日銀短観とは?発表すると何に影響するのか?わかりやすくお応えします。

日銀短観とは?発表すると何に影響するのか?わかりやすくお応えします。

日銀短観とは何でしょうか?

日本銀行が年に4回(3月、6月、9月、12月)に行う「企業短期経済観測調査」のことをいいます

短期の観測を調査するので「短観(たんかん)」と言います。

この記事の最後に動画解説もあります。お時間のある方はご覧ください。

単純にいうと企業にアンケートを出して、今景気どうですかーー?と日銀が企業に質問をして帰ってきた答えで、今企業がどうなっているのかを日銀が判断をするという指標になります。

上場企業を対象とした主要企業短期経済観測調査と中堅企業・中小企業も加えた全国企業短期経済観測調査を総称して、「企業短期経済観測調査」と言います。

約1万社を選んで調査票を送り、回答をもらうという大変シンプルなものです。

ちなみにオンライン回答もできます。当然パスワードがないとオンライン回答の中身をみることはできません。

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PaliGraficas / Pixabay

日銀短観はどんなことをアンケートで質問するの?

計数調査と判断調査にわかれます

計数調査

売上高、損益、設備投資その他の実績や予測を調査する

判断調査

現在の会社の状況や、資金繰り、雇用人数等に関する項目について、「良い」、「さほど良くない」、「悪い」の三択で選んでもらうものです。

景気動向指数(DI(でぃーあい))

とりわけこの判断調査では「良い」と答えた企業割合から「悪い」と答えた企業割合を引いて計算される景気動向指数(DI)が株価や為替に影響を与えます。

この日銀短観はアンケートですが回収率も高く、経営者の生の声が反映されるということもありとりわけ前述のDIは景況感を判断するうえでは大変有効な指数とされています。

DIを投資方針に生かそう

2018年7月2日に発表(調査は6月で、発表は1カ月遅れ7月になります(6月調査の場合は発表は7月))されたDIは2期連続で悪化しました。

様々な新聞やニュースで報じられましたが、3月調査の時よりもプラスポイントが減少したということです。

大企業でなおかつ製造業の経営者が様々な指標をひっくるめて、「良い」と答える人が減ったということです。

一般的に公表される数字は大企業であり、なおかつ製造業という日本の代表的な分野の景気動向指数(DI)が発表されます。

なので、もしかしたら特定の業種では景況感を感じている経営者もいるかも知れません。

業種ごとのDIで分析する一例

様々な業種ごとにこのDIというのは日銀のHPで見ることができます。

具体的な数値を用いての表現ができないので、ちょっとわかりにくいことをお許しください。

今回の数値と前回の数値を確認してどう変わったかを見たり、先行きという欄があるので

今回の発表と先行きを比較すると経営者がどんなことを考えているのかがわかって私は面白いなと思います。

日銀のホームページで今回のDIを公表しているので是非見てみることをお勧めします。

例えば大企業のうち自動車業界は良いと感じている人が若干低下傾向がったとしたら、

ということは大企業の自動車業界の社長は今後見通しが暗い人が多いんだな。ということが分かります。

よくよく考えればトランプさんがアメリカに輸入してくる車には関税をかけるぞと言っているので、アメリカに輸入される日本車はアメリカの人はこれまでよりも高い値段で買わなければならなくなるので自動車業界の経営者は売れなくなるのではないかと不安になる気持ちを映し出しています。

大企業でない中堅の自動車業は今回の調査ではより低下しています。ということは、大企業よりももっと不安視しているということです。

そして中小の自動車業はなんと大幅低下しています。

やはり企業体力が大企業に比べると弱い中小は、より敏感に不安を感じ取っていることが伺えます。

逆に先行き明るいと思っている経営者が多めの業界ないんかい!!

と思ってみると、きっと先行き明るい業種があるはずです。

そこが、これからのニュースや新聞等をみて注目していく業種と言えるでしょう。

この「先行き」という言葉が一体どれくらい先を見越しているのかは不明ですが、今回であれば東京オリンピックや消費税増税等を一定の境にしている場合がほとんどではないかと思われます。

日銀短観の発表次第で株価や為替に影響する

この短観のうちやはりDIはとても注目が集まるので、今回のデータ、そして先行き経営者がどう思っているのかを踏まえて今後の注目業界や投資方針を決めていくことになります。

今後面白い業種。今後衰退するかも知れないだったり経営者が先行きがあまりよろしいと思っている人が少ない注視する業種。

例えば自動車業種が先行き暗かったとしても自動運転などの革新的な技術がもし自動車業界でまたはとあるメーカーで発表されれば、状況は一転する可能性はあります。

今回の発表を見れば、為替はDI結果をみて+ポイントが低下したことで良く思っていない経営者が増えたということなので為替は一瞬円高方向に下がります。

が、DIが良いから悪いを引いてマイナスになっているわけではないので為替への影響は直近では軽微だと考えます。

良いが20%悪いが23%であればDIがマイナス3%になるということも当然あります。

2期連続で悪化と言いましたが、あくまでも大企業かつ製造業のプラスポイントが減ったということなのです。

マスコミの2期連続悪化という表現に、景気が落ち込んでいるというようなマイナスイメージを極端にもつことも禁物です。

全体的にいうと2020年を境に景気がどうなるかで不安に感じている業種が多く、そこを境に経済環境、ひいては投資環境がどう変化するかに注視しましょう。

金子賢司

この記事を書いた人

ファイナンシャルプランナー金子 賢司

これまで1000件以上の家計、住宅ローン、生命保険、損害保険、資産運用の相談に携わる。UHBなどのテレビのコメンテーターや確定拠出年金等のセミナーを毎年約50回実施。CFP資格保有者。TLC(生命保険協会認定FP(TLC資格とは))、損害保険トータルプランナー公式HP