生命保険の意味、原則と基礎用語(FP資格対策)
- 2015.10.06
- リスクと保険 FP 独学 ファイナンシャルプランナー
生命保険の意味、原則と基礎用語
保険の分類
保険とは多くの人からお金を少しずつ集めて、何らかの事情で困った人にその集めたお金をお渡しするという仕組みです。みんなから1000円ずつ100人から集めて、この100人のうち1人の家族が亡くなった時は1000円×100人分=10万円を渡す。
簡単にいえばこのやりとりが私たちの想像を絶するような規模の金額になっているのが保険の仕組みです。保険には以下のように分類されます。
a.第一分野(生命保険)
人の生命に関係するもの ・・・定期保険、終身保険、養老保険などb.第二分野(損害保険)
物や 出来事に関するもので急激かつ外来より発生した損害に対してその損害額に応じて支払う保険 ・・・火災保険、賠償責任保険など
c.第三分野
第一分野、第二分野どちらにも属さない傷害保険や医療保険など。
生命保険の原則
・大数の法則
対数の法則はサイコロによく例えられるます。
サイコロを何度かふっていると、1が続けてでたり、6が1度もでなかったりすることがありますが、
それでも何千、何万回とサイコロをふっているとその各数字がでる確率はある程度理論上の数値(サイコロの場合は6分の1)に近付いて行く。
これを人の生命にもあてはめます。人の生命にあてはめる際も基本的には同じ、
厚生労働省が発表している簡易生命表によって人の生命の指標は数値化されています。
35歳であれば亡くなる確率は1000人いれば0.75人、女性は0.43人(平成26年度データ)となっています。
この簡易生命表に当てはめると、やはり高齢になればなるほど、亡くなる可能性も高いため 当然保険料は若い人よりも多くもらっておかないと不公平ですよね。
生命保険の保険料は高齢になると高くなるという根拠の一つはここにあります。
この生命表をもとに亡くなる率を算出し、大数の法則をあてはめるとこうなります。
35歳の亡くなる確率は自分の身の回りにたまたま知り合いで35歳の人が10人いて、5人亡くなってしまっていたとしても、世の中で見れば1000人のうち0.77人の亡くなる率というところに収束していることが分かります。
・収支相当の原則
保険会社は儲けている!!とよく言われますが、実際はこのような計算式になっています。
実際は年齢が高くなるに従って当然亡くなるするリスクも大きくなったり、前述のとおり女性の方が長生きする傾向があるため、このような単純な計算式にはなりませんが、基本的にはこの大数の法則と収支相当の原則をもとに保険料は決まっています。
・相互扶助の精神
ある100人しかいない村があって、みんなが仲良く暮らしていました。
しかし、1人が重病になってしまいましたが、その人はお金が無くてしんでしまいました。
万が一のために備えたいけど、1人1人は大金は持っていない。 みんながちょっとずつ出し合って、本当にこの村で病気やケガで困っている人がでたら助けられるお金を渡せるようにしよう!というのが保険の基本の考え方です。
こう考えると、 生命保険に加入する際になぜ告知をするのかがわかりますよね。。
この村に、急に見ず知らずの旅人が来て、風貌をみたらもう病気にかかって明らかに病院に通いそうな人がきた!!
その旅人がすいません、私もみんなと同じ分出しますので、万が一の時になったら、私の治療費にしてくださいね。と言ってきたらどう思いますか?
「アンタ、、絶対みんなのお金真っ先に使うよね・・」
明らかに不健康な人が、生命保険に加入をしてしまうことは不公平で、仮に給付するようなことがあればそれは真面目にみんなが払っている保険料を搾取しているということになってしまうのです。このような基本的な大前提をもとに生命保険は成り立っているということをまずはお伝えいたしました。
生命保険の基礎用語
①保険の登場人物
・契約者
保険会社と保険契約を結び、契約上の権利を持つ人。契約上の権利とは契約内容の変更(住所が変わった時や、保険金を請求する時)、や保険料を支払う義務のもつ人の事。
・被保険者
生命保険の対象として保険が付けられている人。(この人に何かがあれば保険金が給付される。)
・保険金受取人
保険金を受け取る人のこと
契約者が保険金受取人だったり、医療保険のように被保険者が保険金受取人になることもあります。
②用語
・保険料
契約者が支払うお金のこと
・保険金
被保険者が亡くなった時に支払われるお金のこと、手術や入院の支払いは給付金という。
・解約返戻金
該当する保険を解約した時に受け取れるお金。キャッシュバリュー(CV(シーブイ))と省略して話しをする営業もいるので知っておくとついて行けます。
・責任準備金
将来の保険金を支払うために保険料の中から、保険会社が積み立てているお金のこと。
生命保険料の仕組み
保険料は以下の3つの予定基礎率で計算されている。
・予定で亡くなる確率
毎月私たちがはらう保険料は年齢や性別などで、亡くなる確率で保険料は決まっています。
若い人より、年上の人の方が亡くなる確率が高い。生命保険が何故だんだん保険料が年齢にともなって上がっているのはこのことが要因としてあります。
・予定利率
保険会社はみなさんから預かった保険料をただ保管して、亡くなった時や入院時に払うだけではなく運用で収益を得るように努めています。
その利回りは公表されており、あらかじめ保険料から割引しています。
この予定利率が高ければ、その分保険料は本来の金額よりも安くります。
逆にマイナス金利等で、この予定利率が下がれば保険料は高くなる傾向があります。
・予定事業費率
保険会社が保険事業を運用するための費用のこと。保険を販売する時の募集人の費用や家賃などもここに含まれます。インターネット保険が安いのはこの部分がカットできるからであると言われています。
生命保険の3利源とは
生命保険は儲けているわけではないと言いましたが、利益がでないと業種として成り立っていきません。
生命保険の利益の源という意味で利源という表現をしますが、以下の3つがあります。
・亡くなる率が思ったよりも少なかった時の差益
人が亡くなる可能性をもとに保険会社は保険料を設定していますが、思ったよりその年代、その性別の人の率が低かった場合、利益が発生します。
・利差益
契約者から集めたお金をただ、持っているだけではなくそのお金で運用をしている。運用によって見込まれる収入よりも、実際の利益の方が大きかった場合に発生する利益。
・費差益
予定事業費率よりも実際にかかった事業費の方が安かった場合は保険会社の利益となる。
この発生した利益は保険会社が剰余金として配当金を契約者に支払う。契約時に無配当を約束して保険料を安くしている商品もある。
この記事を書いた人
ファイナンシャルプランナー金子 賢司
これまで1000件以上の家計、住宅ローン、生命保険、損害保険、資産運用の相談に携わる。UHBなどのテレビのコメンテーターや確定拠出年金等のセミナーを毎年約50回実施。CFP資格保有者。TLC(生命保険協会認定FP(TLC資格とは))、損害保険トータルプランナー、公式HP
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