資産運用|セーフティネットと関連法規

資産運用|セーフティネットと関連法規

資産運用|セーフティネットと関連法規

お金を持つようになると金融機関を利用する機会が増えます。

もし手元に1000万持っていたとしたら、そのまま裸で部屋の片隅に置いておく人はいないでしょう。

ただ、 保管していたとしても盗まれる可能性もあるのでシッカリと安全なところにお金は置いておきたいというのは誰もが思うでしょう。

他にも金融機関にお金を保管してもらう目的は様々です。

  • お金を預けたい
  • お金を運用したい
  • 支払口座を持ちたい

金融機関を利用したほうが自分で保管するよりは安全だというのはわかっているのですが、やっぱり金融機関に万が一のことがあったら心配です。そこで、各金融機関はごとに万が一の時に私たちの資産を守る仕組みを用意しています。

これをセーフティネットといいます

金融商品のセーフティネットには以下のようなものがあります。

  • 預金保険制度
  • 日本投資者保護基金
  • 消費者契約法
  • 金融商品販売法
  • 金融商品取引法

それぞれについて解説していきます。

預金保険制度

お金を預けている銀行が破綻してしまったら大変ですよね!?

預金保険制度は金融機関が破綻した時に、預金者を保護する制度です。預金保険機構という機関があります。

毎年一定の割合で加盟金融機関から保険料を徴収しています。

農協や漁業の貯金などは、農水産業共同組合貯金保険機構という機関が預金保険機構と同様の役割を果たしているよ!

預金保険制度の保護の範囲

仮に金融機関が破綻した場合は、私たちの預金はどれくらい守ってくれるのでしょうか?

全額保護されるもの

  • 決済用預金
決済性預金とは・・当座預金や①無利息、②預金者が希望すればいつでもお金が引き出せる、③引き落としができて決済性のある口座である。
  • 決済用預金以外は1金融機関あたり、1000万円とその利息まで
※これを超えたら支払われないというわけではなく、超えた分は破綻金融機関の財産状況によります。

預金保険制度の範囲の具体例

預金保険制度の対象
となる預金
対象とならない預金

・右記に該当しない預貯金
・定期積金
・元本補填契約※1のある金銭信託
・金融債(保護預かり専用商品※2)
・確定拠出年金の運用に
 かかる預り金

・ゆうちょ銀行の預金

・外貨預金
・譲渡性預金
・元本補填契約のない金銭信託
・金融債(保護預かり専用商品
 以外)

・外国の銀行に預けた預金

※1元本割れ部分を信託銀行が補填してくれる契約のもの

※2債券の現物が引き出せないので、金融機関に保護して預かってもらう必要のある金融商品

政府系金融機関や外国銀行の国内支店は対象外です

預金保険制度の名寄せ

破綻をした金融機関に複数の口座があった場合は、それぞれ守られるのでしょうか?それとも合計になるのでしょうか?というお話です。

個人で同じ名義で複数持っている場合は、預金者ごとに預金額が合計されてしまいます。これを名寄せといいます。

  • 家族の口座は別々に扱われる
  • 個人事業主としての口座と、個人の口座がある場合は合算されます
  • 法人の場合は1法人1口座という扱いになります

預金保険制度で保護される口座の優先順位

破綻した金融機関に複数の口座があるときは以下のような優先順位で補償されます。

1が最優先、5が最も後とすると、
1、担保権の目的となっていないもの
2、弁済期(満期の早いもの)
3、弁済期のが同じであれば、金利の低いもの
4、金利も同じであれば預金保険機構が指定するもの
5、担保権の目的となっているものが複数ある時は、預金保険機構が指定するもの

日本投資家保護基金

投資信託などで運用をお願いしたお金が、金融機関の破綻で失ってしまった場合はどうなってしまうのでしょうか?

証券会社は通常これらの投資家から預かった金融資産を証券会社の資産とは分けて管理することを義務付けられています。

これを分別管理義務といいます!

基本的には分別管理義務がありますので、安心なのですが万が一証券会社が分別管理を怠っているケースがあるかも知れません。

そのような場合に備えて、日本投資者保護基金に加入をしており、証券会社は加入することが義務付けられています。

その場合に、証券会社の破綻等で投資家が損害を被った場合は、日本投資者保護基金により、一人最大1000万円まで保護されます。

消費者契約法

車が欲しいとおもった個人と、会社の看板を背負った車のセールスが対面すれば情報の量や質で圧倒的にセールス(会社)が有利です。個人と事業側とでは圧倒的な情報量の差があるため、事実を誤認したり、困惑して締結した契約を取り消すことができます。

従って

保護されるのは個人のみです

  • 個人が事業者からの説明で誤認、困惑をして契約をした場合は契約自体を取り消すことができます。
  • 消費者に一方的に不利になる契約がある場合は、その条項の一部または全部が無効になります。

契約や申込の取り消しができるのは
追認※1することができる時から1年
または
契約してから5年
です。

※1追認とは、取り消しができると法律で定められた期限のことです。

誤認・困惑の事例には以下のようなものがあります。

  • 契約内容や条件の重要事項で事実と異なる内容を告げた(不実告知)
  • この商品は絶対に儲かるまたは、損をするからあの商品はやめてうちの商品をやるべきだと誤解させた(断定的判断の提供)
  • メリットだけを話て、デメリットを伝えなかった(生命保険にありがちです)(不告知)
  • 契約をするまで帰らない等、困惑させて契約させた(不退去)
  • 契約をするまで返さないと事業者に言われた(監禁)

金融商品販売法

金融商品を販売する業者は、金融商品を販売する際は重要事項を説明する義務があります!
重要事項の説明を怠って損失が発生した場合、損害賠償を金融業者に請求することができます。

金融商品販売法における重要事項とは?

  • 商品の価格が変動し、元本割れが生じる可能性があるときは、元本割れリスクについても説明をすること
  • 信用リスク
  • 権利行使の期間の制限や解約期間の制限等

重要事項の説明がなく、顧客が損害を負った場合は、金融商品販売業者は損害賠償をする責任を負います。

金融商品販売法は個人だけではなく、 事業者に販売するときも適用になります ただし、適格期間投資家(プロ投資家)を除きます。

金融商品販売法の対象となる商品

対象となる商品対象にならない商品
預貯金、金銭信託、投資信託、
有価証券、保険、商品ファンド、
デリバティブ取引、海外商品先物、
外国為替証拠金取引(FX)
商品先物取引(国内)、ゴルフ会員権

金融商品取引法

金融商品取引法は、投資家を保護するために定めれたルールの総称ことを言います。

ポイント1
金融商品を取り扱う業者はすべて「金融商品取引業」と位置づけられ、内閣総理大臣に申請、登録した業者でないと業務はできません。
金融業者は以下の4つに分類されます
①第一種金融商品販売取引業
②第二種金融商品販売取引業
③投資・助言業
④投資運用業
ポイント2
投資家を一般投資家(アマチュア)と特定投資家(プロ)に分け、それぞれのルールを適用。プロにはほとんどルールは適用されません。
ポイント3
金融商品が守るべきルールを取り決めている
①広告について・・・リスクや手数料は大きく表示する等
②書面交付義務・・・契約をする前に、商品の仕組みやリスク、コストについての書面を発行し(締結前交付書面といいます)、説明をする。
③適合性の原則・・・顧客その人の経験や知識、財産状況に見合った商品を販売すること。不適当な商品の勧誘を行ってはならない。
④損失補填の禁止・・・顧客に損失が発生しても、弁償したりしてはならない
など・・

金融ADR制度

金融機関と利用者でトラブルが生じた場合、裁判以外の方法で無料で紛争解決を図る制度があります。

銀行や証券、保険などそれぞれに指定紛争解決機関
すなわち金融ADR期間があり、所属している弁護士が
和解案を提示して問題解決に努めてくれるよ。

預金者保護法

キャッシュカードの盗難や偽造で預貯金を失っても、損害が補償される制度です。

補償の対象となるもの銀行キャッシュカードの偽造や盗難による不正な預金の引き出し。
補償の対象外キャッシュカード以外の通帳の盗難による不正な引出しやインターネット取引
補償額無過失・・・偽造、盗難ともに全額補償
重過失・・・偽造、盗難ともに補償なし
その他・・・偽造は全額補償、盗難は75%補償される
※重過失の例
暗証番号がカードに書いてあった、自分の生年月日を暗証番号にしていたなど
期限被害にあったことを知ってから30日以内に警察と金融機関に届ける
過失について預金者の過失は、金融機関が証明する必要があります。

犯罪収益移転防止法

・個人取引では金融機関は本人特定事項(氏名、住所、生年月日、取引目的、職業など)の確認が求められます
・口座開設時や、200万円をこえる現金取引、10万円を超える現金送金(公共料金を除く)は取引人に本人確認が必要になります。
・本人確認をした後は、本人確認内容記録、取引記録の作成、7年間の保存義務が課されます。

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金子賢司

この記事を書いた人

ファイナンシャルプランナー金子 賢司

これまで1000件以上の家計、住宅ローン、生命保険、損害保険、資産運用の相談に携わる。UHBなどのテレビのコメンテーターや確定拠出年金等のセミナーを毎年約50回実施。CFP資格保有者。TLC(生命保険協会認定FP(TLC資格とは))、損害保険トータルプランナー公式HP