患者申出療養制度は患者が保険適用外の医療技術を申請によって受けることができる制度です

患者申出療養制度は患者が保険適用外の医療技術を申請によって受けることができる制度です

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患者申出療養制度とは

2015年の医療保険制度改革法によって導入された患者申出療養制度についてご存じですか。今年の4月から導入された制度で、保険外併用療養制度の中に創設されました。

未承認薬などを迅速に保険外併用療養として使用したいという困難な病気と闘う患者の思いにこたえるためにできた制度です。

患者申出療養制度の前に保険外併用療養制度とは

医療費

日本は国民皆保険制度ということですべての国民が健康保険に加入することになっています。それによって、医療費がほとんどの人が3割負担で済むようになっています。さらに高額療養費などの制度があり、医療制度は非常に充実しているといえます。

まずこれが公的医療保険です。

一方この公的医療保険が適用されない医療技術があります。

それが自由診療です。自由診療は3割負担だけでは済まず、技術料は全額自己負担になります。

では一連の治療のなかで、自由診療と保険診療(3割負担のある治療)両方必要になった患者は自由診療分だけ全額負担で、保険診療の部分だけ3割負担なんじゃないの??と思われるかもしれませんが、実はそうではありません。

医療費

自由診療と保険診療が一連の治療で両方必要でうけることは認められず、併用した場合は全額自己負担になるのです。自由診療と保険診療の両方を受けることを混合診療と言いますが、原則混合診療は認められていないので受けると全額自己負担です。

しかし混合診療には例外があり、一部健康保険が適用される部分がありたとえば3割が私たちの負担だとしたら、残りの7割は保険外併用療養費として公的医療保険から支払われます

これが保険外併用療養費です。

そして患者申出療養制度は混合診療の例外が認められているケースの一つとして新たに追加されたものです

混合診療が認められている物には「評価療養」と「選定療養」(後半に解説有ります)があるのですが、この2つに加えて追加されたのが。患者申出療養制度なのです。

患者が以下のような内容を申し出たいときは医療法上の臨床研究中核病院に申出る

①治験、先進医療、患者申出療養のいずれも実施していない医療を実施してほしい場合

②先進医療で実施しているが、実施できる患者の基準に外れてしまった場合

③先進医療で実施しているが、自分の身近な保険医療機関で行われていない場合
④すでに実施されている患者申出療養が自分の身近な保険医療機関で行われていない場合

などで厚生労働大臣がこれを検討し、承認されれば患者はその治療方法を受けることができます。

※臨床研究中核病院とは国際水準の臨床研究、難病などの医師主導治験および市販後臨床研究などの中心的役割を担う医療機関のことを言います。

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先進医療と認定されるためには医療機関が申請し、国が安全性・有効性を確認して、先進医療と認定されて指定された医療機関で実際に治療されるまでには6カ月から7カ月かかります。

それに比べて患者申出制度は先進医療が医療機関が申請をしたのに対し、患者が申出を行い、申出に対して臨床研究中核病院が申請、国が安全性・有効性を確認して、臨床研究中核病院が治療を行います。この期間は6週間といわれており、先進医療が導入されるまでと比べてはるかにはやいことがお分かりいただけると思います。すでに前例があるものに関しては約2週間で行われます。

患者療養申出制度を利用するために

1.かかりつけの医師など身近な保険医療機関にご相談してください。(患者さんの病状にあった治療法について、よく相談していただくことが必要です。)
2.相談された医師は大学病院等と連携して対応します。
・保険外の治療方法が患者さんに適しているかの検討や情報収集
・既存の患者申出療養や先進医療で行われている、又は治験実施中の治療かどうか情報収集
・治療のための計画を立てるために十分な情報(科学的根拠)があるか情報収集

混合診療の今後

海外では承認されている治療が日本で保険適用になっておらず、高額な療養費を全額負担していた人にとってはトクをするお話かもしれません。しかし一方では経済的に恵まれている人だけが高度な治療を受けられるという不公平も生じます。

病気によって一家のマネープランはあっという間に崩壊しかねません。健康保険制度の知識も合わせてリスク対策や備えを用意しておくことは非常に重要です。

評価療養と選定療養

さてここからは評価療養と選定療養の解説です。

公的医療保険、いわゆる健康保険の3割負担の対象とならない「自由診療」を受けると費用は全額自己負担となります。
医療費

では一連の治療のなかで、自由診療と保険診療(3割負担のある治療)両方必要になった患者は自由診療分だけ全額負担で、保険診療の部分だけ3割負担なんじゃないの??と思われるかもしれませんが、実はそうではありません。この場合は全額自己負担になってしまうのです。

この例外が「評価療養」と「選定療養」です。

「評価療養」と「選定療養」と認められた場合、「評価療養と選定療養」とされた部分は全額自己負担になりますが、一連の治療の中で同時に行われた保険診療に関しては3割負担となります。

残りの7割は保険外併用療養費として公的医療機関から支払われます。

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「評価療養」とは

先進医療は現時点では保険適用となっていない高度な医療技術や新薬など、将来保険対象となることを前提として保険給付の対象とするべきかどうかの評価を行っている最中のものを言います。具体的には以下のとおりです。

①先進医療

②医薬品、医療機器、再生医療等製品の治験に係る診療

③薬事法承認後で保険収載前の医薬品、医療機器、再生医療等製品の使用④

④薬価基準収載医薬品の適応外使用(用法・用量・効能・効果の一部変更の承認申請がなされたもの)

⑤保険適用医療機器、再生医療等製品の適応外使用(使用目的・効能・効果等の一部変更の承認申請がなされたもの)

このように、保険給付の対象とするべきかどうかの評価を行うものを「評価療養」と言います。

①をみていただくと私たちがよく知っている先進医療はこの中に含まれていることがお分かりいただけると思います。先進医療は先端的な新しい医療技術のうち、厚生労働省が安全性・有効性を認めたものを言います。なおかつ医療技術ごとに、設けられた一定の水準を満たした医療機関で先進医療を受けることによって初めて保険診療と併用をすることができます。

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ようするに・・

たとえば重粒子線治療は先進医療として有名な治療ですが、厚生労働省がここで重粒子線治療を受ければ保険診療との併用を認める!と決めた医療機関で受けないと先進医療は先進医療部分だけでなく、保険診療部分も全額自己負担になってしまいます。

治療ごとにも医療機関がそれぞれ決まっているので、その手術先進医療なのかももちろんですがこの医療機関でこの手術を受けて先進医療になる場合とならない場合があるので注意が必要です。

また随時見直しが行われており、先進医療に含まれていた医療が、標準治療に移された場合には、保険診療となります。また、効果が見込めなければ先進医療から外れることもあります。

選定療養について

選定療養は患者自身が希望する特別な療養のことを言います。一番知られているのは個室での入院を希望した場合の差額ベット代、予約診療、時間外診療などがあります。以下が選定療養とされている部分です。選定療養は自分で選択するので今後も保険適用となる可能性はありません。

①特別の療養環境(差額ベッド)

②歯科の金合金等

③金属床総義歯

④予約診療

⑤時間外診療

⑥大病院の初診

⑦小児う蝕の指導管理

⑧大病院の再診

⑨180日以上の入院

⑩制限回数を超える医療行為

選定療養や評価療養にあたる費用が発生する時は、医療機関は、事前に治療内容や負担金額等を患者に説明し、同意を得なければいけません。とくに差額ベッド代についても必ず同意をしているはずですが、自分が選択したわけではなく。病院の都合で個室に入れられたような場合は保険適用になる場合がありますので医療機関と交渉をすることをお勧めいたします。