債券とは

債券とは

債券とは

金融商品の一つに債券というものがあります。株式や預貯金に比べて知名度が劣りますが、投資をしている人の中ではごく一般的な金融商品です。

預貯金についての解説はこちらを参考にしてください。

【債券とは】
国や企業が投資家からお金を借りるときに発行する借用証書のことをいいます。
国が発行した債券→国債
企業が発行した債券→社債
地方公共団体が発行する債券→地方債
金融機関が発行する債券→金融債
というように発行体によって呼び方が変わります。

債券の償還

債券は国や企業等が投資家から「お金を借りる」ことになるので、借りたお金は返さなくてはなりません。またお金を借りている側は、貸してくれる人に利息を払わなければなりません。

このお金を返すことを償還といいます。国や企業にとっては投資家から借りたお金の返済期限、満期とも言えます。

債券の価格

債券の償還(満期)時に返ってくる金額を額面金額といいます。

額面あたりをいくらで借りるかを表す価格を発行価格といいます

額面金額は満期時に返ってくるお金、発行価格は借りる時のお金なので異なることは当然あります。

【額面金額100円だったとすると】
額面金額100円、発行価格100円だった場合をパー発行といいます。
額面金額100円、発行価格102円だった場合はオーバーパー発行といいます。
額面金額100円、発行価格98円だった場合はアンダーパー発行といいます。

債券の金利

債券の金利とは、債券の「額面」に対しての利率をいいます。クーポンレート、表面利率とも言います。

1年物で金利1%の国債があったとしたら、額面100円で100口購入したとします。

金利は額面の金額で計算するので、額面100円の1%なので101円になります。

100口が100円から101円になるので、101円×100口=10100円になります。

100円で償還されるのだとしたら、なんで102円で発行されたものを買う人がいるの??

ここはテストには出ませんが、知っておいてほしいです。

額面100円が将来返ってくるのなら、102円で発行されている債券を買う人なんているわけないよね??

と思うかも知れません。

1年物の債券があったとしたら、1年後額面100円で帰ってくるわけですから102円で発行されるものをわざわざ購入すると単純に2円損します。

債券は利率も含めて考える必要があります。利率5%なら、額面の5%が利息でつきますので1年後は105円になります。

そうすれば102円で債券が発行されたとしても、購入するメリットがあります。

債券は利率と額面と発行価格という3つを総合して購入を検討する必要がある金融商品なのです。

債券の種類

債券には多くの種類がありますが、以下の項目で分類されます。

債券の種類

  • 発行体による分類
  • 利払いの方法による分類
  • 新規か既発(きはつ)か?
  • 円建て債券、外貨建て債券
  • 公募か私募か?

発行体による分類

国債、地方債など。冒頭に説明した内容と同様でどこが発行した債券かによって分類されます。

利払いの方法による分類

利付債(りつきさい)毎年定期的に利払いが受けられる債券
割引債(ゼロクーポン債)額面金額よりも安くあらかじめ発行され、
満期時は額面金額が償還される債券。
その代り利息の支払いは無い

新規か既発(きはつ)か?

新発債新たに発行される債券
既発債(きはつさい)既に発行されている債券

円建て債券と外貨建て債券

円建て債券払込み、利払い、償還が全て円建てで行われる債券。
(ただし発行体が海外ならサムライ債という一般的には
外貨建て扱いになります。)
外貨建て債券払込み、利払い、償還が外貨で行われる債券

公募債と私募債

公募債誰でも購入可能な債券
私募債債券発行者と特定の関係にある人だけが購入可能な債券
(縁故債ともいう)

債券市場

債券は以下のような場所で取引ができます。

取引所市場金融商品取引所に上場している債券を売買する
店頭市場金融機関が直接投資家とやり取りする。
(金融商品取引所を介さない、債券売買の中心となる市場です)
業者間市場金融機関同士が取引をする市場

債券の利回り

債券は投資商品なので、その債券を保有や売却することでどれぐらいの収益、または損失が出たのか?という利回りを把握することは非常に重要です。

債券は実際に取り扱わないとなかなかとらえどころがない商品です。

したがって、

実際のテストでは、応募者利回りを問われているのか?最終利回りを問われているのか?所有期間利回りか?直接利回りを問われているのか?をしっかりと確認しましょう。この公式は理屈がわかれば簡単なのですが、わからなければまる覚えするしかありません。高い確率で出る問題なので、確実に覚えましょう。

応募者利回り新規債を購入し、満期の償還まで保有した場合の利回り
最終利回り既発債を時価で購入し、満期まで保有した場合の利回り
所有期間利回り新規債または既発債を購入し途中で売却した場合の利回り
直接利回り購入価格に対しての毎年の収入の割合

応募者利回り新規で購入して最後(償還)まで持っている。最終利回りは途中で購入し、最後(償還)まで持っている。所有期間は新規で購入または途中で購入し途中で売却している。
この保有期間の利回りを問われている問題です。

それぞれの計算方法は以下の通りです。

応募者利回り

最終利回り

所有期間利回り

直接利回り

債券の価格と利回りの関係

債券の価格変動リスク

債券の価格に、額面と債券価格というものが存在します。

額面は、あくまでも償還されるときの金額であったり、債券の利息が額面の○%というように基準となるものです。

債券価格が実際に売買する際の値段になります。

額面一口100円の債券を、95円で購入したり、101円で購入したりすることがあるということです。

債券価格と利回りの関係

債券の需要が高まり、たくさん購入されると債券価格・債券相場は上昇し、利回りは低下します。

債券の需要が少なくなり、たくさん売られると債券価格・債券相場は下落し、利回りは上昇します。

債券価格・債券相場と利回りは相反する動きをするのがポイントです。仕組みは若干難しいので、まずはまる覚えしましょう。

債券価格の変動要因

債券価格は市場の金利と受給が大きく影響します。

債券の償還までの期間が長いもの(残存年数が長いという言い方をします)や表面利率(クーポンレート)の低い債券ほど金利変動による価格の変動が起こりやすくなります。

その他債券のリスク

債券は株式投資よりはリスクの低い商品と一般的にはされていますが、リスクはもちろんあります。

価格変動リスク(金利変動リスク)は前述の通りですが、その他

どんなリスクがあるのかを見ていきます。

債券のリスク
  • 信用(デフォルト)リスク
  • カントリーリスク
  • 流動性リスク

信用(デフォルト)リスク

債券は企業や国が投資家からお金を借りて、その利息を償還時にお返しするという性質のものです。

したがって、その利息や償還がもしかしたら発行体の状況によっては行われない可能性があります。これが信用リスクです。

したがって、ある程度まだ信用のない企業や国(例えばトルコやギリシャなど、破たんする可能性が比較的高い国)などは、利回りを高く設定して投資家にとって魅力的な商品にしないと誰も投資家が購入してくれません。

逆に利回りに魅力を感じて投資家は購入しましたが、国や企業が破たんしてしまうかもしれません。リスクとリターンは、債券に限らずどの商品も表裏一体なのです。

 格付け信用リスク利回り債券価格
投資適格債AAA

 

 

 

 

 

 

 

 

 

AA
BBB

投資不適格債

(ジャンク債、

ハイイールド債)

BB
CCC
CC

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金子賢司

この記事を書いた人

ファイナンシャルプランナー金子 賢司

これまで1000件以上の家計、住宅ローン、生命保険、損害保険、資産運用の相談に携わる。UHBなどのテレビのコメンテーターや確定拠出年金等のセミナーを毎年約50回実施。CFP資格保有者。TLC(生命保険協会認定FP(TLC資格とは))、損害保険トータルプランナー公式HP