イデコの受取時のメリット|公的年金控除と退職所得控除

イデコの受取時のメリット|公的年金控除と退職所得控除

イデコの受取時のメリット|公的年金控除と退職所得控除

イデコのメリットは3つあるというのは皆さんご存知のことと思います。

①掛金の所得控除

②運用益非課税

そして

③受取時のメリットです

イデコは受け取れるのは60歳以降になります。

加入した年齢によっては60歳ではなく、62歳、63歳とずれていくこともあり得ます。

ただ、原則は60歳までで、それまではたとえ自分のお金で積み立てているとはいえ途中換金することができないのです。

60歳以降、受取のときに受けられるメリットも非常に大きなメリットが実は用意されています。

60歳以降、それまで積み立てて運用していたお金を一括して受け取る方法と、毎月一定額を受け取る方法がありますが、どちらのケースでも税金の優遇を受けることができます。

イデコを一時金で受け取る時のメリット「退職所得控除」

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イデコが仮に60歳から受け取れるとします。コツコツと積み立てて、1000万たまっていたとしましょう。

60歳時点で、税金を計算する基になる課税所得金額が800万あったとします。たびたびこのブログで出てきますが、課税所得金額が800万だったとしたら、以下の日本の所得税の速算表をつかって計算すると、

800万×23%-636000円=約120万

この人は120万税金を払えばよくなります。

ところが、個人事業主としてイデコに加入をしてコツコツ頑張って運用をして増やして60歳時点で1000万になっていました。

この60歳時点での普通に働いた課税所得金額800万と合計して1800万になりました。

1800万で所得税を計算してみましょう。

課税所得金額1800万の時の税率は40%です。

1800万×40%-2796000=約440万

先ほどの120万にくらべてなんと300万以上税金が増えてしまいました。

これでは一体何のために毎月積み立てて、運用して収益に一喜一憂して・・

あの時間は何だったんだろう。となってしまいます。

ということで、イデコの所得には特別な計算式が用意されています。

それが退職所得控除です。

イデコを一時金で受け取った場合は退職金として扱われます。

退職所得の計算式

【イデコ加入年数20年以下】

40万×イデコ加入年数=最大800万円までは非課税

80万に満たない場合は80万

【イデコ加入年数20年以上】

800万+70万×(イデコ加入年数-20年)

ちなみにサラリーマンの方は、会社に勤続していた年数がイデコ加入年数に置き換わります。

具体的に計算をすると

この1000万イデコで積み立てた金額が25年だったとしたら、退職所得控除額は1150万までは税金がかからないのです。

因みに15年で1000万をイデコでもし積み立てていたら、退職所得控除は600万です。

ということで、イデコを60歳以降一時金で受け取る場合は、加入していた年数にもよりますが、かなり大きな金額になるまでは税金の対象にはならない。

要するに非課税になるわけです。

そう考えれば、所得控除にもなって、運用益にも税金がかからなくて、受取も税金がかからない。実はこの受取時のメリットもかなり大きいんです。

イデコを年金形式で受け取る場合のメリット「公的年金等控除」

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イデコは60歳時点で積み立てた額をまとめ「ドン!」と受け取るだけでなく、年に何回か分けて受け取ることができます。

まだ受け取っていない部分は運用することもできるため、さらに一時金で受け取るよりも金額が増える可能性もあります。(減る可能性もあります)

これを年金形式の受け取り方法といいます。

年金形式の受け取り方法を選択した場合は、公的年金等控除を用いた計算式が適用されます。

【例】65歳以上で公的年金等の収入金額の合計が350万の時、

3,500,000円×75%-375,000円=2,250,000円

この人の所得は2,250,000円となります。

【公的年金控除額の計算表】

年齢公的年金等の収入の合計割合控除額
65歳未満70万以下税金はかからない
70万超~130万未満100%700,000円
130万以上~410万未満75%375,000円
410万以上~770万未満85%785,000円
770万以上95%1,555,000円
65歳以上120万以下税金はかからない
120万超~330万未満100%1,200,000円
330万以上~410万未満75%375,000円
410万以上~770万未満85%785,000円
770万超95%1,555,000円

他に何もなければ、この金額で前述の所得税の計算に当てはめるのですが、ここにイデコの収入が掛かってきます。

年間100万ずつ受け取る受けとり方を選んでいれば、

年金の収入350万+イデコの年金の収入100万円=450万円

4,500,000円×85%-785,000円=3,040,000円

通常の年金だけなら、税金は127,500円ですが、イデコで100万の収入があると、206,500円になります。

税金が年間79000円アップしますね。

公的年金の金額が高くなればなるほど、年金形式で受け取る場合はメリットが少なくなってしまいます。

ということは受取の段階では、自分の公的年金の収入が毎年いくらになるかも知っておいた方が良いということもお分かりいただけると思います。

たとえば公的年金770万円の人が100万毎年イデコでうけとったとします。

770万+100万=870万

8,700,000円×95%-1,555,000=6,710,000円

この場合の税金は914,500円です。

イデコの100万がなければ、この人の税金は724,500円で済みます。

公的年金が350万の人がイデコで100万円をその年にうけとると税金が79,000円アップ。公的年金770万の人がイデコで100万うけとると189,500円も税金がアップしてしまいます。

一時金と年金の合わせ技も可能です

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イデコを一部は一時金で受け取り、残りを年金で受け取るという方法も可能です。

ただこればかりはあまりにもケースバイケースで、ここでどの人がどのように受け取ったらいいかというのは困難です。

私の意見ですが、一時金でまずは非課税枠を目一杯つかって、退職所得で控除できる金額をオーバーする分を年金形式で受け取る。単純にそのような考え方でよいのではないかなと思っています。

いずれにしても、受取時の控除に無頓着ではせっかく長期間かけてきた育て、節税してきたのに、受取で台無しになってしまいます。

終わりよければすべて良しでもないでしょうが、イデコは受取までしっかりと看取るような気持ちでお付き合いをしていく必要がありそうです。