就業不能保険の機能に注目
- 2016.06.26
- ファイナンシャルプランナー(FP) 医療保険 生命保険
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就業不能保険は今までの保険にはなかったものです
すでに実は販売されているのですが、病気やケガで入院して働けなくなったときに収入をサポートする保険があるのをご存じですか?損害保険会社では所得補償保険という商品名で取り扱っています。
就業不能保険はもっぱら生命保険会社から販売されており、所得補償保険は損害保険会社から販売されています。
生命保険と言えばどんなイメージですか?亡くなったとき、高度障害状態の時に給付が受けられます。
医療保険は入院した時の入院費用や手術代を保障するものです。
じゃあこんな時はどうしますか?
大けがや病気で後遺症や長期療養が必要で、長期間収入がなくなってしまうとき。
たとえば自分ががんになったとします。医療の進歩により、抗がん剤治療を受けながら、放射線治療を受けながら、がんを小さくしてから手術をすることになりました。治療に専念できる方なら良いかもしれませんが、自分がもしサラリーマンだったとしたらどうでしょう。出勤したり、お休みしたりでは会社から事情は察してくれるかもしらませんが、ずっといつまで雇用をしてくれるかは保障してくれません。
仮に比較的業務量が少ない部署に配置転換をするにしても、今までと同じではなく給与が下がることもあるかも知れません。しかし生活費は自分が生きているため、減少するわけではありません。自分が病気になったからといって子供の教育費、配偶者の生活費などが減少するわけではないのです。
医療保険に入っているよ!
そういう時は医療保険に入っているから大丈夫!という方もいるかもしれません。しかし医療保険でカバーされるのは手術費用と入院費用だけです。闘病生活中に収入が減少したからといって、医療保険は給付の対象にはなるわけではないのです。
また、医療保険で大きな一時金等を受け取る内容があったとしても、数年単位の生活費をまかなうことができるでしょうか?
収入保障保険に入っているよ!
毎月決まった金額がお給料のように振り込まれる保険!知ってる!確か収入保障保険だよね。。定期保険よりも安くなるってやつ・・。確かに毎月定額が年金形式で振り込まれるということは間違いありません。しかし収入保障の給付要件は万が一の時、または高度障害の場合(特定障害状態や介護状態のように独自の基準を設けている保険会社もあります。)です。
闘病していて、生きている限りは収入保障保険の給付対象にはならないのです。(※三大疾病を給付要件としている特約がある場合もあります。)
就業不能保険が必要なケースはこんな時
就業不能保険がカバーするのは、医療保険では賄えず、かといって亡くなったわけでもないので収入保障保険からも保険がおりない、闘病が続き収入がなくなる期間が長期にわたるとき。こんな時に就業不能保険の出番です。
就業不能保険といわれるものははお勤めの方と個人事業主の方では考え方が異なります。ここではまずお勤めの方についての事例についてお話をしていきます。なぜ分ける必要があるのかというと傷病手当金というものがお勤めの方にはありますが、個人事業主の方にはないからです。
業務外の自由による事故や病気などで働けなくなったときは欠勤4日目以降から傷病手当金というものが支給されます。この金額はおおよそ標準報酬月額(おおよそ自分の月収)を30で割った金額の3分の2が支給されるというものです。
しかし前述しましたが、会社を病気で休んでいるからといって生活費が減少するわけではありません。むしろもろもろ医療機関に通うなどで生活費が通常よりもかかる可能性もあります。
毎月病気やけがで働けなくなったら60歳、または65歳までたとえば年金や病気で減らされた給料にプラス10万円ないし20万もらえるとしたら闘病生活も変わってくるのではないでしょうか?
あまり知られていませんが、医療技術の発達により病気になっても処置をしながら闘病しながらも日常生活を送り、長生きをすることが可能になりました。しかし生きるということは生活費がかかり、その生活費をカバーする商品が必要になりクローズアップされ始めてきました。
就業不能保険はどんな保険?
病気やケガで働くことができない状態が一定期間続くと毎月20万、30万とあらかじめ定めた金額を、定めた期間受け取れるというものです。安定した勤労収入がある人が加入対象になります。専業主婦でも加入できる商品もあります。
そして、給付の要件は医師の診断により就業不能な状態であることが要件です。就業可能な状態になってから一定の免責期間を過ぎるとそれ以降長期間にわたり毎月一定の金額を受け取ります。
40歳の時に就業不能の状態と認められれば、60日間の免責期間の後、60歳まで毎月20万円が受け取れる。
免責期間とは要するに就業不能と認められてから60日経過しないと20万円がもらえないということです・・。
ん??なんだか厳しいね。免責期間がないものもあります。
就労不能な状態になったときは、お勤めの方であれば1年6カ月は傷病手当金という国の補償が受けられます。直前の給料の最大3分の2までは受け取れる制度です。しかし自営業の方にはこの傷病手当金がありません。
したがって自営業の人は免責期間がない就業不能保険、お勤めの方は免責期間の長い60日、ないし180日置いた後に毎月受け取れるプランにするのが一般的です。基本的に免責期間が長い方が毎月払う保険料は安くなります。
うつ病や精神疾患も就労不能状態として認定されれば保険の給付が受けられる商品もあります。
自分の職種やニーズに合わせて自分に合った就労不能保険を選びましょう。
所得補償保険とは何が違うの?
所得補償保険とは何が違うんですか?この保険自体もあまり知られていないのですが、基本的な仕組みは就業不能保険と一緒です。
所得補償保険はもっぱら損害保険会社が取り扱っています。保険期間は1年、や2年が多く、免責期間は0~14日とその代り短いです。
就業不能という診断がでて、免責期間のあと毎月10万、20万など決まった金額が受け取れるものです。所得補償保険は40歳から60歳までというように長期間ではなく、1年間、2年間と短期間であるのが一般的です。その代り保険料は割安に設定されています。
就業不能保険、所得補償保険、収入保障保険・・似ていますけど全く用途は異なります。
以下それぞれの特徴になります。
保険種類 | 就業不能保険 | 所得補償保険 | 収入保障保険 |
支払要件 | 病気やケガで働けない時 | 万が一・高度障害の時 | |
保険金額 | 毎月○○円と指定可能(上限あり) | 自由に設定可能 | |
保険期間 | 50~70歳など長期 | 1年~5年 | 50~70等長期間 |
保険金支払い期間 | 保険期間満了まで | 1年間、2年間等比較的短期間 | 保険期間満了まで |
免責期間 | 0、60、180など | 0~14など | なし |
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