かんぽ生命の不正|保険会社の仕組みをお伝えします
- 2019.07.10
- ファイナンシャルプランナー(FP) 生命保険
かんぽ生命の不正|保険会社の仕組みをお伝えします
かんぽ生命の不正販売が話題になっています。
保険会社のノルマ至上主義が、引き起こした問題だと思われます。
保険会社に限らず、金融機関全体にいえることですがあまりにも顧客のニーズを聞かない販売手法が横行しているのは、正直かんぽ生命だけではありません。
金融機関で外貨建て保険の販売で高齢者のクレームが増えていることをご存知でしょうか?
営業なので販売拡大するのは当然のことですし、売上目標があるのも当然です。
しかし、契約をしたとしてもいざ支払うときのことを想定していない希薄な営業をしていると、いざというときに大変な不利益をお客様はもちろんですが、保険を販売した営業にももたらします。
一体こんかいのかんぽ生命の不正販売はどのような内容でどのような背景で起こったのでしょうか?
かんぽ生命の不正販売の起こった背景
これは冒頭述べましたが、金融機関のノルマ至上主義です。
一部の金融機関では、顧客本位の営業になっていないということでノルマを廃止したメガバンクもあります。
さまざまな金融商品の中でも保険を販売した時の手数料というのは特に大きいので、保険の販売はどの金融機関でも推奨されます。
保険を販売すると、その販売店の規模によって手数料がもらえます。
例えばですが、毎月5000円の保険料の医療保険に加入をするとおおよそ30%の1500円が毎月、販売をした営業に手数料として支払われます。ほとんどの保険会社が2年間払い続けるという方式を採用しているようです。
保険会社によっては、毎月の保険料ではなく、保険金額をベースに手数料を支払うケースもあります。
亡くなったら保険金2000万がもらえるという契約なら、2000万×0.3%~0.4%くらいが営業の手数料になります。この料率も保険会社によって異なります。
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逆に途中で保険を解約をされてしまうと、手数料の支払いはストップしてしまいます。それどころか契約後に「すぐに」解約をされたような場合は、給料から手数料分を保険会社に返還をしなければならないケースがあります。
「すぐに」というのがどれくらいの期間なのかというのは、保険会社によって異なりますが、目安としては、2年から3年以内に解約をすると給料から引かれるということがあります。
何年間1つの契約で手数料を払い続けるのかという決まりも保険会社によって異なります。
保険の営業は新規契約をほしがる
保険の営業は新規契約を欲しがります。なぜなら、そのまま自分の手数料になるからです。
毎月2万円の保険料をお客様が負担する保険契約なら、約30%が手数料だとしたら毎月6000円が営業の手数料になります。
ただ、この手数料6000円というのは永遠にもらえるわけではありません。
保険会社によっては終身で受け取れる、、その代り毎月20000円の3割でなく、1割ね、、要は2000円。みたいにしている保険会社もあります。
しかし割と多くの保険会社が1つの契約で営業に手数料を支払う期間を2年としています。
2年たつと、いままで6000円だったものが2年経過すると1500円に下がり、約5年するとその人の契約からの手数料は無くなってしまいます。
悪い言い方をすれば、5年経過するとそのお客様の契約から「うまみ」が無くなってしまうということです。
こんな仕組みなので、保険の営業は絶えず契約を取り続けなければ生活できなくなってしまっています。
かんぽ生命は給料制なので、保険販売の実績が直接営業の生活に直結することはないとは思いますが、
そうはいっても今回のような問題が起こったということはかなり営業ノルマが厳しかったのと、ノルマを達成できなかった場合の処置も高圧的なものだったのだろうと推測できます。
あくまでも推測です。
要するに保険の営業は新規契約が一番手数料のメリットが大きいので、新規契約を欲しがるのです。
ゆうちょの不正販売はなぜ発生したのか?
ゆうちょの不正販売はなぜ発生したのか?それはこれまで説明してきた通り、新規契約が保険の営業にとって一番メリットがあるからです。
では、このような保険の手数料の仕組みを踏まえて、こんなケースはどうですか?
かんぽ生命で契約をしていて、契約後10年たったお客様が、保険を見直したい。という連絡がありました。
かんぽ生命の厳密な社内ルールは不明ですが、今までかんぽ生命で加入をしていて、新しくまたかんぽ生命で新規契約をした場合は、
6カ月間旧契約と新しい契約を並行すれば、新規契約とみなす。
その心は・・と聞かれると全く意味不明のルールで、会社としてこんなルールを設けてよいのだろうかという疑問がまず上がりますよね。
普通は今までの保険を解約してから、次の保険に加入しますよね。
そうしないと毎月の保険料が重複してしまうからです。
今までの保険料毎月2万円、見直して次の保険は1万7千円になりました。
これが半年間重複するので3万7千円支払う期間が半年できてしまうということです。
全く会社としてこのような仕組みがなぜあるのか不明です。
※厳密には、保険には告知ルールがありますので、今までの契約をする前に新しい契約をして、保険会社が健康状態を加味して新しい契約に加入できたことを確認できてから前の契約を解約します。これをしないと万が一、今までの契約を解約してから、新しい契約を申し込みして、健康状態が思わしくなく保険に加入できないとなると、無保険になってしまうからです。保険の見直しをすれば、多少の重複期間は必須になりますが、せいぜい長くても2~3週間ですし、保険の重複によるお客様負担が発生することはあり得ません。
この重複期間がまず約22000件あったそうです。
またもう一つ、
今までの「かんぽ生命の保険」を解約して、3カ月以上たってから新しい保険に加入をすると新規契約とみなすというルールがあります。
この制度を使うと、
今までの保険を解約してから3か月間は無保険の期間が生じてしまいます。
もし、この3カ月の間に
亡くなってしまったら、、
入院してしまったら、、
または何かしらの病気やうつ病になり、今後保険に加入できない身体になってしまっていたら。。
この制度はダメでしょう!!という内容です。
このような内容の不正販売が47000件あったとのこと。
保険料の重複や、無保険期間を生じさせてしまうのは、保険の営業としてもっともやってはいけない行為です。やってはいけないという倫理的な問題ではなく、不利益をお客様につたえていないという法律違反です。
1件、2件なら営業単独で魔が差したということもあり得ますが、これだけの件数が発生しているということは組織で黙認していたと考えるのが妥当です。
冒頭申し上げましたが、外貨建て預金の件にしても安易な窓口販売の営業で、物事を決めないよう、セカンドオピニオンも必要です。
このネタをきっかけにファイナンシャルプランナーと宣伝するような形になってしまいますが、金融機関に所属していない独立系のファイナンシャルプランナーを活用してください。
日本ファイナンシャルプランナー協会というサイトで、県ごとに登録FPを紹介しているサイトがあります。CFP検索システム(CFPはファイナンシャルプランナーの最上級資格です)を活用してください。
独立系のFPといっても、どこに問い合わせていいのかわからない時はご利用いただければと思います。
最終的に告知のようになってしまいましたが・・純粋な気持ちでお伝えしております。ご了承ください。
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