アメリカの金利は利下げ方向へ、「催促相場」とは

アメリカの金利は利下げ方向へ、「催促相場」とは

アメリカの金利は利下げ方向へ、日本への影響は?

アメリカの金利を決定するFRB

トランプ氏がなぜ中国を執拗に目の敵にしているのか?これはあくまでも世の中の一部の予想ではありますが、FRB(連邦準備制度理事会)に利下げ判断を強要するため。と言われています。

FRBとは

アメリカの中央銀行制度であるFRSの最高意思決定機関です。

日本でいう日本銀行のようなものと思われがちですが、アメリカには中央銀行がなく、それぞれ12の地域の連邦準備銀行に独立をしています。各地地区連銀を監督しているのがFRBという位置づけになります。

地方分権の思想が強いため、強大な権力を持つような単一の銀行はつくらずに各主要12地域にそれぞれ中央銀行を設けました。

FRBのトップは「議長」と呼ばれ、パウエル氏が現在の議長(2019年6月現在)です。この議長は大統領が指名をすることになっています。

その中の業務の一つとして公開市場操作という金融政策を行う業務があり、公開市場調査をどのような方向性でやっていくかを決めるのがFOMC(連邦公開市場委員会)です。

経済大国であるアメリカの金融政策は世界に多くな影響を与えます。

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FRBの金融政策とは?

FRBは金利を上昇させるように決定をするとアメリカの市中の銀行の金利は上昇します。

金利上昇=直接銀行の金利というわけではありません。

FRBが利上げをするよ!と発表すると、FF(フェデラルファンドレート)が上昇します。

アメリカの民間の銀行は預金額に応じた準備金(フェデラルファンド)を連邦準備銀行に預け入れなければなりませんが、銀行によっては準備金が不足しているため一時的に他の銀行からお金を借りることがあります。

これは日本でも通常に行われています。

この銀行間のやり取りに使用する金利をFF金利といいます。

FF金利は極めて短期でやり取りされる金利なので低く設定されており、この金利がその他の金利を決めるための基準とされています。

従って、FF金利が上昇すればそれを基準にして金利は上昇し、FF金利が下がれば金利が下がる傾向があります。

FF金利を決定するのがFOMCというわけです。

一般的には金利が上昇すると債券価格は下落し、株価が上昇します。

細かい説明はここでは省略しますが、金利が上昇すれば債券の人気がなくなり、株価が上昇。

株価と金利が一定のところまで上昇すると、物価が上昇しインフレになってしまいます。ある程度インフレにならないと世の中は安売り競争になり、企業は利益がでずに、社員の賃金が下がり、ひいては消費が低迷するのでインフレも多少は必要なのです。

過度なインフレにならないように、景気が良くなるとFRBはFF金利を上昇させて、銀行金利も上昇させて企業が設備投資のためにお金を借りにくくすることで景気をセーブします。

これをしないと物価がどんどん上がっていってしまうのです。

逆に金利が下がれば債券価格が上がり、株価が下がるという原則があります。さらに物価が下落します。。物価が下がると企業が安売り競争に巻き込まれ、企業は利益が出ないので、社員の賃金が下がってしまいます。

そこでFRBは金利を下げて、企業がお金を借りやすくして設備投資を増やすと企業が元気になり、利益がでて、社員の給料も上がり、物価が上昇しても大丈夫。というサイクルをFRBは微妙なさじ加減で行っているのです。

これを踏まえてトランプ氏の狙いについてお話していきます。

アメリカの株価を維持したいトランプ大統領

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アメリカ経済は絶好調です。もはやGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)、FANG(フェイスブック、アマゾン、ネットフリックス、グーグル)今ではこれに加えてエヌビディアなども加え日々このワードは変貌しつつありますが、とにかくこの辺りの企業を中心にアメリカ株価は上昇をし続けています。

※半面、有識者はもはや膨張相場ととらえている人もいます。

世の中のお金持ちはお金がジャブジャブに余っているため、とにかく上昇している相場にどんどん投資をしていきます。特にアマゾンやネットフリックス等はまだまだ進化を遂げている企業もあります。

一部これらの企業に税金逃れが指摘されており、今後の動向が注目されているものの米国市場全体の勢いがずっと続いていたのですが、若干今その伸びが緩やかになってきている傾向があります。

次回大統領選に向けてとにかく成果を残したい!

トランプ氏は次回の選挙に向けて、株価を上昇させたいという意図があります。

昨年トランプ大統領は

法人税35%→21%

所得税39.6%(最高税率)→37%

に減税をしました。

その効果が一巡し、そろそろ次の施策を考えないと株価が停滞してしまいます。

そこでようやく出てきました。トランプ氏のFRBへの介入です。

本来はFRBという組織は政治から完全に独立した組織でなければなりません

なぜなら、もし政府がFRBに指示をすることができたら、今回のようにトランプ大統領が次の選挙に勝ちたいから、パウエルさん(今のFRB議長)頼むよ。

なんていうことが公然と認められれば、常に経済が上昇し誰も選挙でトランプ大統領に勝てなくなってしまいます。アメリカが一人勝ちになり、世界経済に影響を及ぼしてしまうインパクトがあります。

トランプ大統領が世界を支配できてしまうのです。今も若干そうなっている感はありますが・・

従って基本的にFRBはどのような組織からも独立し、干渉される組織ではないはずなのですが、今問題になっているのは「催促相場」というものです。

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「催促相場」とは

投資家は様々な情報をもとに今後株式相場が上がるか下がるか?どのような方向性で運用していくかを考えています。

残念ながら、お金持ちや権力のある人、機関投資家、ヘッジファンドなどは情報が早く、規模も大きいので市場に与えるインパクトが大きいのです。

個人や規模の小さい投資家は、市場がどうなる?だけでなく、このような人たちがどのような動きをするのか?まで考えないといけないのです。

FRB議長のパウエル議長は、独立をしている立場は維持をしているように見せているものの、トランプ氏の執拗な利下げ要請に若干心が折れ始めているのが見て取れます。

そしてもっとインパクトが大きいのがトランプ大統領の中国への関税圧力です。

米中貿易摩擦と言われています。世界経済にも影響を与えていますが、中国の商品に関税をかけると影響を受けるのはアメリカ国民です。

中国からアメリカに入ってくる商品に税金をかけるのですから、アメリカ人が購入する商品が高くなってしまうからです。

しかも今後ほぼすべての中国商品に関税がかかる予定です。

なんでこんなことをするのかというと、景気を減速させてパウエル議長の利下げ判断を引き出す狙いがあるといわれています。

なぜかというと前述しましたが、利下げをすれば金利が下がるため、企業がお金を借りやすく、さらに設備投資をするので一段と企業が元気になります。

トランプ大統領がそこまで考えてやっているなら本当に天才だと思うのですが、中国製品に関税をかけて物価を上昇させ、利下げをすることで物価下落の悪影響と相殺させて、なおかつ企業の設備投資を促進させてアメリカ景気を下支えしているという見方があります。

ついこの間まで、FRBは利上げを今年あと何回やるか?という話をしていたのに、もう2019年で利下げを3回やるのでは?という見方をしている人が大半という状況にあっという間に変わってしまいました。

もう機関投資家等はこの情報を

「織り込み済み」でアメリカの主要指標の株価が上昇してしまっています。

いつの瞬間かアメリカの主要指標の株価が利下げ前提で物事が進んでしまっているのです。

ここでパウエル議長が利下げをしない。または利上げをするという発言をすると株価が大暴落する可能性をはらんでいます。

これはもはやFRBの独立性を守っているとは言えない状態です。

FRBの独立性はあるよとパウエル議長は主張しているものの、もはやこれでは利下げ、悪くて現状維持としか言えない状態にさせられています。

これを「催促相場」といいます。

まずはこの金利を決定するFOMCが一転して利下げ方針に転換していること、トランプ大統領(政治)とパウエル議長との微妙な関係に注視していく必要があります。