生命保険の契約転換制度とは?
- 2016.07.12
- リスクと保険 FP 独学 ファイナンシャルプランナー
生命保険の支払いが大変だなーー見直したいなと思ったときに今の契約を解約せずに保険を見直しできる制度として、「契約転換制度」や「減額」などが可能です。また保障を追加する「増額」という方法があります。
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契約転換制度とは
契約転換制度は、転換価格(今持っている保険の責任準備金は配当金)を新契約の一部に充当する方法です。責任準備金とは保険の加入者に給付するために積み立てているお金のことです。
よく中古車にたとえられます。今までの保険をいったん売却していくらかお金を足して新しい保険を購入するとおいうイメージです。
中古車を売却したときに得られるお金のことを転換価格という言い方をする。思ってもらうとわかりやすいと思います。
契約転換制度には3通りあります。
①基本転換
新しい契約を定期保険特約付き終身保険にしたとしたら、転換価格はその終身保険部分に充当することを言います。転換後の保険料は以下3つのうちもっとも高くなります。
②定期保険特約転換方式(定特転換)
新しい契約が①と同じ定期保険特約付き終身保険だとしたら、転換価格をこちらは定期保険部分に充当する方法です。終身保険よりも定期保険のほうが保険料が安いため、転換後の保険料は一番安くなります。
③比例転換方式
①、②を見て最後はおおよそ想像はつくと思いますが、定期保険部分と終身保険部分にそれぞれ転換価格を充当する方法です。①、②に比べて転換後の保険料は中間になります。終身保険部分、定期保険部分両方増やすことができるというものです。
ただ、やみくもに契約転換制度を利用するのは注意が必要です。あまり消費者のためを思って契約転換制度をお勧めしてくれない場合もあります。契約転換制度にダマされない!と参考にしてください。
契約転換制度は実務ではこんなケースもあることに注意です
私の知人あてに、担当の生命保険の営業から連絡があったそうです。
その内容は、「契約転換制度」を使って保険を見直しませんか??というもの。特には見直しの話をこちらから持ちかけたわけでもなく、保険会社の営業から連絡あったそうです。ちょっと注意したほうがいいかな―と思いました。
生命保険の契約転換制度とは。今の契約の責任準備金や配当金をもとに新契約の保険料の一部に充当するというものです。くわしくは前段の説明の通りです。
今の車を中古車屋に売却して、新しい車を購入する頭金にするというのを生命保険でもやってみませんか?というお決まりトークで迫ってきます。
今の保険を売却してしまうのですから、転換すると新しい保険を購入するので前の契約は無くなりますし、再度加入するにはその時点での健康状態を告知する必要があります。
【転換が適用できる条件や注意点】
- 転換前と転換後が同じ保険会社であること
- 前述のとおり、告知が必要で保険会社の引き受け基準を満たすこと
- 保険料は転換時の年齢での保険料を適用する
- 予定利率が下がる時は保険料が実質引き上げとなることがある
問題はなぜ何の前触れもなくこの営業は転換制度を提案してきたのか?
という点が私がひっかかった点です。案の定、予定利率が3%後半の今では考えられないお得に加入できている保険。お客様に有利ということは、保険会社はあまり望ましくない保険ということです。転換制度を利用して、何も知らない若手営業に回らせて保険会社にとってデメリットになる契約を潰してしまおう。という魂胆が見え見えの内容でした。
契約転換制度は便利な制度。でもダマされないで!
そのことを知らない時点で、顧客と営業の接点が全くないことが見て取れます。そしてこの旧契約と新規契約の保険金額の差額が営業の成績(手数料)になります。
転換制度はわかりにくくきちんと旧契約と転換後の契約がどうなるかを説明し、ゆっくり理解してもらわないとトラブルのもとになります。あなたの身の回りの信頼できる営業としっかり打ち合わせをして同意をしたうえで契約をしましょう。
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