金と金融派生商品
- 2019.12.21
- 金融資産運用 FP2級資格取得webテキスト
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金と金融派生商品
金投資
金も一種の投資商品であり、世界のどこかの通貨の価値に左右されない普遍の価値を持っています。したがって戦争やインフレ時には需要が高まるため、「有事の金」と言われています。
金には現物取引と、先物取引があり、
現物取引には3種類の投資方法があります。
金の価格は1トロイオンス当たりの米ドル価格で表示されます。したがって、為替変動リスクがあり、保有していても利息収入はありません。
値動きで発生するキャピタルゲイン(価格変動で得られる利益)のみが金の投資で得られる収益になります。
- 純金積立
- 金貨(地金型金貨)
- 金地金
純金積立 | 毎月一定額を購入する方法、積立資産は時価で換金も可能。現物で受け取ることもできる。 売却益は雑所得か譲渡所得になる。個人が営利目的で頻繁に売買する場合は雑所得、年に数回程度なら雑所得となる。 |
金貨(地金型金貨) | カナダのメイプルリーフ金貨やオーストラリアのカンガルーなどの現物を購入 売却益は譲渡所得になる |
金地金 | よく見かける金の延べ棒のこと。 売却益は譲渡所得になる |
金融派生商品(デリバティブ)
商品名は難しいですが、読んで字のごとく金融商品から派生して生まれた商品が金融派生商品です。
通貨や金利、株式、債券などの金融商品の原資産の価格に依存してその理論価格が決まります。
金融派生商品の特徴
レバレッジ効果 | 少額の資産で大きな額の取引ができる |
リスクヘッジ効果 | 将来の取引を現時点で確定するのでリスクを抑えられる |
リスクヘッジ効果についてもう少し詳しく・・
リスク(危険)をヘッジする。ヘッジは垣根という意味があり、食い止めるという解釈でいいと思います。リスクを一定のところで食い止めるために柵を設けるというニュアンスです
例えばガソリン価格のように値動きがする商品があったとします。
そんな中あなたは、個人でカツカツで生活していたとします。
ガソリン代が今は130円だったとしても、半年後は200円になるかも知れません。ちょっと200円は言い過ぎですが、今の社会情勢では何が起こるかわかりません。
カツカツの生活をしているあなたはガソリン代が上昇すると、かなり家計に痛手を生じる状態だとします。
ところが、
という約束をあなたが誰かとできたとしたら、安心しませんか?
世の中のガソリン代が130円になってしまったら損な気もしますが、値上がりを一生心配しなくてよくなりますよね。少なくとも140円以上にはならないので、家計の計画が立てやすくなります。
・先物取引
・オプション取引
・スワップ取引
先物取引
ある商品を、将来一定の価格で一定の数量を売買することを契約する取引のことをいいます。
先物取引の特徴
・店頭取引ではなく、証券取引所で取引される
・差金決済制度が中心。決済の期限(限月(げんげつ))までに反対売買を行ってその差額を決済できる
・証拠金制度があり、売買代金の一部を証拠金として預けるだけで取引ができる
オプション取引
ある商品を一定の期間後にあらかじめ定めた価格で売買をする権利のことをいいます。
買い手 | 売り手 | |
コールオプション (買う権利) | コールの買い 一定期間後に買う権利を取得し、プレミアム※を支払う | コールの売り プレミアムを受け取り、一定期間後に売る義務がある |
プットオプション (売る権利) | プットの買い 一定期間後に売る権利を取得し、プレミアムを支払う | プットの売り プレミアムを受け取り、一定期間後に買い取る義務がある |
・金融商品取引所に上場している上場オプションと、店頭で相対で取引される店頭オプションがある
・権利行使がオプション満期日のみに限定されているヨーロピアンタイプといつでも権利行使できるアメリカンタイプがあります
・買い手の「損失」は払ったプレミアムに限定される
・売り手の「利益」は受け取ったプレミアムに限定される
・買い手はコールの場合は買う権利、プットは売る権利を放棄できる。その代りプレミアムは支払わなければならない。
オプションのプレミアムについて
オプションのプレミアムも一定の法則があります。やみくもに買い手が有利だったり売り手が有利になったりすることは原則はありません。
仕組みは難しいので、以下の表は丸覚えしてください。
オプションプレミアムの変動要因
変動要因 | コールオプションのプレミアム | プットオプションのプレミアム |
原資産価格が上昇すると | 上昇 | 下落 |
原資産価格からみて、権利行使価格が高いほど | 下落 | 上昇 |
満期までの期間が長いほど | 上昇 | 上昇 |
ボラティリティ(価格変動の大きさ)が大きいほど | 上昇 | 上昇 |
スワップ取引
経済的価値の等しい金利や通貨から生じるキャッシュフローを交換する取引で、
異なる通貨の債券と債務を交換する通貨スワップ
変動金利と固定金利を交換する金利スワップがあります。
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この記事を書いた人
ファイナンシャルプランナー金子 賢司
これまで1000件以上の家計、住宅ローン、生命保険、損害保険、資産運用の相談に携わる。UHBなどのテレビのコメンテーターや確定拠出年金等のセミナーを毎年約50回実施。CFP資格保有者。TLC(生命保険協会認定FP(TLC資格とは))、損害保険トータルプランナー、公式HP
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