社会保険|公的医療保険

社会保険|公的医療保険

社会保険とは

社会保険は国民が、高齢、ケガ、失業などで働けなくなった時に国から給付をうけられる制度です。

大きく以下のように分けられます。

社会保険の種類

広義の社会保険社会保険(狭義)医療保険
介護保険
年金保険
労働保険労災保険
雇用保険

公的医療保険

公的医療保険は以下のように分類されます。

公的医療保険の分類

健康保険国民健康保険後期高齢者医療制度
被保険者お勤めの方
(サラリーマンなど)
公務員

自営業者75歳以上(一定の障害がある人は65歳以上)
保険者全国健康保険協会
(協会けんぽ)、
または大企業は健康保険組合
(組合けんぽ)
共済組合

都道府県と市町村や国民健康保険組合後期高齢者医療広域連合
医療費の自己負担は以下のようになります。例えば、自己負担割合が3割のケースなら、入院と手術で10万円かかったとしたら、自己負担は3万円で済みます。
区分自己負担割合
小学校入学前2割
小学校入学後~69歳3割
70歳以上~74歳2割
現役並み所得者は3割
75歳以上~1割
現役並み所得者は3

健康保険

健康保険は被保険者とその被扶養者(家族)に対して、業務を原因としない病気やケガ、死亡、出産について保険給付を行います。

業務を原因とする場合は労災保険の範囲になります。

健康保険の対象者

役員、従業員(被保険者)とその被扶養者(家族)

パート・アルバイトでも事業所と常用的使用関係にあるような場合は被保険者となります。

常用的使用関係とは・・

・1週間の所定労働日数

および

・1カ月の所定労働日数が同じ事業所の同じ業態に従事している

一般社員の4分の3以上の者は被保険者となる。

また、以下の要件を全て満たす場合は4分の3未満でも被保険者になります。

  • 週の所定労働時間が20時間以上あること
  • 雇用期間が1年以上見込まれること
  • 賃金月額が88,000円以上(年収106万以上)であること
  • 学生でないこと
  • 従業員数が常時501人以上の企業(特定適用事業所)に勤めていること

健康保険の保険者

大企業などの組合管掌健康保険(組合けんぽ)は健康保険組合が保険者、

中小企業などの全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)は全国健康保険協会が保険者になります。

健康保険の被扶養者の要件

健康保険の被扶養者は以下の要件を全て満たしている必要があります。

  • 同一生計親族であること
  • 年収が130万未満(60歳以上または障害者は180万円未満)
  • 被保険者の年間収入の2分の1未満(同居の場合)

健康保険の保険料

健康保険の保険料は以下の用に計算された金額を労使折半(従業員と会社で半分ずつ出し合う)します。

被保険者の標準報酬月額+標準賞与額)×保険料率※

※保険料率は組合ごとに決めることは可能ですが、都道府県の健康保険料率を参考にしているケースが多いです。

産休の間は産前42日(多胎妊娠の場合は98日)、産後56日および育児休業期間中(3歳までの子を養育するまでの育児休業期間中)は社会保険料(厚生年金保険料、健康保険料)は被保険者、事業主ともに免除されます。

健康保険の給付内容

療養の給付

前述と同様です、念のためこちらにも記述します。

医療費の自己負担は以下のようになります。例えば、自己負担割合が3割のケースなら、入院と手術で10万円かかったとしたら、自己負担は3万円で済みます。
区分自己負担割合
小学校入学前2割
小学校入学後~69歳3割
70歳以上~74歳2割
現役並み所得者は3割
75歳以上~1割
現役並み所得者は3

傷病手当金

被保険者が病気やケガで働けなくなり、給与が受取れなくなった場合、

会社を連続する3日間に加え(1日置きなどでは×)、4日以上休んだ時(要するに4日連続で休まないとダメということ)に4日目から最長で1年6ヶ月支給される。

1日当たりの支給額は、

支給開始日以前の標準報酬月額の平均÷30×2/3で計算されます。

出産手当金

被保険者が出産のため働けずに給料が受取れない時、出産前42日、出産後56日のうち仕事を休んだ日数分の給与が支給される。

1日当たりの支給額は、

支給開始日以前の標準報酬月額の平均÷30×2/3で計算されます。

出産育児一時金

被保険者や被扶養者が妊娠四カ月以上で出産した場合、(産科医療保証制度に加入している場合は42万、していない場合は39万)支給されます。

埋葬料

被保険者や被扶養者がお亡くなりになったことで、遺族が葬儀を行った場合は一律5万円が支給されます。

高額療養費

所得区分自己負担限度額
標準報酬月額83万円以上252,600-(総医療費ー842,000)×1%
標準報酬月額53~79万円167,400-(総医療費ー558,000)×1%
標準報酬月額28~50万円80,100-(総医療費ー267,000)×1%
標準報酬月額26万円以下57,600円
住民税非課税世帯35,400円

高額療養費についてもっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

国民健康保険

国民健康保険の対象者

自営業者、フリーター、後期高齢者医療保険に加入する前の年金生活者等で、市区町村に住所があり、健康保険に加入できない人が国民健康保険の対象になります。

国民健康保険の保険者

国民健康保険の保険者は、都道府県と市区町村が保険者になるものと、国民健康保険組合が保険者になる場合があります。

国民健康保険の保険料

市区町村ごとに定められており、前年の所得をもとに計算。被保険者が全額を負担します。

また、国民健康保険は被扶養者という考え方はありません。

国民健康保険の給付内容

健康保険の給付内容とほぼ同じ。

しかし、出産手当金と傷病手当金はありません。

また、国民健康保険はフリーター、75歳より前の年金生活者なども加入するためそもそも仕事をしていない人も加入します。

業務中しか支給対象にならない健康保険と給付要件が異なります。

後期高齢者医療保険制度

後期高齢者医療保険制度の対象

75歳以上の人、または65歳以上75歳未満の障害認定を受けた人。

後期高齢者医療保険制度の保険者

各都道府県の後期高齢者医療広域連合

後期高齢者医療保険制度の保険料

各都道府県の後期高齢者医療広域連合によって決定され、年金から天引きされる。

国民健康保険と同様で被扶養者という考え方はありません。

給付内容

医療費の自己負担は1割。一定の所得がある人は3割負担。

退職後の公的医療保険について

65歳で会社を辞めて年金生活になるなど、環境の変化に伴い、自分が所属する公的医保険制度の所属が変わります。

このケースであれば、会社の健康保険→国民健康保険になるケースなどがあります。

退職後はいずれかの公的医療保険制度に加入をしなければなりません。

以下のような選択肢があります。

任意継続被保険者これまでの健康保険に引き続き加入する
・条件・・①2か月以上これまでの
健康保険の被保険者であったこと

②退職の翌日から20日以内に任意
継続被保険者の手続きを行うこと

全額自己負担で、退職後2年間まで
しか継続できない
国民健康保険に加入をする退職の翌日から14日以内に手続きを行う
保険料は全額自己負担
家族の健康保険の被扶養者となる健康保険の被扶養者の要件と同様
(年収130万未満(60歳以上または障害者は180万円未満))かつ、
健康保険の被保険者の年収の2分の1未満。
自己負担はありません。

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金子賢司

この記事を書いた人

ファイナンシャルプランナー金子 賢司

これまで1000件以上の家計、住宅ローン、生命保険、損害保険、資産運用の相談に携わる。UHBなどのテレビのコメンテーターや確定拠出年金等のセミナーを毎年約50回実施。CFP資格保有者。TLC(生命保険協会認定FP(TLC資格とは))、損害保険トータルプランナー公式HP