民泊に対応する火災保険について
- 2015.12.24
- ファイナンシャルプランナー(FP) 損害保険 火災保険
民泊という宿泊形態がいま話題になっています
とりわけ北海道では観光客の増加に伴い、ヤミ民泊と悪いうわさも立つ中で、海外の大手サイトair bnbが運営する民泊という形態は貴重な観光客の受け皿となっていることは紛れもない事実のようです。また、海外の宿泊客だけかと思いきや、ウィンタースポーツや人気アイドルの全国ツアー、学会などで市内のホテルがいっぱいになってしまっている時に利用している日本時の需要も高まっているという印象です。
観光客が住居や部屋の中の家財を破損させてしまった!
こんなケース考えられませんか?このような場合は、日常よくあるアパート、またはマンション用の家財の保険では対応不可能です。通常のアパートやマンションの家財保険は常時本人がその住居に住んでいることが要件になっています。加入の際に補償の対象となるのは誰の持ち物かというのも確定させます。
ですので、一時的な宿泊客が入れ替わり立ち替わりで入居しているという点が問題です。
ホストが火災保険に加入している場合は、基本的には住んでいる人が変わる場合は保険会社に通知する必要があります。(通知義務という項目が重要事項に書かれています。)もしくは居住から、人に貸しているということから用途変更(住居から、事業用に)という申請も必要かも知れません。
民泊自体がまだ法的にグレーゾーンであることから、保険の給付の事例もまだ聞いたことはありませんが、原則的には入居者の変更や、用途の変更を通知する義務を怠っているという点を保険会社から指摘され、宿泊客が家財や住居を破損させてしまった場合、ホストの加入している火災保険では対応することはできないと思われます。
また、入居者の顔も見ることもなくその後トレースもしづらいことから、極めて保険の引き受けのリスクは高くなるため、そもそも保険会社が引き受けてくれないという可能性も大きいです。
海外旅行保険
海外旅行保険に加入している場合は、賠償責任保険に加入することでこのホストの損害はカバーすることができると思われます。ただ、必ずしもインバウンドの宿泊客がこの保険に加入しているわけでもなく、宿泊するためには海外旅行保険の加入が必須としてしまえば需要が下がってしまうでしょう。
またホストと宿泊客が顔を合わせるわけではなく、宿泊客が帰った数日後に壁の汚損などが発覚した場合は最初からありました!と言われてしまえば、証明するものが何もなく、やはりホストは泣き寝入りをすることになってしまいます。
ホスト補償
air bnbなど一部ポータルサイトではホスト補償という制度を用意しています。ホストの物件の住居や家財の損害があった場合、一定の要件はありますが1億まで補償してくれるというものです。民泊は徐々に認知され、国会の法案でもある程度の制限を設けながらも可決されるような気がします。
その市場規模の拡大は魅力的ですが、まだまだ未知数なところはたくさんあります。
火災保険は特にその責任の所在が分かりにくいです。ホストの所有する家財に関しては一般的な賃貸用の火災保険ではカバーが難しいです。ただし、建物に損害を与えたような場合や他の入居者に損害を与えた場合は賃貸用の火災保険で支払うことができます。
しかし、賠償責任保険はケースバイケースのところがあるため、くれぐれもトラブルを起こさないようゲストとのコミュニケーションをとることが一番のトラブル防止策です。
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