為替条項についてわかりやすく。今後の円高の可能性は?
- 2019.04.27
- 経済
Contents
為替条項についてわかりやすく。今後の円高の可能性は?
日米貿易協議がスタートします。今回は為替条項とは何かについてお話をしていきたいと思います。
アメリカが為替条項を盛り込むかも・・
日本「為替と貿易は切り離して議論すべき」
と反論しています。
為替条項を盛り込むかどうかが焦点とありますが、
為替条項が盛り込まれるとなぜ日本はイヤなのでしょうか?
為替条項の事を言われると円高になる可能性があるから
理由はタイトルの通りです。
アメリカのトランプ大統領は日本の自動車産業がアメリカにどんどん輸出されて、アメリカの自動車が売れなくなると関連している人の支持率が下がって選挙で投票してもらえないかも・・と心配しています。
なぜアメリカの自動車が売れなくなってしまうのでしょうか?
そのまえに為替条項の意味を確認しておきましょう。
為替条項とは
各国が輸出競争力を高めるために為替介入などで通貨安誘導を図ることを防ぐ取り決めです。
要するに日銀が円安に動くようなことをするんじゃないよ!とアメリカは言いたいのです。
日銀は東日本大震災で円高に向かう動きにたいして為替介入を行って以来、実際に為替介入を行っていません。
ではなにをもってアメリカは為替介入をしていると言っているのかというと、日銀が金融緩和をしていることを為替介入だと指摘しています。
金融緩和をすると市場に出回るお金が多くなるので、ドルに対して円の価値が下がります。めったに手に入らないものが、量産化できれば安くなるようなものです。円の価値が下がるということは1ドル80円→1ドル100円になるようなケースです。
これが円安になるという状態です。
円安はなぜアメリカは面白くないのか?
アメリカは日本の自動車がアメリカでじゃんじゃん販売されて、アメリカの自動車や付属部品等のメーカーの商品が売れなくなってしまうということです。
しかも円安になると以下のような減少が起こります。
120万円の物が1ドル80円の時にアメリカ国内で販売されると
120万÷80=15000ドルです。
しかし円安になって、
120万円の物が1ドル100円時は
120万÷100=10000ドルになります。
アメリカ人にとっては当然10000ドルの方が安く購入できるのです。
ということは円安になると日本の車が安いので人気が集まってしまうのです。
アメリカ産の車が売れなくなり、付属部品なども売れなくなります。
そこでこれら製造業の人から不満がでて、選挙で投票をしてもらえなくなるかも知れない!製造業の層も選挙対策で取り込んでおかなければ・・ということで一生懸命日銀の金融緩和の姿勢にクギを差しているのです。
日銀としては必要に応じて金融緩和をしており、為替介入の意図で行っているわけではないのですが、結果的に円安に向かっているのでそこをアメリカは為替介入じゃないか!!と言っているのです。
為替条項に触れると円高になるのか?
そのような不安が確かにあるようですが、実際はあまり市場は反応していないようです。「為替条項」が議論になれば、日銀が金融緩和のスタンスを変えるかも!という憶測がでるため、円高になる動きになると予想されましたが市場はあまり反応しなかったようです。
ただ、実際にまだ「為替条項」については議論に登っていないからだけかもしれません。
いずれにしてもそのような要素を含んでいることも知っておいた方が良いです。
ただ、先日報道がありましたが多くの保険会社が海外商品等のリスク商品での運用も増やす方針を表明しました。円高になれば、海外の商品を安く買うことができるため、ある程度円高になると保険会社という大規模な買い入れが入り、円安に傾きます。
保険会社の大規模な買い入れが当面は円高への抑止力になることも予想されます。これもどこまで影響があるかは未知数ですが、円高に振れる抑止力が存在することも確かです。
日米貿易協議はかなりバチバチで進められているようですが、よい合意になることを期待しています。
- 前の記事
メルペイ70%還元、期間限定で実施|今後の課題 2019.04.26
- 次の記事
次世代通信規格5Gの覇者は中国かアメリカか? 2019.05.03