社会保険とは
- 2016.07.26
- ライフプラン FP 独学 ファイナンシャルプランナー
私たち日本人は健康保険料を払うことにより、医療費は基本的にはかかった費用の3割負担となり、年金保険料を払うことにより将来老後年金という形でお金を受け取ることができます。
ものすごくさかのぼると、この社会保険制度は憲法25条の生存権を実現するために存在しています。病気や高齢、障害、出産で急にお金がかかる人、何らかの事情で経済的に困窮している人等、すべての人が文化的社会の一員として、最低限度の生活を営む権利を持っているということで、一定の状態にある人を救済する制度として社会保険制度というものがあります。
このような制度を用意することで、社会的に弱い立場、困っている立場にいる人でも安心して暮らせるような生活を国民に提供できるよう社会保険制度というものが存在しています。
Contents
社会保険の種類
社会保険は以下の5つに分類することができます。
年金保険
総称して公的年金制度といいます
医療保険
総省して公的医療保険といいます。
介護保険
社会保険全体を広義の社会保険とよび、年金保険、医療保険、介護保険の3つを狭義の社会保険と呼ぶことがあります。
労災保険
労働者災害補償保険の略称で、業務上や通勤途上でケガをしたときの損失をカバーします。
雇用保険
この労災保険と雇用保険を労働保険といいいます。
狭義の社会保険と労働保険を合わせて広義の社会保険という表現をすることがあります。
社会保険の加入要件
社会保険の適用事業所
社会保険では、事業所単位で適用されます。
厚生年金や健康保険の適用を受ける事業所を適用事業所と言います。
法律で社会保険に加入しなければならない事業所を強制適用事業所、任意で加入する任意適用事業所があります。
1.強制適用事業所
・法人は社長、役員含め全ての事業所が加入をしなければなりません
・個人事業主の場合は従業員5人以上(農林水産、サービス業等は除く)
この2つが強制適用事業所として、社会保険に加入をしなければなりません。
2.任意適用事業所
任意適用事業所とは、強制適用事業所ではありませんが、日本年金機構(年金事務所)の認可を受け健康保険・厚生年金保険の適用となった事業所のことを言います。
任意適用事業所になるための要件
①事業所で働く半数以上の人が適用事業所となることに同意していること。
②事業主が申請をし、日本年金機構(年金事務所)の認可を受けること。
日本年金機構から認可を受けると適用事業所となることができ、一定の労働時間等を満たした人は全て加入することになります。
社会保険の加入者となる条件
健康保険と厚生年金は以下の両方を満たした時に加入者となることができます。
①または1週間の所定労働時間が、一般従業員のおおむね4分の3以上
②一か月の所定労働時間が、一般従業員のおおむね4分の3以上
労災保険は原則全員加入
労働保険(労災保険、雇用保険)は原則、役員を除き、法人事業所、個人事業所すべて加入しなければなりません。
雇用保険の加入要件
1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上引き続き雇用が見込まれるものは加入することになります。
平成28年10月以降~以下の要件をみたす短時間労働者は厚生年金・健康保険の加入対象になります。
①従業員が501人以上(特定適用事業所といいます)
②1週間の所定労働時間が20時間以上
③賃金の月額88000以上
④1年以上の雇用が見込まれる者
⑤学生でない者
平成29年4月~は従業員が500人以下でも短時間労働者は労働者と使用者が合意をすれば健康保険、厚生年金に加入できるようになりました。
社会保険制度は職業によって異なる
加入する社会保険制度は、職業などに応じて運用している期間や窓口が異なっています。
社会保険制度 | 窓口 | |
民間企業の会社員 | 厚生年金と国民年金 | 年金事務所 |
健康保険 | 全国健康保険協会の各支店、年金事務所、または各健康保険組合 | |
介護保険 | 市区町村役場 | |
労災保険 | 労働基準監督署 | |
雇用保険 | 公共職業安定所 | |
自営業者 | 国民年金 | 市区町村、年金事務所 |
国民健康保険 | 市区町村、各組合 | |
介護保険 | 市区町村 |
自営業者は雇用保険、労災保険の加入はありません。
(以下、実務のお話ですテストには出ません)
健康保険、厚生年金に加入をできるようになると、健康保険であれば病気で治療をしてもかかった費用の3割負担で原則住んだり、将来もらえる年金額が自営業や専業主婦の方よりも多くもらえます。
しかし専業主婦などは扶養という扱いを受ければご主人のお勤めしている会社がその奥様の分も健康保険、国民年金の金額を一部負担してくれます。
本来はもっと女性の社会進出を・・ということで健康保険や厚生年金に加入できる間口を広くしたはずなのに、うっかり要件に該当してしまうとご主人の会社で今までは負担してくれた健康保険の保険料や厚生年金の保険料を自分の給料から引かれてしまい、手取りが減ってしまうという現象が発生する人が現れました。
ますます短時間労働をするとくにパートの方は労働時間や賃金を超えないように調整するようになってしまっています。人手不足で働き口はたくさんあるのに、働きすぎると手取りが減るというイメージが広がってしまい、活用は広がっていません。
しかし、大きく考え方を変えてパートなんてこと言ってないでいっそのことバリバリ働いてしまえ!という人にとっては非常に将来的に大きな恩恵をもたらす制度と言えます。これはもっと勉強していくと理解できるようになるはずです。
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