確定拠出年金(401k)のよくある質問
- 2016.06.30
- イデコ、確定拠出年金(DC)401k ファイナンシャルプランナー(FP)
確定拠出年金についてのよくある質問について、述べていきたいと思います。
質問①確定拠出年金の給付前の60歳前に離職退職したとき
質問②配分変更とスイッチング
質問③脱退一時金について
質問④確定拠出年金が60歳より前でも受け取れるケース
質問⑤パッシブ運用とアクティブ運用
Contents
質問①確定拠出年金の給付前の60歳前に離職退職したとき
原則確定拠出年金は60歳まで引き出すことができません。(脱退一時金の支給要件に該当する場合を除く)しかし、今の時代終身雇用制度という従来の常識は徐々になくなりキャリアアップなどを目的とした離職、転職も以前よりは頻繁に行われるようになりました。
では、60歳以前に会社を辞めたらそれまでの積み立てはパーになってしまうのか・・?
もちろんそんなことはありません。確定拠出年金は次の転職先に持ち運んで運用を続けることができます。これをポータビリティと言います。
しかし、企業によっては確定拠出年金を導入している企業とそうでない企業があります。ここでは次の転職先に確定拠出年金がないパターンなどについて解説していきます。
以下の3つのパターンをご紹介します。
パターン①転職先に確定拠出年金の制度があり、自身に確定拠出年金加入資格がある
転職後の会社の担当者、または担当部署に確定拠出年金に加入をしていた旨を伝えてください。
必要な書類などを提出し、移管手続きとなります。転職前と転職後では当然取り扱っている運用商品が異なりますので、これまで運用していた商品はすべていったん売却して現金化したうえで、転職先に用意されている商品を選択して運用していく形になります。
この際の売却にも税金はかかりません。
おおよそこの一連の流れは2カ月から3カ月を要します。
パターン②転職先に確定拠出年金の制度がない、または確定拠出年金の加入資格がない
・転職先に確定拠出年金の制度がない場合は個人型の確定拠出年金に移管をします
※転職先が確定拠出年金ではなく、企業年金を採用している場合(厚生年金基金や、確定給付企業年金制度がある場合)は掛金は拠出することができず、運用だけすることができます。
個人型の確定拠出年金に移管するためには、前職では制度があったので担当部署にお願いすればやってくれましたが、転職先には制度がないのですから自分でやらなければなりません。ですので運用管理機関を自分で決定することになります。
前職で加入をしていた運営管理機関に直接自分で申し込むのが一般的ですが、自分で探すこともできます。国民年金基金連合会が一般的です。
企業で確定拠出年金を導入しているときは手数料など会社が負担してくれましたが、個人型で運用と拠出を継続する場合はこれまで掛からなかった手数料がかかりますので、コストも要チェックです。
この場合も前職の確定拠出年金から個人型の確定拠出年金に移管するまでには2カ月から3カ月がかかります。
・転職先に確定拠出年金がない、または転職先の確定拠出年金の加入資格がない
転職先に確定拠出年金制度はないまたは確定拠出年金の加入資格はないが、企業年金制度(厚生年金基金や確定給付年金)などの加入資格がある場合は運用はすることはできますが掛金を拠出することはできません。
企業年金制度などの加入資格がない場合には掛金を拠出して運用をすることができます。
パターン③自営業、農業従事者、無職、海外居住者になった場合
パターン②の確定拠出年金のある企業から個人型確定拠出年金に移行するパターンと同様です。
また、これまでは専業主婦、公務員は確定拠出年金への加入資格がありませんでしたが、2017年1月から個人型確定拠出年金に加入することができます。
移管手続きは必ず6カ月以内に行う!
さて以上各パターンについてお話をさせていただきましたが、移管手続きは確定拠出年金の資格喪失の翌日が属する月の翌月から数えて6カ月以内に行う必要があります。この期間に移管をしないと国民年金基金連合会に資産が移されてしまいます。こうなると自分で運用ができなくなり、管理手数料が取られることになりますので前倒しで移管手続きは行いましょう。またこの移管手続きをしていない期間は確定拠出年金の通算加入者期間に含まれませんので、いつまでも移管手続きを行わないといいことは全くありません。
最後に一定の条件を満たした場合は60歳より前でも一時金で受け取れる場合があります。脱退一時金についてを参考にしてください。
質問②配分変更とスイッチング
配分変更とは
確定拠出年金を始めるときに、どの資産にどのくらいの額を毎月運用するかを決めるのですがちょっと思っていた成果と違うな?ですとか、あの商品も取り入れてみたいな?とか、この商品は思ったより危なっかしいのでちょっとやめようかなと思った時は変更することができます。
たとえばこれまで
商品A20%、商品B30%、商品C50%に資産配分をしていたとしたら、毎月10000円拠出をしていたら、拠出額は商品Aに2000円、商品Bに3000円、商品Cに5000円投資をすることになります。
これに加えて商品Dも25%加えてみようかな?と思ったら、
加えるためには商品A、B,Cどれかの比率を減らさないといけないので、商品Cを半分にします。
そうすると資産配分は商品A20%、商品B30%、商品C25%、商品D25%
したがって商品Aには2000円、商品Bには3000円、商品Cには2500円、商品Dにも2500円を投資するという内容に変更になりました。
これは非常に分かりやすいですね。
スイッチングとは
確定拠出年金を続けていくと購入した運用商品の残高が増加していきます。スイッチングはその残高を一部または全部売却をし、他の運用商品に預け替えることを言います。
商品Aに20万円、商品B20万円、商品C60万円の残高があったとして、商品Dもいいなと思った時に商品Cの一部、または一部を全部売却して商品Dを購入する方法がスイッチングです。商品Cを25万円分売却をし、商品Dをその25万円で購入をしたとすると、
商品A20万円、商品B25万円、商品Cは60万のうち25万円を売却したので35万円、追加で購入した商品Dは25万円という資産配分に変更になりました。
配分変更、スイッチングともに手数料はかかりません。
スイッチングの注意点
注意点①売却する商品が定期預金の場合・・・満期前に解約すると中途解約利率が適用となり、当初約束された金利を受け取ることができないが元本割れはしない。
注意点②売却する商品が保険商品の場合・・・解約控除が適用されることがある
注意点③売却する商品が投資信託の場合・・・解約すると信託財産留保額がかかる
このような注意点がありますので、資産配分やスイッチングはお任せ運用をしている場合は特に注意が必要です。
確定拠出年金は一度掛金を拠出すると原則60歳までは引き出すことはできません。
たとえ離職・退職をしたとしても個人型確定拠出年金か、転職先の確定拠出年金に移管して60歳までは運用をするのが原則です。
しかし一定の要件を満たす場合は脱退一時金という形で引き出すことができます。
質問③脱退一時金について
パターン①年金資産が15000円以下の場合
【請求要件】
・企業型、個人型年金の加入者、運用指図者でない
・企業型年金加入者資格を失った日が属する月の翌月から起算して6カ月を経過していない
パターン②年金資産が15000円超の場合
【請求要件】
・60歳未満である
・企業型年金の加入者でなく、個人型年金の加入者になることができない
・障害給付金の受給者でない
・通算拠出期間が1カ月以上3年以下であるか、または請求日時点の個別管理資産額が50万円以下である
・最後に企業型年金加入者または個人型年金加入者の資格を喪失してから2年を経過していない
・パターン①の脱退一時金の支給を受けていない
脱退一時金の額が50万を超えた場合は一時所得として課税対象となるので注意が必要です。
パターン③継続個人型年金運用指図者の場合
2014年1月から継続個人型年金運用指図者も以下の要件を満たせば脱退一時金の請求をできるようになりました。
継続個人型年金運用指図者とは、企業型年金の加入者資格を喪失し、企業型年金の運用指図者または個人型年金の加入者となることなく、個人型年金の運用指図者となり、個人型年金の運用指図者の資格取得から2年を経過した人のことを言います。
【請求要件】
・個人型年金の運用指図者となる申し出をしたときから継続して個人型年金の加入資格がある
・障害給付金の受給権者でない
・通算拠出期間が1カ月以上3年以下、または請求日時点での個別管理資産の額が25万円以下である
・最後に企業型年金加入者または個人型年金加入者の資格を喪失してから2年を経過していない
・企業型年金の資格喪失時に脱退一時金を受け取っていない
確定拠出年金は将来の老後資産を積み立てるには最適な方法というお話をさせていただきましたが、途中で拠出している間に亡くなった場合はどうなるのでしょうか?
質問④確定拠出年金が60歳より前でも受け取れるケース
老齢給付(60歳から老後の年金として受取る)場合以外は60歳よりも前に受取ることができます。
60歳より前に受け取れるケース1【障害給付金】
確定拠出年金の拠出期間中に一定の障害状態になった場合は障害給付金として受取ることができます。年金の受取期間や一時金でもらえるのかなどは確定拠出年金の規約に定められています。一般的には老齢給付金と同じにです。
もちろん拠出が途中で止まってしまうわけですから、その時点での運用金額の範囲内になります
ので注意が必要です。
障害給付金の支給要件
70歳の誕生日の前々日までに以下の状態になっていた場合は障害年金を受け取ることができます。要件は70歳のの前々日までという要件のみなので、60歳より前でも受取ることができます。
【要件①】病気やけがで初めて医師の診療をうけた初診日から起算して1年6カ月を経過した日、またはその期間内にその病気やケガで治癒した場合でその治癒した日から、70歳の誕生日の前々日まで。
初診日から1年6カ月はすぐわかると思いますが、後半分かりにくいですね。仮に69歳で病気やケガになってしまったら、1年6カ月のはずが1年で70歳になってしまうのでのこり6カ月を待たずにその前々日までに給付を受けることができるという意味です。
【要件②】病気やケガで障害に認定され、その後それらの病気やケガ以外により、障害給付金を受け取ることができる障害の状態になった日から70歳の誕生日の前々日まで。
最後に
障害給付金は所得税はかからず完全非課税です。
60歳より前に受け取れるケース2【一時金】
確定拠出年金の年金資産を持っている人が亡くなった場合は、遺族に既払込相当額に支払われます。これが万が一の時の一時金です。個人型は遺族の方が運営管理機関に連絡をして必要書類を取り寄せることになります。
企業であれば、加入者が亡くなった場合遺族に加入していたことが分かる通知が送付されることになっています。
この一時金も60歳より以前でも加入者が亡くなった時点で発生します。
遺族ならだれでもいいというわけではなく、もっとも亡くなったた人と生計維持関係が深い人が優先されます。一般的には配偶者(事実婚含む)が一時金の受取人になるので、民間の生命保険のほかに一時金を受け取ることができるので万が一の時の保険を検討するさいも確定拠出年金の加入状況も加味しておくことが望ましいです。
質問⑤パッシブ運用とアクティブ運用
確定拠出年金は商品ラインナップが投資信託が豊富にあるため、どれを選んでいいのか迷ってしまいます。その選択の際のポイントとして運用スタイルがあります。
パッシブ運用
運用スタイルというのは運用方針とでもいうのでしょうか?パッシブというのは和訳すると「受け身の」という意味です。それに対して、アクティブというのは「積極的に」という意味なので何となくニュアンスはわかっていただけると思います。
パッシブ運用というのは市場全体の平均的な動きをする指標(インデックス)に連動した成果を目指す運用になります。国内株式の代表的な指標(インデックス)は日経平均株価(日経225)、東証株価指数(TOPIX(トピックス))になります。これらのインデックスの構成銘柄の多くに同じような比率で投資をすることで、インデックスと運用成果はほぼ同じになります。
日経平均株価がたとえばA社、B社、C社・・・・からZ社の株式で構成され、それぞれに5%ずつ投資をして運用しているとします。
日経平均株価を構成する銘柄A社、B社、C社・・・からZ社に同じく5%ずつ投資をする投資信託があったとしたら、日経平均株価とその投資信託の運用成果は同じになるはずですよね。
これがパッシブ運用です。
パッシブ運用をしている投資信託をインデックス投信と言ったりします。
インデックスは指数という意味があり、指数連動している投資信託を表す時にインデックス型投資信託とも呼んでいます。インデックス投資信託と言ったらパッシブ運用をしている投資信託だと思ってください。
アクティブ運用
パッシブ運用が指数(インデックス)とほぼ連動した成果を目指すのに対して、アクティブ運用はインデックスを上回る投資成果を目指す運用スタイルになります。ある指数の構成銘柄が複数あったとしたら、ファンドマネージャー(その投資信託の運用をする人)がこの銘柄は上がるだろうというものに絞って運用をするスタイルになります。もちろん運用がうまくいけばパッシブ運用よりも大きなリターンは期待できますが、上がると思った銘柄が思ったより上がらなかったり、下落したりすることもあります。また、銘柄を絞り込むことから分散投資の効果はパッシブ運用よりも低くなります。
したがって、パッシブ運用よりもリスクも高くなります。
コスト面でも、こと信託報酬についていえばアクティブ運用のほうが高くなる傾向があります。
「パッシブ運用」と「アクティブ運用」のどちらがいい?
どちらも一長一短があります。ただ、アクティブ運用はリスクが高いから、リターンも必ずパッシブ運用よりも大きいかといえばそうではないケースがあります。リスクはありますがうまくいけばパッシブ運用よりも大きなリターンを得られるのがアクティブ運用。パッシブ運用もリターンはアクティブ運用が絶好調ならかなわないませんが、損をする可能性がアクティブ運用よりは低い。という程度に考えておいたほうがいいです。
過去の投資信託の運用成績をみると、アクティブ運用よりもパッシブ運用のほうが成果をだしている商品も結構あります。
一長一短あると言いながらも、運用商品の概要書をみて直近のリターンと長期のリターンを確認したうえで判断しましょう。アクティブ運用のほうが信託報酬が高いことを忘れずに。信託報酬、信託財産留保額というコストも含めて比較しましょう。
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