現役世代の年金負担は世界一という件とその対策
- 2019.06.21
- ファイナンシャルプランナー(FP) 年金、健康保険
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現役世代の年金負担は世界一という件
日本の潜在成長率は1.8
国連経済社会局は、65歳以上の人口に対する25~64歳の人口の比率を示す潜在扶養率が2019年に1.8となりました。これを潜在扶養率といいます。
世界の平均は5となっています。
この潜在成長率は25歳~64歳というおもに収入を得ている年齢層(生産年齢層)との比率を表しているのがミソで、実質現役世代が何人分の年金で一人のお年寄りを賄っているかという数値になります。
年金加入者である生産年齢層の負担は、ますます負担が増してきています。
この1.8がどれくらいの水準なのかというと、
実は世界一
なんです。
世界で一番現役世代の負担が大きいということです。
ちなみに2位はフランスの2.4、3位はドイツの2.5なので日本はダントツで、なおかつ2.0を割っているのは日本だけなんです。
ただ今後は世界的な高齢化が進んでいくので、年金をはじめとした社会保障制度が今後維持できなくなりますよという警鐘を鳴らすためにこの潜在成長率を「国連の経済社会局が出しています。
日本の年金制度は世代間扶養といって、今私たちが払っている年金は将来の自分の年金のために積み立てているのではなく、今のお年寄りの年金に使われています。
少子高齢化となり、働く人口がどんどん減っていき、高齢者の比率が増えているので当然一人当たりの負担は大きくなります。
夫婦で一人の高齢者の年金を支えている
夫婦二人で生活していたとしたら、もれなく一人高齢者が家にいてその人の年金を支えているという計算になります。
この傾向は間違いなく今後も進んでいきます。
ということは、もっと少子高齢化が進んでいけば私たちの年金はさらに減ってしまうの??と不安になる方もいらっしゃるかもしれません。
そのうえ先日金融庁が発表した年金は自助努力&2000万円必要問題です。
この2000万円の問題については、じつはずっとわかっていたことなので起こっている人もいるようですが、実は何をいまさら・・という世界なのです。
ということはもし年金額が今後も減らされるようなことがあれば、この負担はさらに増えて行きます。
2000万円の問題が、おそらく金融庁がおもっている以上に炎上したので金額を減らすという選択肢はないと考えてよいと思います。
しかし、とはいえ今のままの制度を維持をしていくと年金制度が破綻してしまいます。
年金の支給開始年齢を遅らせる
では国は何をしていこうとしているのかというと、自助努力を国民に呼びかける。ということもありましたが、
年金の支給開始年齢を遅らせる選択肢を充実させようとしています。
現在は原則65歳から年金を受け取れるということになっていますが、実は年金を65歳から受け取らず遅らせると、本来もらえるはずだった年金額よりも多くもらえるという制度があります。
繰り下げ支給といいます。
具体的には1か月あたり、0.7%増額できます。最大で5年間繰り下げして、65歳ではなく70歳から受け取れるようにできるので、最大5年間×12か月×0.7%で最大42%年金額を増やすことができます。
ということは年間70万円年金でうけとれるという人がいれば、この人が年金受取の開始を70歳にすると70万×142%=約99万円
とものすごく増えるんです。国もこれをしてくださいと呼びかけています。
がしかし、、70歳にずらしたって動けなかったらお金もっててもしょうがないじゃん!!ということで、誰も使いません。
逆に65歳ではなく60歳から受け取れる繰り上げ支給という制度があり、ひと月あたり0.5%減るのですが先に受け取ることができます。
最大5年間で30%年金額が減ります。
先ほどの年間70万うけとれる人は受取額は年間49万に減少します。
結構下がりますね。
でも年金が減っても、もらえるうちにもらっておこうという選択肢をする方が増えているというのが現状なのです。。
ということは政府がやってほしくない方向に進んでいるので、年金財政はますます厳しい状況になっています。
年金の繰り上げ、繰り下げは人それぞれ
将来の年金も自助努力で用意するのは事実です。
そして、将来の年金を何歳から受け取ったらモトが取れる?という議論がよくニュースで見られるのですが、長生きすればするほど国の年金制度は有利ですし、退職後不幸があったりで、
最悪のケースはずっと年金は払ってきたのに受け取れないという人もいます。
人の命はコントロールはできませんからね。
60歳から受け取ってもいいのでしょうが、万が一長生きしてしまったら将来大変です。年金額を一度前倒しで受け取ったら、前述の例で行けば49万円をずっと受け取ることになり、止めることができません。
毎年ただでさえ少ない年金が、さらに減らされ、年金よりも生活費が上回る老後生活がずーーっと続きます。
ただ安易にいつ万が一のことがあるかわからないから早くもらえるものはもらった方がいいという考え方はあまりに稚拙で安易です。
マスコミやネットでは早くもらった方が有利。だとか損しないとか、払った分の年金のモトを取りたいという見出しが目を引くのでそのような表現をするだけです。
また、ヤフーニュースなどでコメントをする人も大変失礼ですが、知的レベルが高くない人たちです。
私自身が体験しているのですが、本当に今の仕事がうまくいかなくて心にゆとりがないときはお金の話とか、芸能人の自慢話とかが腹立たしくコメントにネガティブな意見を匿名なのをいいことに書いたりしていました。
でも生活が安定してくると、気にならなくなってきます。
ニュースの著者になぜかイラっとして、ネガティブコメントを書き込むようなこともなくなります。自分の気持ちの持ちよう?有りようなんですね。
裏を返せば苦しい生活をしているなら、自分でなんとか方法を考えて抜け出すしかありません。
簡単ではありませんが、淡々と時間をかけて努力をしていけばお金がなくたって収入を増やすことは可能です。
話はそれましたが、ネットなどの場で意見をするとネガティブコメントに押しつぶされていやな思いをするので、実は繰り下げ支給の方がいいと思っている人も多くいます。
その方が長生きしても安心だからです。60歳ないし、65歳以降も体が動くうちに70歳までなるべく働いて年金の支給額を増やし、そこまで引っ張ると生活費よりももらえる年金額が増える世帯も出てきます。
老後のお金で貯蓄ができてしまいます。
政府も実はこのようにしてほしいと思っています。
私は政治家の思い通りにはなりたくない。ダマされない?と言っているだけで、自分の場合はどうなんだろうか?と全く試算をしていないのは本当に無知だと思っています。
現役世代のうちに対策を
繰り上げ支給がよいのか、繰り下げ支給はいいのかは現役時代の早いタイミングで考えておくべきです。
自分の今の職業やキャリアを加味して、何歳まで働けるか?
果たして今の仕事が10年後、20年後まで存在するか?もしあまり将来性がなければどんなキャリアを積んでおかなければならないのか?技術を身に着けておかなければいけないのか?
また、夫婦のどちらかが大黒柱のような場合は、子育てが終わった後2馬力で働くか?または子育てを強力しつつ2馬力(共働きという意味です)で働くか?
子育てをしながら夫婦で働くスタイルも実は意外と多いです。
このスタイルはかなり将来安泰な家計になります。
もし年金が不足するようなら、貯蓄や資産運用、副業なども検討するべきですし、
微妙に足りないよ、毎月あと1万、2万あれば大丈夫というシュミレーションになれば、安易ですけど老後、軽作業等をすれば済むレベルです。
ただ労働収入は今後無くなっていく可能性がありますので、できればネットを使った副業をスタートすることをお勧めします。
しかも最初は毎月1万、2万を目標にやっていたけど、ながくやっていればそれなりにスキルも経験も積み重なり収入も増えて行きます。
年金制度は今よりは確実に悪くなります。そして少子高齢化の流れはもはや止まりません。
時代に合わせて将来どのように収入に困らないようにしないと、国が助けてくれるわけではないのです。
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