投資初心者向け、なぜFRBの利下げで騒いでいるのか?
- 2019.06.20
- ファイナンシャルプランナー(FP) 資産運用
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投資初心者向け、なぜFRBの利下げで騒いでいるのか?
2019年6月中旬、米連邦準備理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)でFF金利(フェデラルファンド金利)を据え置くことになりました。
資産運用の経験がある程度長い人は、実はこのFOMCのFF金利というのはかなり注目している数字で、経済番組などでもよくニュースキャスターが
「なんといっても今日はFOMCがありますからね・・」
専門家が「そうですね!」
といってFOMCがどんな判断をするかについて解説するみたいな流れが経済番組でよく見られます。
では専門家はこのFOMCをどんな判断材料にしているのかを説明していきたいと思います。
FOMC2019年6月の注目ポイント
ここ最近のあらすじをまずは説明します。
アメリカの景気はずっとこれまで絶好調でやってきました。NYダウ、NASDAQといった日本で言う日経平均株価のような代表的な指数が、上昇が止まらないという状態です。
中国との貿易摩擦の影響
しかしここにきて、米中貿易摩擦が発生しています。
詳しい話はここでは割愛しますが、トランプ大統領が貿易赤字を解消するためや自国の企業を優先するため。
または中国で製造をしていたりすると、その製造ノウハウや貴重な開発情報を中国にコピーされてしまう。
ということで、とにかくトランプ大統領は中国に圧力をかけたかったのです。
そこで中国からアメリカに輸入される商品に関税をかけました。
関税をかけるということは中国から入ってくるものはアメリカで高く販売されることになります。
これ、実はあまり知られていませんが中国から輸入される商品に関税をかけるぞといって困るのは中国だけではなくて、アメリカ国民も困るんですよ。
当然アメリカで輸入された商品が値上がりするわけですから、今までより売れなくなります。売れなくなるので中国メーカーは最終的に影響は受けるので関税を上げれば中国も困ります。ただ、アメリカの人も物価が上がってしまうので困るのです。
ずっと第一弾、第二弾といろいろな中国からの輸入品に関税を段階的に上げて期待のですが、今回の第四弾は日用品にまでその手が及んだので、さすがに。。と反発が強いようです。
ただ今のところトランプ大統領は第四弾も発動するといわれています。
メキシコもとばっちりを受ける・・
さらにさらに、、これは最終的には回避されたのですが、メキシコからアメリカへの移民の対策をメキシコが何らかの手を打たなければ輸入品に5%の関税をかけると言い出しました。
トランプ大統領は大統領になるときの公約で、アメリカとメキシコの国境に壁を作ると宣言しました。メキシコからの移民が、アメリカの雇用を奪っている。メキシコからの移民が職にたくさんついて、アメリカ人の働き口が制限されているといちゃもんに近いことを言い始め、移民を制限するために壁と作るという流れになりました。
このメキシコの関税はあまりに市場に及ぼすインパクトが大きいことが予想され、メキシコが対策を打ったこともありますが意外とあっさりトランプ大統領が引いた感があります。
いろいろトランプ大統領にも言い分があるのはわかりますが、中国との貿易摩擦は今後も長期戦になることが予想されます。
ということはこの先、アメリカの景気が減速するのではという予想を大方の投資家は持っています。
FRBはなぜ金利を操作するのか?
景気が減速しないようにするときは、FRBという期間は利下げを行います。
利下げをすると企業がお金を借りやすくなって(お金を借りるときのローンの金利が下がるため)設備投資などにふりむけて、雇用が増えるという景気が良くなる循環を起こすといわれています。
ということでこのFRBが今アメリカの景気をどのように感じているかが一つポイントになります。
FRBの人たちが景気が減速しているね、という見解であれば利下げしますし景気がちょっと良すぎて物価が上がりそうだね、と感じたときは利上げをします。
金利が上がると企業がお金を借りにくくする(企業がお金を借りるときに金利が高いため)とともに、世の中はお金を預けた方が利息をもらえるからお金は使わずに銀行に預けておこうという選択肢になるので、買い物をすせずにお金をため始めるので、景気が減速する。という流れです。
さて今回はFRBはどっちになるか?というのが注目ポイントです。
2019年6月は利上げか利下げか
ざっくりいうと今回のFRBの判断は利下げをする予定はあるが、今回(6月)はしないというものした。
今後は利下げをすることはほぼ確実です。なぜならアメリカ経済は天井で、今後は米中貿易摩擦の影響で、経済は下降トレンドになっていく可能性が高いと投資家は見ているからです。
もう早い投資家は今後はアメリカ経済が減速することに備えて、FRBが利上げするぞ!と先走って投資商品を安い時期にタップリと買い込んでいます。
ここでアメリカのFRBが利下げは景気を上向きにするために行うのですから、利下げを発表すれば景気は上向きになります。
利上げをするだろうと見越してたくさん投資商品を購入していた持っていた商品価格が上昇してウハウハになるのです。
パウエルさん(FRB議長)がもし利下げをしなかったら、なんだよ、利下げしないのかよ!と買った投資商品等を全部売却してしまいます。
ということは市場が大暴落する可能性があります。
パウエルさんは市場の景気を適正な水準に保つために金利を動かすのに、大規模な投資家がオラオラ俺たちは利下げを予想してこれだけ株式を買っているんだ。利下げしなかったらわかってるんだろうな!市場が大暴落するぞ!
と半ば投資家から脅しをかけられているような中にいるのです。
これを催促相場といいます。
本来はFRBという機関は中立を保っていないと、トランプ大統領がちょっと国民にいい顔したいから利下げして景気上げてくんない?
ということがまかり通ってしまえば、市場調整機能を失ってしまいます。
本来はFRBが今景気をどのようにとらえているか?金利はどうしていく(上げるか、下げるか、現状維持か)を考えていかなければならないのに、投資家がすでに見込んで購入してしまったから、怖いから利下げしよっと!みたいなことがあっては絶対にならないのです。
今回はこの世の中の投資家の催促相場と言われる状況を失望させないように、安易な利下げを行わないということを行うために、どんな言い回しをFRBのパウエル議長が行うかが非常に注目されていました。
6月は利下げを行わないが、
「先行きの不確実性が増しており、成長持続へ適切な行動をとる」という声明を指しました。
今後は展開次第では適切な行動という表現で利下げをほのめかしたとも取れます。利下げと言ってしまうとまた株価などに影響が大きいので適切な行動という表現で、どっちに転ぶかわからないという表現にしているのです。
ただ、投資家は2019年7月のFOMCで利下げはほぼ100%と見込んでいます。
FRBの決定メンバーは今回17人いたのですが、そのうちの8人が利下げを予測していました。一人が転んだら、どうなるか今回でさえわからなかったのです。
利下げになると私たちにどんな影響があるか?
FF金利が下がると、ドルの金利も下がるので、ドルを売って円を買う動きが強くなります。すると円高ドル安になります。1ドル100円が1ドル90円になると円高になるという意味です。
日本は輸出産業が強いので、円高ドル安になると日本企業全体が悪い影響を及ぼします。例えば1ドル100円の時と50円の時があるとします。
では100万円の日本車をアメリカに輸出をしたら、アメリカ側からしたら、1ドル100円の時なら10000ドルになりますが、1ドル50円の時なら20000どる必要になりますね。
円高ドル安の時はアメリカ人は日本車を買いたくない気持ちはわかりますよね。
ということで円高局面では日本が輸出でアメリカにたくさん商品を販売している企業は株価が下がってしまいます。日本は輸出産業が非常につよいというイメージがあるので、日本全体の株価の指標でもある日経平均株価の数値も下がってしまいます。
影響のない企業ももちろん多数あります。市場全体が円高になると、え!?ちょっと日本は投資先として大丈夫?みたいに見られてしまうのです。
このようにアメリカのFRBの判断が日本の今後の市場に大きな影響を及ぼすので専門家はFRB議長の発表とその内容を固唾をのんで見守っているのです。
日本の住宅ローンにも影響を及ぼします。
この記事の著者
金子賢司(かねこけんじ)CFP資格所有者
これまでに1000件以上の家計の相談や住宅ローン、生命保険の相談に携わる。UHBなどテレビのコメンテーターや確定拠出年金、イデコのセミナー等年間50回程度のセミナーを行っています。 LINE@dli3529l Twitter @NICE4611 金子賢司 公式HP
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