個人年金とiDeCoはどちらがオススメ?
- 2019.07.11
- ファイナンシャルプランナー(FP) 年金、健康保険
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個人年金とiDeCoはどちらがオススメ?
個人年金保険とiDeCo(イデコ)、どっちが良いですかと聞かれるのですがどちらも加入要件を満たしているなら、結論からいうと圧倒的にiDeCo(イデコ)の方が有利です。以下iDeCoをイデコと表記します。
以下はイデコと個人年金と両方加入要件を満たして、そのうえでどちらが良いかを検討している方向けの記事になります。
イデコは別名、個人型確定拠出年金といいます。
イデコも個人年金も長期にわたって積立をして、所得控除で税金が還付される仕組みも同じじゃない!!という方もいるかもしれません。
加入要件もそれぞれありますので、まずは加入できるかできないかが大切です。
個人年金とイデコの主な加入要件
どちらも加入する際の年齢要件があります。
イデコは原則20歳から60歳。
個人年金保険も保険会社によって異なりますが、原則20歳から60歳~65歳です。
個人年金は毎月1万円のように積み立てていくタイプと(積立タイプ)、
一時的に500万をボン!と預けてそのまま老後まで運用するタイプ(一時払タイプ)
この2パターンがあります。
加入要件はイデコ、個人年金どちらもあまり変わりません。
ただ、イデコは正式名称は個人型確定拠出年金といいます。その言葉に年金という言葉が付いており、「年金」なのです。
国が用意している年金制度の仲間なのです。
このイデコに加入するためには、最低条件として、
①国民年金の加入資格を持っていること
②国民年金を払っていること
が要件です。
イデコの位置づけというのは、国民年金の上乗せです。
国民年金は20歳から60歳の人はみんな加入しなければなりません。
国からしてみれば、国民年金も払っていないのにイデコなんて加入させませんよ。。ということなのでしょう。
イデコと個人年金はさほど加入要件に差がありません。ここにこぼれたような人・・60歳後半の人は、まずは運用が必要かどうかを含めて検討し、まずはNISA、あるいは積立NISAの制度を利用し、その金額の枠を使い切ったら改めて方法を再検討しましょう。
個人年金は知名度はあるのですが・・
個人年金は正式には個人年金保険といい、商品自体はよく知られています。しかし、老後への備えとしての機能は
圧倒的にイデコの方が勝っています。
単純にイデコの情報が不足しているので、選ばれないだけのことなのです。
貯金は三角保険は四角ももはや昔話・・
かつては貯金(ここに個人年金も含まれます)と生命保険は日本人が大好きな貯蓄の方法でした。
保険会社のセールストークで
なかでも「貯金は三角、保険は四角」というセールストークがあり、貯金(個人年金)よりも保険が好んで貯蓄に使われていました。
貯金は三角、保険は四角の意味はご自身で調べてみてください。まんま検索エンジンに入力すれば解説しているサイトがすぐに出てきます。
またはちょっと詳しい人は個人年金と生命保険を同時に加入して貯金+控除枠をフル活用する人もいました。
昔は貯金代わりに終身保険という積立の生命保険を活用している人も一定数いたのですが、マイナス金利の影響により、終身保険は一部保険会社で売り止めになったり、大してプラスにならない状態に陥ったからです。
それでも貯金は銀行、銀行の利息よりもマシだから・・という理由で保険を使った積立をする人も多かったです。
ただマイナス金利意向は保険もあまりプラスにならず・・加入年齢によっては元本割れするような事態も起こったため、
個人年金保険というニーズがマイナス金利導入以降注目されるようになりました。
その後、2018年からイデコという制度の加入対象者が広がり、加入手数料の引き下げ競争もあり一気にその名前が知られるようになりました。
イデコは2018年のタイミングで名付けられた制度で、2001年時点から個人型確定拠出年金という形で存在はしていたものの、
知名度では個人年金にはまだまだかないません。
節税効果は圧倒的にイデコが優勢
個人年金、イデコもどちらも節税効果があります。
ただ、イデコは投資だから元本割れする商品だってあるでしょう?
実はイデコには元本確保型商品といって、
満期まで持っていれば元本割れしない商品が品ぞろえの中にあります。
どこの金融機関にも必ず1,2つは元本確保型商品というものが入っています。
ちょっと細かいことを言いますと、元本確保型商品の中で
元本割れをする可能性があるのは、定期預金ではない、「保険商品」でなおかつ、摘要欄に「解約控除が適用されることがある」と書かれている商品だけです。
この解約控除の適用がある商品も、10年満期の保険商品なら、10年持っていれば元本割れすることはありません。これを途中で10年より前に解約すると元本割れする可能性がありますよ。というだけです。
ということはこの元本確保型商品を選べば、個人年金よりも圧倒的に有利であることがわかります。
なぜイデコの方が圧倒的に有利なのでしょうか?
所得控除ができる金額がイデコの方が多いからです。
簡単に言うと、
事例として月1万円を個人年金、またはイデコで運用していたとします。
年間の積立額は12万円になります。
所得税に関してのみお話をしますが、
個人年金で受けられる控除は4万円を超えることができず、4万円が限度になります。
イデコは12万円全て所得控除を受けられます。
ちょっと難しいですが、計算してみましょう
ここはちょっと難しいので面倒な人は
「毎月1万円と積立てた場合の税額、課税所得金額300万の場合」のタイトルのところまで読み飛ばしても大丈夫です。
300万円の所得で税率10%の方がいたとしたら、
税金は通常は以下の表から、300万×10%-97500円で=202,500円が税金になります。
個人年金に加入した人は年間12万円払っても、控除は最大で4万円です。
ということは税金を計算するうえでベースとなる300万から4万減らすことができます。
ということは296万×10%-97500円=198,500円です。
何もしないよりかはこの人の場合は4000円分メリットがあります。
【所得税速算表】
ではイデコの場合はどうでしょう。
イデコは毎月1万円全て控除できます。年間12万円なので、
300万から12万円を引くことができます。
288万×10%-97500円=190,500円
何もしない時より12000円税金が減り、
個人年金よりも8000円分税金のメリットが大きいことがわかります。
毎月1万円と積立てた場合の税額、課税所得金額300万の場合
税額 | |
何もしない | 202,500円 |
個人年金(月1万) | 198,500円 |
イデコ | 190,500円 |
ということで、税額だけ見ればイデコが圧倒的に優秀です。
最後に注意点
一般的なお話でイデコより個人年金の方が有利というお話をしてきましたが、いくつか注意点です。
①個人年金控除を受けるためには条件があること(難しいので保険屋さんに聞いた方がいいです)
②個人年金も多少は運用益がありますので、そこを加味すれば上記ほどの差が出ないことがあります。
③外貨建ての個人年金は運用益が大きく増える可能性もありますので、イデコとの比較は一概には難しいです。あくまでも国内の個人年金前提です。
④専業主婦(夫)については、所得控除による節税効果はありません。
⑤イデコは手数料がかかります。初回2777円、毎月金融機関によって異なりますが、177円(月)が一番安いところでもかかります。この手数料が上記の節税額には加味されていません。イデコの毎月の運用額によっては個人年金の方が有利になる場合もあります。
⑤イデコは運用可能な限度額があります。自分の限度額については、現在おつとめの会社にご確認ください。お勤めでない専業主婦は23000円、個人事業主は68000円です。
どちらかがいいというわけではなく、併用が理想です。
お金に余裕があれば両方利用していいんです。
上記注意事項を加味して、イデコを優先して、個人年金をプラスすることで効率的に節税をしていきましょう。
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