建設業向けの格安の労災保険、全国建設業労災互助会制度を知っていますか?

建設業向けの格安の労災保険、全国建設業労災互助会制度を知っていますか?

建設業向けの格安の労災保険、全国建設業労災互助会制度

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政府労災に加入している建設業の方のみが対象になりますが、

建設業の方であれば多くの方が政府労災の給付だけでは、万が一現場で何かの原因で従業員や下請けの労働者の方がケガや万が一の場合や後遺症が残った場合には不安が残るため、政府労災の上乗せ補償として商工会の非常に割安のプランや民間の保険会社の労災保険に加入する方もいらっしゃると思います。

商工会等で扱っている労災も内容が充実しており割安に加入できます。

うつ病などの精神疾患による労災認定を受けた時も対応するのが特徴です。

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破格の保険料

商工会などで扱っている労災もそれはそれでよいのですが、もっと保険料を抑えたいと思う事業主向けの内容がこの労災互助会制度です。

建設業は従業員にケガが発生するリスクも高く、保険会社は一般的には建設業の労災上乗せ補償の保険料料率は通常の業種よりも高く設定しています。そこにかかる建設会社の毎月の保険料はバカになりません。

そこでこの互助会制度の登場です。内容もよく吟味はしてほしいですが、注目すべきはその破格の保険料です。すでに取扱の保険会社で扱っている労災保険の半額やそれ以下になることがあります。

労災の保険といえば業務災害補償プランということで、商工会、中央会等を母体とした商品もありますが、さらに価格競争力があることが多くみられます。

なぜこのような破格の保険料が実現できるのかということが分かれば、納得して検討していただけると思うので、書いてしまいます。

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労災よりも遺族から訴えられた時が怖い

建設業に限らずなのですが、今は従業員がケガをした場合、企業や役員の安全配慮義務違反といって、危険なのに企業として何も措置を取らなかったということで訴えられることがあります。

労災の上乗せなんて別にいらない。

思わぬところでこの安全配慮義務違反で企業の責任が問われた時に、従業員の上乗せよりも使用者賠償責任だけでも備えたいという企業が増えています。

そんなときにこの互助会の制度が役に立ちます。

保険料が割安の理由

なぜこの労災互助会制度は保険料が安いのでしょうか?安いということは補償がイマイチだったり、対応が悪いのではないか?と思う方もいると思います。

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理由①代理店手数料が極めて低い

全国建設業労災互助会制度を販売するにあたり、販売した代理店への手数料が著しく低いからです。

「共済」という性質上、保険会社の売上や利益ということについてはあまり重視していない商品と言えるでしょう。

ですのでもしかしたら保険代理店はなかなか紹介してくれないかもしれません。

理由②取扱できる代理店が極めて限られている

また、この商品は取扱のできる代理店は限られています。

保険会社はたくさんの代理店を管理しなければなりません。

新しく販売する商品を、売上規模が小さかったり、昨日今日でようやく独立したような新規の代理店に、このような商品の販売はお任せしてくれないのです。

まず理由②でこの全国建設業労災互助会の制度自体を知る機会が少ないこと。また理由①により、さらに出会う確率が減ってしまう。商品としてはかなりの競争力があるのにほとんど知られていないのです。

人件費や材料費の高騰や、変動に備えるために一度検討してよい商品だと言えるでしょう。

さてここから全国建設業互助会補償制度の特徴と加入の方法、入会金などをご紹介したいと思います。

制度の3つの特徴

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①政府労災の上乗せ補償

①政府労災の上乗せ補償内容

・社員や下請け、アルバイトがケガをした場合、その入院費用や通院費用をお支払いします。

・全ての工事ではたらくすべての労働者を補償(下請けやアルバイトも補償)

・通勤中の災害も補償

・※使用者賠償責任も補償

※特にこの使用者賠償責任は近年重要性を増しています。労災事故が起こった場合、企業は安全配慮義務違反を問われ従業員やその遺族等からの訴訟により巨額の賠償金を求められることがあるため、労災の上乗せ補償よりも、使用者賠償責任を重視するケースもあります。

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②請負賠償責任保険(請賠(うけばい))

②請負賠償責任保険(請賠(うけばい))内容

・工事遂行中、工事終了引き渡し後及び施設の賠償事故を補償。

※工事中に通行人にケガをさせてあ、または引き渡し後に防水が不完全で雨漏りが発生して、損害を与えたような場合に補償の対象となります。

・工事中に作業対象物を損壊させたことによる賠償事故。

・自走可能なリース・レンタル建設用工作車の破損事故を補償

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建設・土木・組立工事補償制度

③建設・土木・組立工事補償制度内容

火災や台風、作業ミスなど工事期間中に工事現場で偶然な事故により、工事対象物等に生じた損害について補償するなど

これらの3つの制度にまとめて加入することができます。また、うちは建設工事保険だけでいい。というような場合はどれか1つだけ選んで加入をすることもできます。

保険料以外にちょっとだけ費用がかかります

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全国建設業労災互助会は内閣府の認可団体で、団体のスケールメリットを生かして個別で加入するよりも割安な掛け金となっています。

互助会への加入方法は年間24000円の正会員と、年間2400円の賛助会員の2通りの加入方法があります。

年間2400円の賛助会員でも互助会の補償制度に加入することはできるため、この2400円の入会金を含めても従来の建設業向けの保険よりも割安になるケースが多く見受けられます。

建設業は業務中の事故が多い為、保険料も他の業種より高くなる傾向があり、収益の負担になるケースがあります。そんなときにこの互助会制度は非常に有効な制度だと言えるでしょう。

また、仮に事故が起こった際も、窓口は大手損害保険会社が窓口となっているため通常の保険事故となんら変わらない対応です。

互助会への加入や、補償制度の加入方法なども非常に簡単に加入することができます。

ひとつの情報として、この制度を知っておくとよいでしょう

金子賢司

この記事を書いた人

ファイナンシャルプランナー金子 賢司

これまで1000件以上の家計、住宅ローン、生命保険、損害保険、資産運用の相談に携わる。UHBなどのテレビのコメンテーターや確定拠出年金等のセミナーを毎年約50回実施。CFP資格保有者。TLC(生命保険協会認定FP(TLC資格とは))、損害保険トータルプランナー公式HP