生命保険料控除で税金が安くなる仕組みをわかりやすい解説
- 2015.10.08
- リスクと保険 FP 独学 ファイナンシャルプランナー
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生命保険料控除で税金が安くなる上手に活用|わかりやすい解説
生命保険料控除の仕組みを知るためには日本の所得税の仕組みを知る必要があります。
まず所得とは何でしょうか?
収入-経費を引いたものが所得です。(所得について詳しく)
毎月、または年に1度など負担している生命保険料は年間の経費として認めてくれます。
収入からいろいろな経費を全て差し引いて「課税所得金額」というものを計算します。
この課税所得金額に税率がかかって、日本の所得税というものは計算されます。
収入から、基礎控除や配偶者控除、扶養控除等全てひいて、課税所得金額が500万だったとします。
以下の所得税速算表でいくと500万は330万から695万円以下の該当しますので、
税率は20%です。
従って課税所得金額500万×20%=100万です。
この100万から控除額の欄に427,500円と書いてありますので、
100万-427,500円を引きます。572、500円。
この後特に何もなければこの人の所得税は572,500円になります。
ということはこの課税所得金額を下げたほうが税金が安くなるのは分かりますか?
極端な話ですが、先ほどの課税所得金額500万の人が生命保険料控除(この後詳細は説明しますが)で12万円控除枠ができました。
控除するということは500万円からさらに12万ひくことができます。
500万-12万円=488万円です。
では488万にもう一度所得税速算表に当てはめて計算してみます。
課税所得金額488万は先ほどと同様330万~695万円以下に該当します。ということは税率20%です。
488万×税率20%=976,000円
この976,000円から427,500円を引くので
548,500円。
特に何もなければこの人が払う所得税は548,500円です。
先ほどの500万の所得税と比べてやすくなったのがお分かりいただけると思います。
生命保険料控除がなかった場合 | 生命保険料控除12万をうけた場合 |
572,500円 | 548,500円 |
じゃあ積立の生命保険に毎月10万円払えば生命保険料控除、年間120万も受けられて、課税所得金額が500万から120万ひけるってこと!?
貯蓄もできてその金額が控除できるなんてめっちゃラッキー!?
そんなに甘くありません。
そんなことをされてしまっては、日本国民から税金が取れなくなってしまいます。
生命保険料控除は以下のように上限額が決まっています。
生命保険料控除となる保険契約の条件
①保険金の受取人が配偶者やその他の親族である生命保険契約
そうでないと、生命保険料控除を増やしたいばかりに友達から証券を集めて控除の金額を増やすこともアリになってしまいます。
②平成24年1月1日以降に加入した医療保険、介護保険、所得補償保険など
①は亡くなったときの保障で、②は医療保険、介護保険、所得補償保険でそれぞれ控除枠があるということです。
③個人年金保険
以下をみたす個人年金保険が対象になります。
・年金受取人が契約者またはその配偶者のいずれかであること。
・年金受取人は被保険者と同一人であること。
・保険料払込期間が10年以上であること(一時払は対象外)。
・年金の種類が確定年金や有期年金の場合、年金受取開始が60歳以降で、かつ年金受取期間が10年以上であること。
※個人年金保険で「個人年金保険料税制適格特約」を付加していない場合や、変額個人年金保険は、一般生命保険料控除の対象になります。
個人年金保険料税制適格特約とは前述の個人年金を満たすと付与される特約なのであまり難しく考えないでください。
生命保険料の控除額
平成23年12月31日以前の契約とそれ以降で扱いが異なります。
年間支払保険料 | 控除額 |
25000円以下 | 全額 |
25000円超~50000円以下 | 支払保険料×1/2+12,500円 |
50000円超~100000円以下 | 支払保険料×1/4+25,000円 |
100000円超 | 50,000円 |
平成23年12月31日までは、生命保険料控除と個人年金控除しかありませんでした。医療保険や介護保険も平成23年12月31日までは生命保険料控除に含まれます。
生命保険、個人年金それぞれ適用になり、生命保険料年間10万、個人年金保険料年間10万払っていれば、ともに上限5万ずつなので5万+5万で合計10万円控除枠があります。
年間支払保険料 | 控除額 |
20000円以下 | 全額 |
20000円超~40000円以下 | 支払保険料×1/2+10,000円 |
40000円超~80000円以下 | 支払保険料×1/4+20,000円 |
80000円超 | 40,000円 |
平成24年度以降は生命保険料、医療・介護保険料、個人年金それぞれ控除枠が使えます。生命保険料を年間8万、医療介護保険で8万円、個人年金8万円使っていれば控除枠はそれぞれ4万なので4万+4万+4万で合計12万の控除枠があります。
新契約と旧契約が混在している場合
平成24年1月1日以降に加入を新契約、それより前を旧契約と呼ぶことにします。
生命保険は平成24年度より前、医療保険は平成24年度以降加入している場合があります。新契約と旧契約が混在している場合です。
その時は以下を選択することになります。
①新契約のみを生命保険料控除を適用し、旧契約の控除枠は使わない。
→新契約のルール(表)で控除額を計算します。
②旧契約のみを生命保険料控除を適用し、新契約の控除枠は使わない
→旧契約のルール(表)で控除額を計算します。
③新旧どちらも使いたい
新契約での控除額と旧契約の控除額の合計で最大4万円→生命保険、医療介護、個人年金それぞれ使える。
旧契約で生命保険5万円、個人年金5万円、新契約で生命保険5万円、医療保険3万円のような場合。
生命保険は合計すれば10万ですが、4万が上限、個人年金は合計して5万円ですが、4万が上限、医療保険は3万
この人は4万+4万+3万=11万の生命保険料控除を受けることができます。
以下は番外編です↓↓ただ、生命保険料控除と密接な関係がありますので参考までに時間のある人はご覧ください
年末調整はなぜ12月にお金が戻ってくるのか?
10月末位になると生命保険の控除証明書が保険会社から送られてきて、それを会社に提出します。
するとお金が12月の給料で「年末調整」という仕組みで戻ってきます。
これは一体何なのでしょうか?
源泉徴収を理解しましょう
前述しました課税所得金額が200万だったとします。また以下の表を使います。
200万円の時の税率は200万×10%=20万-9.75万円=10.25万円
この人が年間払うべき所得税の金額は102,500円となります。
しかし、年末にまとめて102,500円も引かれたらボクたち庶民はたまったもんじゃない!!
それに税務署なんて今までいったことないし、、ずっと払っていないの!?
いえいえ、、毎月分割してこの所得税をみなさんの会社の経理部がちゃんと給料から天引きして払う準備をして、最終的には払ってくれているのです。
この給与の所得税の天引きが源泉徴収です。
でもよく考えてみてください。例えば平成31年の2月に支払う税金を、平成30年のうちに差し引いてるんですよ。おかしくないですか?
これはサラリーマンという有る程度固定給の職業だから源泉徴収が可能なのです。
ある程度サラリーマンやOLは毎月の給料が決まっているので、差し引ける所得税の金額はおおよそわかります。
ちょっと極端ですがこれが例えば100万単位の給料が年間2~10回ある「予定」です。でも実際給料が入るかどうかは会社のさじ加減。
みたいなサラリーマンがいたら、年間の所得なんて皆目見当がつきません。ということは税額も全くわかりませんよね。
毎月固定給であまり毎月の変動がないので、所得税をあらかじめ差し引いて支払のために取っておこう。それが源泉徴収です。
でも、もうひとつおかしなことがあります。
その年の間に、新しく生命保険に加入しました。なんていうこと社員が会社に言ってくれないと会社はわかりませんよね。
なので、会社は社員に生命保険料控除の証明書を提出させるんです。
新しく入ったものだけではなく、今加入している生命保険、医療保険・介護保険、個人年金等を提出し、あらかじめ源泉徴収している金額と照らし合わせます。
生命保険の控除証明を提出して、担当部署はどんな計算をしているのか
そしてこの生命保険控除証明をもとに、この人は年間いくらかの生命保険料を払っていて、その中から40,000円控除が認められるよ。ということになると、200万円からさらに4万円引くことができます。
200万ー4万円=196万円×10%=19.6万円ー9.75万円=9.85万円
生命保険料控除が認められることで、この人が年間払うべき所得税の金額は98,500円と下がりました。
先ほどの計算事例と比べて所得税の金額が減っているのはわかりますか?
その差4,000円。会社はあらかじめ102,500円払う準備を源泉徴収という形でしてしまっていますが、本来は98,500円払えばいいんだよね。
社員さんから源泉徴収で税金もらいすぎちゃったから返すね。
これが年末調整の正体です。
控除の金額もコントロールできるようになれば、より生命保険や個人年金の扱いが楽しくなりますよ。
この記事を書いた人
ファイナンシャルプランナー金子 賢司
これまで1000件以上の家計、住宅ローン、生命保険、損害保険、資産運用の相談に携わる。UHBなどのテレビのコメンテーターや確定拠出年金等のセミナーを毎年約50回実施。CFP資格保有者。TLC(生命保険協会認定FP(TLC資格とは))、損害保険トータルプランナー、公式HP
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