確定拠出年金の自動移換とは?確定拠出年金難民が80万人

確定拠出年金の自動移換とは?確定拠出年金難民が80万人

確定拠出年金の自動移換とは?確定拠出年金難民が80万人

イデコよりもはるかに加入者が多い企業型確定拠出年金ですが、せっかく企業の福利厚生で積み立ててきたお金の行先が分からなくなっている人が2019年6月時点で81万人もいるそうです。

・どのような人が行方不明になっている可能性があるのか?

・行方不明になったらどんなことが起こるのか?

・具体的に行方不明な状態から回復するにはどうしたらいいのか?

ということについて解説していきます。

確定拠出年金難民はこのようにして起こる

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なぜこのような難民が出てきてしまうのでしょうか?

企業型確定拠出年金は会社の福利厚生制度として用意されている場合があります。イデコは金融機関を自分で選んで、自分でその金融機関の品ぞろえの中から選ぶという流れになります。

しかし、企業型確定拠出年金はすでに運営する会社はお勤めの企業で指定されています。

みずほ銀行だったり日本生命だったりというように、お勤めの会社でもうすでに決まっており、それ以外の金融機関の企業型確定拠出年金に加入することはできません。

会社勤めをしているとこんなことが考えられます。

今いる会社を途中で退職したらどうなるの?」

ということです。

詳しい話は以下のブログを参考にしていただくとして、

確定拠出年金難民が発生するのは以下のようなケースです。

【ケース1:専業主婦や自営業になった】

今まで企業型確定拠出年金に加入をしていて、退職をし、次行く会社に企業型確定拠出年金がある場合は、次に行く会社の総務経理部などの担当部署が必ず確認をしますので問題は起こりません。

問題は

専業主婦(夫)になったり、自営業というように、今まで企業型確定拠出年金に加入していたことについて、退職後だれも注意点を指摘してくれないような場合です。

【ケース2:企業型確定拠出年金がない会社に入社した】

これもケース1と概要はほぼ同じです。次行く会社に企業型確定拠出年金の制度がないため、担当部署もあなたが企業型確定拠出年金に加入していたかどうかという指摘はしてくれません。

要するに、裏を返せば

企業型確定拠出年金の制度がある会社を退職した時は、次行く会社に同じような制度がない場合は、自分で退職後に手続きを行わなければならないということです。

この手続きを怠ったため、確定拠出難民になっているという状況が発生しています。

確定拠出年金が行方不明になるとこうなる

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企業型確定拠出年金に加入していた人が退職をして半年以内に手続きをしないと国民年金基金連合会にお金を移動されてしまいます。

これを

「自動移換」

といいます。

国民年金基金連合会とは、企業型、個人型(イデコ)どちらの確定拠出年金もこの国民年金基金連合会が大元です。

確定拠出年金のボスのような存在です。

ここにお金が現金化されてあなたのお金を管理しています。

なんだー、、じゃあそのまま預かってもらって60歳になったらもらえるんだね。

と安易に考えるのは禁物です。

この自動移管されている状態は何一ついいことはありません!

デメリット①手数料が掛かる

国民年金基金連合会に移換されると以下のような手数料が発生します。

支払先と支払項目金額
自動移換時特定運営管理機関への移換手数料3,240円
自動移管時国民年金基金連合会への事務手数料1,029円
毎月特定運営管理機関への管理手数料月51円
資産移管時特定運営管理機関への移換手数料1,080円
資産移管時国民年金基金連合会への事務手数料2,777円

流れとしては、6カ月間手続きをしないと、今まで運用商品として持っていたお金が現金化され、国民年金基金連合会へ自動移換されます。国民年金基金連合会がお金を管理するわけではなく、お金を管理するのは特定運営管理機関という機関になります。

まずこの国民年金基金連合会と、特定運営管理機関への手数料が掛かります。

それが合計して4269円です。

その後毎月51円が特定運営管理機関の管理手数料としてかかります。

また、後で解説しますが、この状況を脱出するには、イデコに加入をすることが解決方法の1つです。

イデコに加入する際に、特定運営管理機関への手数料(1,080円)と国民年金基金連合会への事務手数料(2,777円)が再度かかります。

3,240円と1,029円、毎月51円、1080円の部分は自動移換されていなければかからない費用です。

ということでせっかく積み立ててきたお金を自分が、うっかりしていたために余計な費用が掛かってしまいます。

ということでまずは費用的なデメリットが1つ。

デメリット②運用ができない

今まで運用していたお金が自動移換されると現金として保管されています。運用ができずお金を増やすチャンスを失ったり、イデコで所得控除のメリットを受けられなくなってしまいます。

メリットを享受するチャンスを逸しているという点で1つのデメリットと言えるでしょう。

③受給開始年齢が遅れてしまう

確定拠出年金は企業型であろうと個人型(イデコ)であろうと、デメリットとして60歳まではお金を受け取ることができません。

ところが誰でも60歳から受け取れるというわけではなく、

60歳から確定拠出年金で積立た年金を受け取るためには、加入期間が10年以上ある必要があります。

60歳までの加入期間が10年より短いと、確定拠出年金を受け取れる年齢がさらに後回しになってしまいます。

例えば企業で確定拠出年金が自分が55歳の時に導入されて、スタートしたとします。

この人は過去のキャリアでも確定拠出年金に加入したことがないので、60歳までどう考えても今回導入される確定拠出年金に10年以上加入できませんよね。なぜなら今55歳だからです。

55歳なら63歳から受け取れる。

57歳だったら64歳からと後回しになっていきます。

10年以上の加入とは、これまでの加入履歴を通算して10年あれば要件を満たします。

2年間A社の企業型確定拠出年金に加入、5年間は自営業でイデコに加入、そしてその後企業型確定拠出年金のあるC社に入社もう3年になる。

この人の場合はA社での2年、自営業でイデコに加入していた5年分。C社での3年、通算して10年あればいいのです。

がしかし、自動移換されている間は、通算されません。

ということは5年間だけ企業型確定拠出年金に加入していて、退職して手続きを60歳まで忘れていたとしたら、60歳から受け取れず毎月手数料51円がずっと引かれ続けるという状態に・・51円とはいえ、年間で600円、30年あったら資産から18,000円も削られるという計算になります。

もったいなくないですか?

自動移管の状態から回復するためには?

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イデコに加入する

この状態から回復するための最善の方法はイデコに加入をすることです。

イデコは専業主婦は所得控除のメリットがないので、安全資産である元本確保型商品をただ選ぶだけで、年末調整が受けられるメリットはありません。

イデコは初回2,777円(金融機関によって異なる)+毎月67円かかります。(手数料ゼロは完全ゼロではありません。よく読みましょう)

元本確保型を選んで所得控除のメリットだけ受けるという方法が使えないので、リスクをとった運用をしなければ、運用収益よりも手数料の方が上回り元本を取り崩す結果になってしまいます。

専業主婦の場合は多少リスクを取り、イデコの毎月の手数料を上回る実績を目指すことが望ましいです。

リスクのある商品は怖いしと思うかもしれませんが、ずっと自動移換で眠らせておく位なら、リスクをとった運用をした方がいいです。

自動移管は確実に元本が減り続けます。

リスクのある商品は、元本割れするかも知れませんが、大きく増やせる可能性もあります。

自動移管でただ資産が減っていくだけよりは、増える可能性がある方がよいのではないでしょうか?

所得控除のメリットが使える人は、イデコの商品ラインナップのなかから元本確保型を選んで、所得控除だけを受けるというように有効活用しましょう。

脱退一時金として受け取れるか確認

確定拠出年金が60歳より前で受け取れるレアなケースの1つです。

これを脱退一時金といいます。

きわめて確定拠出年金の加入期間が短い、金額が小さい場合など例外的に認められています。要件が多岐にわたるので、国民年金基金連合会に確認をしてみることをお勧めします。