年収850万円超が増税となる仕組みをFPが解説
- 2019.12.29
- 税金
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年収850万円超が増税となる仕組みをFPが解説
ツイッターでちょっとした話題になっていましたので取り上げてみました。年収850万円超のサラリーマンが増税になるという話。
これについてなぜ、増税になるのかという仕組みも含めて解説していきたいと思います。
年収850万超が増税になるのはいつから??
2020年1月1日以降の所得税に適用となります。
ただよく聞いてみると、給与所得控除がなんだかんだ・・とよくわからない。
給与所得と日本の所得税の仕組みがわからないと実はこの増税の意味は理解できません。
日本の所得税の仕組み
まずは日本の所得税の仕組みについて見ていきましょう。
所得税を計算するときには厳密には年収ではなくて、「課税所得金額」をもとに計算します。
年収と所得の違いを詳しく知りたい人は以下のブログを参考にしてください。
上記の事例に当てはめると・・
850万×23%=195.5万円控除があるから195.5万-636,000円=1,319,000円年収850万円の人の税金は1,319,000円だね。という計算は誤りです!
収入(年収)-経費の事を言います。
個人事業主の人は、その年収を稼ぐために交通費をかけたり、コピーをしたり、車を購入したりと様々な経費をかけています。
850万円の年収のうちからそれらを捻出しているのですから、そこまで税金をかけられたらたまったものではありません。
年間850万円の収入のうち、例えば年間30万交通費を使っていれば820万の部分だけに税金をかけるという計算方法でいいですよ。と税務署の人は言ってくれます。
控除について
さあここでようやく控除という言葉が出てきました。
年収850万と一概にいっても、その人の境遇は様々です。
年収850万で独身なら、贅沢し放題で生活ができる・・かもしれません。
しかしもし、年収850万の人が専業主婦の配偶者と子どもが5人いたら、、そして同居の自分の親も養っている状況だったらどうですか??
いくら年収850万とは言えなかなか厳しい生活ですよね。
このように、同じ年収でも家族の人数や年齢などで同じ税金で計算をするのは不公平ですし、かわいそうです。
2019年12月現在は、配偶者がいれば年収850万の人は38万円控除が認められています。
ということです。
配偶者以外も実は控除があります。
それが以下の扶養控除です。
↓↓
控除額は、扶養親族の年齢、同居の有無等により次の表のとおりです。難しいので、興味のある人だけ読んでください。 先ほどの年収850万の人で子ども5人、同居で自分の親も養っている場合は、年齢などに応じて、下の区分にあてはまれば、じゃんじゃん控除していいんだな。くらいに理解してもらえれば大丈夫です。
区分 控除額 一般の控除対象扶養親族(※1) 38万円 特定扶養親族(※2) 63万円 老人扶養親族(※3)同居老親等以外 48万円 老人扶養親族(※3)同居老親等(※4) 58万円 国税庁HPより ※1 「控除対象扶養親族」とは、扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が16歳以上の人をいいます。
※2 特定扶養親族とは、控除対象扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の人をいいます。
※3 老人扶養親族とは、控除対象扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が70歳以上の人をいいます。
※4 同居老親等とは、老人扶養親族のうち、納税者又はその配偶者の直系の尊属(父母・祖父母など)で、納税者又はその配偶者と普段同居している人をいいます。
※5 同居老親等の「同居」については、病気の治療のため入院していることにより納税者等と別居している場合は、その期間が結果として1年以上といった長期にわたるような場合であっても、同居に該当するものとして取り扱って差し支えありません。ただし、老人ホーム等へ入所している場合には、その老人ホームが居所となり、同居しているとはいえません。
給与所得者控除というものがあります
さてここからは、個人事業主ではなくて、会社から給料をもらうサラリーマンについてのお話です。
個人事業主は年収から経費等を引くことができますが、サラリーマン等は会社から給料をもらっても、経費等を引いたりはしてくれませんよね。
会社が交通費などは負担してくれるとは言え、
例えば会社に行く時に着ていくワイシャツやネクタイ。
ちょっとしたビジネス書籍なんかは会社が負担してくれることはないはずです。
サラリーマンには目に見えない経費というものがある。
でも一人一人計算しているわけにはいかないので、ざっくりとこれだけの給与の人はこれだけ控除するよ。
という給与所得控除が認められています。
2019年までの給与所得控除
これまでの給与所得控除はこうなっています。
収入金額 | 給与所得控除 |
180万以下 | 収入金額×40%65万に満たない場合は65万円 |
180万円超~360万以下 | 収入金額×30%+18万円 |
360万円超~660万以下 | 収入金額×20%+54万円 |
660万円超~1000万以下 | 収入金額×10%+120万円 |
1000万円超 | 220万円 |
2019年の表では1000万超の給料をもらっている人は控除額が220万以上は増えないのです。
実際に計算すればわかります。
給料での収入が1000万-220万=780万。
この780万に税金がかかるとすると、前半で使用した所得税の計算表に当てはめると、
780万×23%-636000円=1,158,000円
他に何も控除が無ければ、この人が納める税金は1,158,000円です。
他に何も控除が無ければ1280万円に前述の所得税の税率を当てはめます。
1280万円の税率は33%なので
1280万円×33%-1,536,000円=2,688,000円!!
所得税は2,688,000円に跳ね上がります。
細かい計算がもしわからなくても、、
2020年以降の給与所得控除
2020年以降はこうなります。
給与等の収入金額 (給与所得の源泉徴収票の支払金額) | 給与所得控除額 | |
---|---|---|
1,800,000円以下 | 収入金額×40%-100,000円 550,000円に満たない場合には、550,000円 | |
1,800,000円超 | 3,600,000円以下 | 収入金額×30%+80,000円 |
3,600,000円超 | 6,600,000円以下 | 収入金額×20%+440,000円 |
6,600,000円超 | 8,500,000円以下 | 収入金額×10%+1,100,000円 |
8,500,000円超※ | 1,950,000円(上限) |
おお!なんだか見たことがある数字が・・
給料が高い人は賢く生きましょう
国は年金や健康保険の財政不足から、取れるところから取ろう。
そして収入が丸裸で把握でき、税率を上げてもあまり文句をいわない年収の高いサラリーマンをターゲットにステルス増税を続けています。
これだけの給料を得ているサラリーマンは優秀な人だと思いますので、
副業や投資、資産運用などで節税をする意識をもち、
無駄に国に健康保険や税金を取られないように対策を立てましょうね。
この記事を書いた人
ファイナンシャルプランナー金子 賢司
これまで1000件以上の家計、住宅ローン、生命保険、損害保険、資産運用の相談に携わる。UHBなどのテレビのコメンテーターや確定拠出年金等のセミナーを毎年約50回実施。CFP資格保有者。TLC(生命保険協会認定FP(TLC資格とは))、損害保険トータルプランナー、公式HP
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