訓練支援給付金を併用して、資格や専門学校の費用も補助を受けられ、その期間が過ぎればさらに雇用保険の基本手当に相当する金額を教育訓練が終了するまで受けることができます。
企業が45歳を基準にリストラをするのは、会社もリストラなんてしたくない!でも会社も人件費削減で大変だけど社員の将来を考慮したうえで、45歳を基準でのリストラというのはのある意味愛情ある措置なのかもしれません。
ちなみに専門実践教育訓練は2年以上、離職後しても離職1年以内なら利用可能。
また、出産や育児などで受講できなかった場合は離職後20年以内は対象になります。
今は1つの会社で終身雇用というのは難しい時代になってきています。
人生100年時代ともいわれており、年金だけで生活していくことが難しければ退職後も働き続けていく必要があります。
ところが、レジや仕分けのような単純作業はロボットに奪われてしまい、長く働くにしてもある程度スキルの高い仕事もが求められます。
ラクをしていてはうかうか長生きできない時代です。
常に学び続けるリカレント教育がとても大切だと私は常々言っているのですが、国としても、いままで説明してきたように手厚い制度を用意しています。
活用をして、自身の豊かな将来に役立てていただきたいと思います。
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