英国のブレグジット(EU離脱)は何をもめているのか?わかりやすく解説します
- 2019.10.15
- 経済
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英国のブレグジット(EU離脱)は何をもめているのか?わかりやすく解説します
ニュースを見ていて、イギリスの女性首相がなんだかいろいろな人に責められていたり、新しくイギリス首相になったトランプ大統領が頭がボサボサになったような人がいつも議会で大声で怒鳴っている。
一体イギリスはどうなってるの?と思っている人もいるかも知れません。
そこで今回はイギリスが何をもめているのか?ということについてわかりやすく解説していきます。
EU(欧州連合)について知りましょう
ヨーロッパにはたくさんの国があり25か国が加盟している、EUという組織があります。通常日本の商品をアメリカで販売したりする際には、関税というものを通常の商品代金に上乗せします。
日本の良い商品がアメリカにじゃんじゃん入ってきたら、アメリカのメーカーが全く売れなくなり、アメリカが損をするからです。
がんばってアメリカもいい商品を作ればいいじゃんという話になります。
確かにそうなのですが、とにかく国としてやっぱりアメリカ企業を守っていかなければならないので、日本の商品に関税をかけて、アメリカで売るためにはちょっと税金を上乗せしないと売れませんよ。というようにするわけです。
話をEUに戻します。
EUには2019年現在25か国が加盟していて、その中にはドイツやフランスのようにおなじみの国も加盟しています。
このEUに加盟している国同士の輸入や輸出には関税はかけませんよ。としたのが、EU加盟の一つのメリットです。また、EU加盟国同士の出入りは自由です。
すごくザックリいうとEUに加盟することで、みんな協力しあって国が陸続きなんだから面倒なことしないで協力してお互い発展していきましょうよ!ということでEUというものが出来上がりました。
そして今回テーマにするイギリスも今現在EUに加盟をしています。
イギリスでEU離脱(ブレグジット)が決まった
2016年に国民投票でEUから離脱することが決まりました。
イギリスを英語でGREAT BRITAINといいますがこの「BRITAIN」がEUから離脱「EXIT」するということで、この2つの単語を組み合わせてEU離脱のことをBrexit(ブレグジット)と言われるようになりました。
EUは本来は加盟国が経済発展していくことを目的とした共同体なのですが、もちろんメリットもありますが、
イギリスではこんなことが実際に起こりました。
EU間では国の移動がパスポートやビザなどもなく自由に行き来できるので、仕事がたくさんあるイギリスに他国から仕事をもとめて住み始めます。
他国から来た人は、イギリスの充実した社会保険制度の恩恵を受け、しかも低賃金で雇うことができるため経営者は他国から入ってきた人を優先的に採用してしまいます。
社会保険って、日本だったら日本国民は働き始めてからずーーっと払っていますよね。
これを払っているからいざというときに国からお金がもらえるものなのに、外国から3年、4年しか社会保険料を払っていないのに、健康保険とか使いまくってたら不公平ですよね。
ただでさえ日本の健康保険の財源は不足していると言われているのに・・。
他国からイギリスに入ってきて、イギリスの社会保険制度の恩恵も横取りして、挙句の果てに低賃金で雇えるので、イギリス国内の人の仕事がなくなってしまいます。
これなら、EUに加盟しない方がよかったじゃないか!と国民の怒りが爆発し始めました。
じゃあEU離脱するか、EUに残留するか。
国民の総意ということで国民投票で決めようじゃないか!!
ということになりました。
当時、EU離脱なんて大それたことは起こるわけがない。
国民がどれだけ怒っていたって、そんな大ごとにはならないだろう。
おそらく国民投票はほとんどの人がEU残留を予想していました。
ところが結果は
まさかのEU離脱派の勝利!
EU離脱に向かってイギリスは進んでいくことになります。
EU離脱が決まってから気が付いたことがあった
私たち日本人はイギリスと呼んでいますが、
実はこの国の正式名称は
「グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国」
といいます。
ん??
アイルランド?
日本で開催されたラグビーで有名になりましたが、実はアイルランドって大変な紛争国なんです。
アイルランド島という島があり、その島にはアイルランドという国と国境を接して北アイルランドという地域があります。
同じ島にあるのですが、アイルランドは独立した一つの国、北アイルランドはイギリスの一部なのです。
国が違うということは国境があります。
かつてアイルランドと北アイルランドはかつては国境をめぐって紛争を繰り返していました。
今では中東などでよくニュースで見受けられますが、このアイルランド島の国境をめぐっての争いは、イギリスの中心部ロンドンなどでも爆発事件が起こるなど壮絶なものでした。
今はアイルランドもイギリスもEUに加盟しています。
イギリスが加盟しているのでもちろんその一部の北アイルランドもEUの一部です。
EUの加盟国同士は国境は自由に行き来することができますし貿易も自由に行うことができます。
ところがイギリスがEUを離脱すると、また国境問題が再燃してくるためかつてのような国境をめぐっての対立が、ロンドンでも起こりうる可能性が再び出てくるわけです。
EU本部はもちろんこのことはわかっています。
イギリスがEU離脱した後も、国境問題を明確に解決できるまではそのままでもいいよ。
という譲歩をEU側が示したのです。
じゃあさっさと離脱すればいいのに、何をイギリス議会はもめているの?となりますよね。
それはEUが交換条件でこんな条件を出してきたからです。
EUがイギリスに突き付けた条件
EU離脱しても、北アイルランドとアイルランドの国境問題がはっきりするまではそのままでいいけれど、
その代り、
①離脱後は国境問題が解決するまではどこの国とも貿易協定を結んではいけません。
もう一つ
②EUに加盟している間に支払っていたEU負担金はこれまで通り払い続けてくださいね。
という条件を付けてきました。
実質EU離脱しても意味ないような条件をEUが突き付けてきているわけです。
EUはイギリスが国境問題を解決できないことを見透かして、イギリスにEUから離脱しても意味ない条件を突き付けているのです。
これを当時のイギリスの首相、メイ首相がうけてきてしまったのです。
国民投票で決まったんだから、形だけでも離脱しようよ。EUから言われた条件をのんで離脱しませんか?
かなりざっくりいうとメイ首相はそういう立場です。
しかし、負担金も支払って、どの国とも貿易ができないんだから実質EUに支配されているようなものでしょう。
そんなの独立とはいえない。絶対にダメだ。
というのが離脱強硬派の意見です。
この離脱強硬派の人たちがそんな形だけでの離脱なんて許さないぞ!というスタンスなのです。(中途半端な離脱はダメだというスタンスで、離脱は賛成している人たち)
また議会にはEU離脱を反対している議員の人たちもいます。この人たちはEU離脱は反対の人たちです。
このメイ首相のあいまいな離脱案に反対をして再度国民投票に持ち込めば、離脱をすればこれまでのようにモメるからやっぱりEU離脱は無し!
となる可能性が高いので必死に反対しています。
本来は離脱と離脱反対で対立する人たちが、利害が一致してこのEU離脱反対派と、EU離脱強硬派が手を組んでしまいました。
これが議会で当時のメイ首相、いまのジョンソン首相がどんな案を出しても議会で過半数以上が上回らずに、否決されてこじれている原因なのです。
議会で否決され、EUにもうちょっと条件を緩めてくれないか?
または議会の合意無き離脱になると大変な状況になってしまうので、
結論を出す期限を延ばしてほしいとEUに何度もお願いをするということを繰り返す、
実質板挟み状態にメイ元首相とジョンソン首相が追いやられており、まったく話がすすまないという状況です。
合意無き離脱はそこまで悪ではない
これはいろんな評論家の意見で割れているところですが、ここまで議論が伸びるのであれば合意無き離脱になった方が良いのではないかと思っています。
イギリスがあいまいな離脱では他の国と貿易協定が組めないので、いっそのこと合意無き離脱をすれば他の国と貿易協定を結ぶことができます。
ドイツのようにイギリスに車などを売って収益を上げていた国は、合意無き離脱をすればすぐに個別に貿易協定を結ぶでしょう。
イギリスにEU離脱をされて本当に困るのはEU自身なのです。また、第二のイギリスのような国が表れて、どんどんEUから加盟国が抜けてしまうのも危惧されています。
市場は合意無き離脱を織り込んでいる
マーケットは合意無き離脱になる確率がだんだん高まっていると予想している動きがあります。
合意無き離脱にまた一歩近づいた!とポンドが急に値動きしたりしていたのですが、だんだん値動きが小さくなってきましたね。
市場は、はっきりしないで経済が停滞することの方に懸念を抱いており、合意無き離脱を市場は望んでおり、織り込んでいると私は考えています。これは人それぞれですが、皆さんはどう思いますか?
この記事を書いた人
ファイナンシャルプランナー金子 賢司
これまで1000件以上の家計、住宅ローン、生命保険、損害保険、資産運用の相談に携わる。UHBなどのテレビのコメンテーターや確定拠出年金等のセミナーを毎年約50回実施。CFP資格保有者。TLC(生命保険協会認定FP(TLC資格とは))、損害保険トータルプランナー、公式HP
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