資産運用でジワる社債人気。その仕組みとリスク
- 2019.06.09
- ファイナンシャルプランナー(FP) 資産運用
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資産運用でジワる社債人気。その仕組みとリスク
「社債」、「国債」というように債券とは投資家からお金を借り入れるために発行する有価証券の事を言います。「企業(会社)」がお金を借りれば「社債」ですし、「国」がお金を借りれば「国債」になります。
債券をざっくりと説明するなら国債なら国がお金を借りたので、借りたお金は当然ですが、いくら国債・・例えば日本国が「お金貸して!」とあなたに頼んできてもタダでは貸しませんよね。
ふつうはお金を貸す時は利息を払います。利息をつけてかえしてくれるから、お金を貸そうかな?というように誰もが思います。
今回は社債についてなので、社債について解説していきます。
社債も同じです。とある企業が何か事業をしたい時に市場からお金を集めたい時に社債を発行します。市場からお金を集めたいということはたくさんの人からお金を借りたい時です。
何か新しい事業をしたい時に一時的に大きなお金が必要な時があります。
最近ではトヨタやソフトバンクなどが社債を発行した事例がありました。
株式で集めればいいじゃん・・
ということになるのですが、株式でお金を集めてもいいのですが株主総会でも最近は「モノいう株主」というのも増えてきて、株主からあれこれ注文をつけられます。
株式ではなくなぜ社債でお金を集めるの?
社債は保有者は経営に参加できる権限が無く、社債によって調達した資金については用途は自由です。ただ基本的には何か用途があって、その用途について公表し、それに対して投資家は社債を購入するのである意味社債は用途については制限はあるととらえることもできます。
社債はお金を返す期日が決まっている
また、社債は借金なので返済をするのですが、いつ返済をするのかというのが問題になります。
国債であれば、3年、5年、10年という商品があります。それぞれ3年後、5年後、10年後に返しますよ。という意味です。
私達はお金を貸す立場です。
利息が返ってくるとはいえ、3年間お金を貸すのと、10年間お金を貸すのとどちらがいいですか?貸したお金は3年間で戻ってきた方がいいですよね。
それでも10年間お金を借りたい場合は、3年間よりも利息を高く設定するのが通常です。利息を沢山つけるので長い間貸してくださいということになります。
社債も5年や10年のように期日前でも、売却したりすることは可能ですが売りたくても購入したい人が見つからなかったりと流動性はかぎられるので一般的には満期まで保有して、その期間安定した利息を半年ごとや毎年受取るという方法が一般的です。
社債の年月長期化が増えている
2019年度の普通社債の平均発行年限は28年ぶりに10年を超えています。JR東日本、三菱地所などは50年を超える社債を発行します。
ということは、この社債を購入する人は定期的な利息はあるにせよ50年間お金を貸したままということになります。
前述しましたが、返すまでの期間が長ければ長いほど利息は高く設定する傾向があるので、投資家は裏を返せばしばらく元本は返ってこないけれど比較的高い利息を一定期間ごとに受取ることになります。
株式や投資信託よりも債券は安全な商品なので、リスクがさほど高くなく、利回りも銀行口座や国債よりも大きいので社債での運用というのも注目されています。
今までは社債というと億単位でしか購入できなかったものもあったのですが、いまは10万や1万で購入できるものもあります。
個人向け「債券」優待も??
資産運用をしている人たちの中で、株主優待を楽しんでいる人も多いかも知れません。債券ではそのような優待というのは全く従来はなかったのですが、まだ少数ですが商品券をプレゼントしたり、自社商品があたるキャンペーンを導入している企業もあります。
ただ、株主優待のように毎年というわけではなく、購入した時に一度きりなのでまだまだ株主優待のような楽しみは享受できないようです。
社債のデメリットとリスク
社債は企業にとっては借金です。そして借金に対して利息を払います。したがって無制限に発行できるものではありません。金額に上限があるのが通常です。社債発行額全体は100億円で100億になったら販売終了というようになります。
最大のリスクは、その発行体が倒産してしまうことです。
企業がお金を調達する手段としては株式があるのですが、株式は返済する必要がありません。しかし債券については繰り返しますが借金なので、企業は投資家に返済しなければなりません。
では投資家はリスクは一時的にお金が自分のものではなくなるだけで、利息は定期的に入るのだから・・(かつての収益分配型の投資信託とは構造は違います)リスクはないのでは?
と言いたいところですが、最大のデメリットは債券を発行している企業が倒産してしまうことです。
この場合は、返済が遅れたり、返済がされないケースも稀にありますので注意が必要です。
銘柄選びもやっぱり必要
社債を購入するにしても、どんな企業が発行しているのか?その企業の先行きはどうなのか?という点も自己責任で考えたうえで判断をしていく必要があります。
私は超長期の社債は疑問が残ります。
例えばいくらJR東日本だとしても、50年後存在しているかどうかが不明です。今はますます将来は見通せない時代になってきています。
少子高齢化が進み、交通量も減少。各企業ではわざわざ出勤しなくても在宅ワークが可能になる、学校も今でさえオンラインで受講できる学校ができているくらいです。
電車にのって決まった時間に通勤をするというニーズが減少し、収益が減り現在の交通インフラが維持できず・・という今のJR北海道が抱えているような問題を東日本も直面する可能性は高いです。
あらゆる仕事の大変革が今後予想される中で、超長期の社債は決して安定運用とは思えません。
今までは大手企業はつぶれるわけないという安心感もあったかも知れませんが、今後はどんな大企業でもIT技術の進歩によりどうなるか不明です。
社債は返済までの年月とその会社の将来性を十分検討して購入するようにしましょう。
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