個人賠償責任保険は業務中の事故は使えるか?

個人賠償責任保険は業務中の事故は使えるか?

個人賠償責任保険は用途の広い商品

人にケガをさせてしまった時、人のモノを壊してしまった時、法律上の賠償責任が発生した時に使える保険ですが、賠償責任と言っても裁判で判決がでないとダメというわけではありません。賠償責任が一般的には発生する事故かどうかは保険会社が判断します。なので、相手にケガをさせてしまったり、店頭でうっかりものを落として壊してしまった時はまずは聞いてみるともしかしたら保険金が出るかもしれません。

個人賠償責任保険の支払い事例

業務中の事故は対象外です

個人賠償責任保険は、別名日常生活賠償責任保険といい、あくまでも私生活のトラブルを保障するためのものです。

とある運送会社のドライバーが配送中にお店の荷物を壊してしまったケース

これは個人で加入している賠償責任保険は使えません。本来はそのドライバーがお勤めしている会社でそのような保険に加入しているはずです。

したがって、会社に配送先で物を破損させたということを報告する必要があります。しかし、その会社はそのような保険に入っていないので、自腹で対応しなさいという返答。実はこの企業かなりの大手で、企業としての賠償責任保険に入っていないというのは非常に考えにくいですが、そのような返答があり会社からの補償は無理ですし、雇ってもらっている身分なのであまり強く言えないということでした。

そこで

個人で破損させたことにできませんか?

こんなことを相談されました。

・・保険会社は皆さんからお金を集めて、本当に困った人のために保険金を支払います。そのようなことが横行してしまえば保険の公平性が損なわれるため認めるわけにはいきません。これを認めると、まわりまわってみなさんの支払う保険料が値上がりするという結果を引き起こします。

ということでダメです。

ということで、業務中の事故は業務用の賠償責任保険に加入をする必要があり、自分の自動車保険や火災保険や共済などについている個人賠償責任保険では対応できません。

この配送業の事例は2、3年前の話です。

今はドライバー不足なので、このような対応をする運送会社もないとは思います。配送業に限らずお勤めの方は業務中に相手先の人にうっかりけがをさせたり、訪問先で物を壊してしまった場合の補償を会社がしてくれるかどうかを確認しておいた方がよいかもしれません。

個人保険を使うのはNGです。

自動車の事故は通常は企業の自動車保険で対応できます。しかし、1度2度ならいいですが(よくないですけど)、繰り返すと給料から天引きされたり、反省の意味も込めて減俸されたりする事例はいまだに散見されます。

自動車保険は保険の事故を起こすと、来年から毎月支払う保険料が上昇します。この値上がりした分を事故を起こした人たちで分担させたりなどの措置をしている会社もあります。業務中の事故も必ず会社が守ってくれないケースがあるので特に中小企業は要注意です。