マイナス金利によって教育ローン(奨学金)はどうなるの?
- 2016.02.13
- FP 独学 ファイナンシャルプランナー
マイナス金利によって、預金金利が下がり始め、保険料を決める予定利率に低下により保険料も上がるのではないか?と言われています。
しかし逆にお金を借りる立場(住宅ローンなど)の方にとっては有利になるのではないか?と言われています。
では奨学金に関してはどうなるのでしょうか?日本学生機構の奨学金に関してのお話です。
日本学生機構が運営する奨学金制度が一般的ですが、あくまでも学生支援という色が強い為、経済情勢によって即時にそれに反応して貸与型の借入利率を下げるということはないと思われます。あくまでも予想なので、私もウォッチしていきたいと思います。
奨学金の「給付型」と「貸与型」
奨学金には「給付型」と「貸与型」があります。給付型は返さなくていいもの、貸与型は卒業後に返さなければいけません。
「第一種奨学金」と「第二種奨学金」
「貸与型」奨学金はさらに「第一種奨学金」と「第二種奨学金」に分かれます。
「第一種奨学金」の要件
特に優れた学生及び生徒で経済的理由により著しく修学に困難がある人に貸与するもので、学力・家計・人物・健康を一定水準満たすことが必要です。
【学力、家計基準の例】進学前の申込みで、4人世帯・給与所得の場合
・ 申込時までの高校の成績が5段階評価で平均3.5以上
・ 申込の前年1年間の家計収入が781万円以下(目安)
「第二種奨学金」の要件
優れた学生及び生徒で経済的理由により修学に困難がある人に貸与するもので、第一種奨学金よりも要件は緩やかです。
【学力、家計基準の例】進学前の申込みで、4人世帯・給与所得の場合
・ 次のいずれかに該当すること
①申込時までの高校の成績が学校の平均水準以上であること
②特定の分野において特に優れた資質能力を有すると認められること
③学修意欲があり学業を確実に修了できる見込みがあると認められること
・ 申込の前年1年間の家計収入が1,124万円以下(目安)
第一種奨学金は無利息、第二種奨学金は平成26年3月現在、利率固定方式では年0.82%、利率見直し方式では年0.2%となっています。
※利率固定方式とは貸与終了時の利率を返還完了まで適用する方式で、住宅ローンでいう固定金利のことです。利率見直し方式とは返還中おおむね市場の金利の変動によって5年ごとに利率を見直す方式のことで住宅ローンでいう変動金利の事を言います。
ただし日本学生支援機構の利率見直し方式についてはどんなに市場の金利が変動しても利率3%を超えることはありません。
日本学生支援機構の奨学金の返済利率の特徴
不思議でもあり、学生の支援という側面からすればなるほどと思いますが、一般的な教育ローンが親が名義人で借り入れするのが普通ですが、日本学生機構の奨学金は学生本人が借入をすることになります。
したがって、第一種奨学金はもともと無利息ですが利息のかかる第二種奨学金についても在学中は無利息で、金利が決まるのはその後(貸与終了時点(すなわち4年後)なのです。
かと言ってそれはそれでその時金利はどうなっちゃうんだろうというという心配はあると思いますが、その貸与終了時点で一定期間内な利率固定方式か、利率見直し方式を選択することができます。住宅ローンでいう固定期間選択型のようなイメージです。
したがって、日本学生機構の奨学金についてはマイナス金利になったからといって今のところは金利が下がって、すぐに借りやすくなるわけではなくむしろ恩恵を受けるのはこれから大学を卒業する人たちと言えるでしょう。
また、今返済している人も利率固定方式の人は心配いりませんが、利率見直し方式を選択している人もマイナス金利により貸出の金利が下落傾向なので下落の恩恵を受ける可能性はあると言えるでしょう。
ただ前述しましたが、金利の見直しは5年に1度です。やはり今すぐ金利が下がるわけではありません。
今回はあくまでも日本学生機構の奨学金のお話でした。民間金融機関の教育ローンは状況は異なります。また改めて解説したいと思います。
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