年金でモトを取ろうという勘違い

年金でモトを取ろうという勘違い

年金でモトを取ろうという勘違い

年金だけで老後の生活ができるのは、完全なお門違いです。

なぜなら年金は保険だからです。

老後2000万円が不足をする問題で、あらためておどろいたのが年金の効果というのがあまりにも知られていなかったということです。

年金は老後の生活を支えるものだけではないということは、以下のブログなどでも何度も説明してきました。

年金制度を含めた社会保障とは、日本国憲法の第25条の中に

「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」とあります。日本国憲法でいう「生存権」について規定したものです。

社会保障制度はこの「生存権」をベースに作られています。

1949年に設置された社会保障制度審議会で以下のように社会保障制度を規定しました。

社会保障制度は、疾病、負傷、万が一、老齢、失業やそのほか困窮の原因で、保険的方法でまたは最低限度の生活を保障するとともに、、

全部書くと長いので割愛をします。

要するに社会保障制度があるかわ、私たちは失業すれば雇用保険から、職探しをしている間も国からお金をもらえたり、病気になったら国からお金が一部負担してもらえたり(健康保険制度)、現役引退したり、介護になったりすれば老後の年金や介護保険等を使えるようになります。

そのような社会保障の機能によって、私たちは社会生活を安心してリスクをおそれず過ごしことができるのです。

老後

社会保障制度は所得再分配機能で賄われている

社会保障は弱者救済の手段の方法です。所得のある人から資金を調達し、疾病、負傷、万が一、老齢、失業やそのほか困窮の原因 にお金を移転するという所得再分配機能で賄われています。

そう考えると、今回の老後2000万円が不足する問題というのは、夫婦2人で必要最低限の生活をするのに、年金だけでは足りないっておかしいじゃないか?と思うかもしれません。

ただ注意をしなければいけないのは今回話題になっている年金制度というのは「保険」だということです。

ここで注目をしてほしいのはどちらも「保険」なのだということです。

会社員が加入をするのは厚生年金保険といいます

自営業者などが加入するのは正式名称は国民年金保険といいます。

保険とは、みんなが少しずつお金をだしあって困った人にそのお金を使ってもらうということです。

医療保険ならみんなで少しずつお金を出し合って、がんなどの病気で困った人を集めたお金で使ってもらう。

労災保険なら、労働者がみんなでお金を出し合って、業務中にケガをした人に集めたお金で一定の治療費や労働できない時間の生活を保障する。

みんなでお金を出し合って、お金を使ってもらう機能を

「相互扶助」といいます。

この相互扶助の精神で保険というものは成り立っています。

年金制度は保険なのでモトをとれるわけがない

年金制度は保険です。

例えば一般的な例えば日本生命などの保険に加入したとします。

亡くなったら1000万円もらえる。

亡くなったら3000万円もらえる。などの保障に加入していたとします。

実際に亡くなったらもらえるかもしれませんが、一般的な定期保険は特に契約で定めた期間に何もなければ掛け捨てです。毎月保険料を払っていなければ一銭も戻ってきません。

一定期間に何もなければお金が戻ってくる保険ももちろんあるのですが、これはとんでもない保険料になってきます。

保険でそもそもモトを取ろうという考えが間違っています。

でも、そうはいっても国民年金保険や厚生年金保険に入りたいなんて頼んでないよ!

勝手に年金の保険料を取っておきながら、将来払ってくれた人の老後を賄うことがいまさらできないなんておかしいじゃないか!

という意見もあると思います。

ただ、日本の年金制度は時代の流れとともに求められてできたものなんですよ。

年金制度はなぜできた?

日本は農業や漁業等、家族で親と同居して自営業で生計を立てている世帯が比較的多く存在していました。

この後、核家族化が広まり・・ようするに親と別居して一人暮らしで都会に出て働くという働き方が主流になり、自分の両親の生活を賄う余裕がなくなっていきました。

この両親の生活を扶助するために年金制度というものは整備されてきました。

なぜ私たちの保険料で、今の高齢者を養っていかなければならないのか?

と不満を持っている人もいるかもしれませんが、年金制度がもしなかったら、そんなあなたは、今自分の両親を自分の給料で養っていかなければならなくなります。

両親がもし生活費が20万かかっていたとしたら、あなたの今の収入に「手取り」で20万円さらに多く稼がないと、両親を養っていくことはできません。

自営業の方ならがんばれば収入を増やせるかもしれません。

しかしサラリーマンの人はそんなに頑張っても自分の給料を上げることが不可能です。

繰り返しになりますが、

年金制度は保険なので、そもそもモトを取ろうという考えは誤りです。

年金制度はもともと高齢者を養うために生まれた制度です。もし年金制度がなくなれば自分の親の生活費はあなた自身が負担をして養っていく必要があります。

みんなでお金を出し合って、年金ということで自分の両親ではなく誰を養っているという感覚がなくなったので毎月の年金保険料を不満に思う気持ちはわからなくもありませんが・・

この年金の仕組みを理解していれば、年金払ってももらえない・・払うのやめようと思う人が増えれば増えるほど、皆さんの年金ではない部分の負担が将来的に増えて行くことになります。

いろいろな知識人が年金は何歳からもらうと得だとか、何歳まで働いてこの年から年金を受け取れれば得だとかの意見も見られます。

そもそも何歳まで生きれるかコントロールできるわけもありません。

さらに、そんなに都合よく実態は仕事を始めたり、やめたりなんて自営業でないと無理です。

前倒しで年金を受け取ってもらえるものはもらってしまおうと思う意見が、ネットなどでは主流になっている感がありますが失礼ですが、何の根拠もなくこの発想になっている人は残念ながらおそらく貧乏な人だと思います。

お得なつもりで長い目で損をする可能性の高い発想です。

ライフプランを立てたうえでこの選択肢を選んでいるなら問題ありません。

画一的に物事を語れないので、こういうところに出てくる専門家を否定するつもりはありません。

メディアは専門家にこんな方向性で書いてくださいね!と情報操作しますから。

専門家もいろいろなケースがあるので一概に言えないのもわかっていながらも目を引くためにメディアの要望で記事を書いているだけです。またはこういう記事で目を引きたいから衝撃的な内容で書いて、メディアに売り込んでいるだけです。

やっぱり自分で多面的に情報をつかむことが大切です。大きなヤフーニュース等だけで情報を真に受けてしまうのは危ういです。

老後の貯蓄

将来設計ができない人に、老後準備ができるわけがありません

現状のこの年金のグダグダ感に嫌気を感じてもう年金払いたくない・・

その気持ちもわからなくもありません。ただ、いまさらこのことに気づいたという人がいたのなら・・

厳しい言い方ですがそのような人は、自分で努力しても老後のお金が準備できるはずがありません。

なぜなら圧倒的に情報が不足しているから、今の日本の年金制度の事情をマスコミが騒ぐまで知らなかったっていうことですよね。

おまけに老後のお金を積み立てるために、運用をしましょう。

といえば運用を国民に求めるなんてけしからん。

と言い出す人もいる始末。運用に対しての知識もないまま、リスクという言葉について特に詳しく調べるわけでもなく批判だけを繰り返す。

運用に使うお金がない。

例えばですよ。金融庁が勧めているイデコって人によっては長い目で見れば、掛金を払った方が普通に税金を払うよりもお得に加入できるんですよ。

ふるさと納税という制度も知らない。

運用に使うお金がないという人はおそらくこういったお金に関する情報に目を向けてこなかったからです。

ということで年金制度をもし廃止したところで、お金や老後という先を見通すことをしてこなかった人たち、すなわち情報弱者が今まで以上に路頭に迷い、さらに国に対して文句を言い始める。

そろってこう言い始めます。

こんなにお金で困っているのに、国は何にもしてくれない!!!

いやいや、アンタ年金制度いらないって言っていたじゃないですか。

年金保険料を払うのをやめましょうとあおっている輩もおりますが、それ相応の覚悟をしてくださいね。

国の対応もお粗末な感はありますが、それでもこれだけの長生きをすればするほど有利な保険なんて通常の民間の保険では考えられない仕組みです。・・そもそも無理な設計で、通常の民間の生命保険が同じような保険を作ろうとしたら、とんでもない保険料になります。

国という仕組みでこの制度を運営しているから、どうにかこうにか維持できている制度です。

民間の企業で年金制度を運用していたら、とっくに倒産か、事業として見切りをつけているレベルです。

繰り返しますが、これまでこの老後年金の不足問題を知らなかった人に、自助努力でお金を準備する能力は残念ながらありません。断言します。

意識を改めてお金や老後の勉強をして運用をスタートするか、今の年金制度にしぶしぶ乗っかっていくことをオススメします。