FP(ファイナンシャルプランナー)の職業倫理と取り巻く関連法規

FP(ファイナンシャルプランナー)の職業倫理と取り巻く関連法規

FPは様々な金融商品(住宅ローンや保険商品、投資商品)を取り扱っている場合があります。

多くの企業の商品の中でも、特定の商品に偏らないアドバイスをできるかどうかはそのFPの倫理観にかかっています。それがFPの職業倫理です。

またFPは税や企業の福利厚生などの知識を持っているため、時に企業から、税務や法律問題、手続きなどについてもお任せする。という話になってしまうことがあります。

しかし、社労士や行政書士、弁護士、税理士といった専門家の分野でしか対応してはいけない業務もあり、その境界を越えてしまうと懲役や罰金等が課される場合があります。FPとそれを取り巻くさまざま士業の法律との関連を知っておくことは非常に重要です。

FPの職業倫理

①顧客利益の優先

常に顧客の利益を最優先しなければならない

保険の見直しが必要だと思ったら、保険商品を比較販売してお客様にあったプランを提案する。この保険会社、投資商品がキャンペーンで販売手数料が高いから、この商品しか紹介しない。。というようなことがあってはなりません。

②守秘義務の遵守

FPは顧客の収入、資産、負債などよほどのことでもない限りお客様は公開したくない情報を入手してライフプランを作成し、提案して、メンテナンスを行います。

その中で顧客情報などは極めて厳しく管理する必要もあり、顧客の同意を得ずに第三者に漏らしてはならないとされています。

③顧客に対する説明義務

FPは家計のホームドクター(医者)といわれます。医者は手術をする際に、手術の内容などを細かく説明し、手順やリスクなどを説明して承認を得てから手術をします。これをインフォームドコンセントといいます。

FPも同様で提案内容を十分説明し、相手の理解を確認しながら提案を進めていく。

医者の行うインフォームドコンセントと同様です。

FPと関連法規

FPの相談業務を受けているうちに、こんな相談があります。税務に詳しいんでしょ。確定申告やってくれない?どの保険がいいの?どの商品で運用したらいいの?

このようなケースでは実は確定申告に関しては税理士法に、保険や投資に関して個別の商品を紹介するには保険募集人や金融商品取引業の登録をしていなければ行うことができないのです。FPとして信頼されるといろいろな業務をお任せということが出てきます。しかし、それに対してほかの業種の領域を超える行為をしないように注意をする必要です。ですので他の専門家との連携が必要なのです。

具体的には以下のような関係が問われます

①税理士法とFP

税理士資格を持たないFPは個別、具体的な「税務代理行為」、「税務書類の作成」、「税務相談」を反復・継続して行うことを禁じています。これは営利目的や有償無償の有無を問いません。仮の事例や金額を用いた一般的な事例、税制の仕組みなどを説明する業務は税理士法違反にはならない。

②保険業法とFP

保険募集人の資格がなければ、保険の募集行為、勧誘行為をしてはならない。ただし一般的な保険商品の仕組みや活用例などを行うことは可能。

生命保険募集人や損害保険募集人、近年では少額短期保険募集人等の資格もあり、それぞれ登録が必要です。

③金融商品取引法とFP

金融商品取引業者の登録をしていないものが、個別の商品の販売、勧誘をしてはならない。

「投資助言・代理業」、「投資運用業」をすることはできません。内閣総理大臣の登録が必要になります。

金融商品取引業者の登録を受けていないFPは報酬を得て具体的な投資判断を顧客に対して提供することはできません。

すでに公表されている経済指標、景気動向など投資判断に必要な資料の提供を用いて説明することは可能ですが、そこから「そこで今はこの商品が・・」というのは金融商品取引業の登録を受けている必要があります。

投資助言・代理業とは

投資助言・代理業とは、投資についての相談を報酬を得て助言を受け取るという投資顧問契約をむすび、この契約に基づいて投資の助言を「業」として行うことを「投資助言・代理業」と言います。

投資運用業とは

投資一任契約を結び、この契約に基づいて金融商品を運用を「業」として行いことをいいます。

④弁護士法とFP

弁護士でないものは具体的な法律事件についての相談やアドバイスをしてはならないとされています。しかし、法律の条文の一般的な解説については可能。FP業務をしていると、相続の相談等を受けることがあります。一般的なケースとして返答をする場合は問題ありませんが、法律判断が必要となる場合や手続き代行などはしてはいけません。

⑤社会保険労務士とFP

社会保険に関する書類の作成、提出は社会保険労務士の独占業務となっている。公的年金額の計算などは可能。

⑥著作権法

他人の著作物は著作権者の承諾なしに勝手に利用することはできない。

私的目的であれば可能。法令、条例、通達、や国や地方公共団体が公表している資料は許可なく使用することが可能。

⑦FPと宅地建物取引業法

宅地または建物の売買、交換、貸借の代理・媒介を行う場合はFPの免許だけでなく、宅建士の免許が必要です。

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