年収130万から年収106万へ、、年金は国にはもう頼れない!
- 2016.07.03
- ライフプラン FP 独学 ファイナンシャルプランナー
現在は会社員や公務員のほかにパート労働者でも勤務時間が週30時間以上といった基準を満たす人が対象となっていましたが
2016年10月から、厚生年金の適用が拡大されます。適用の条件は以下になります。
①従業員数501人以上
②労働時間が週20時間以上
③年収で106万円以上(月で約8.8万円)
④勤務期間が1年以上の見込み
⑤学生は適用外
この変更によって新たに25万人が厚生年金の対象になるといわれています。
厚生年金に加入できるとどうなってしまうのか?
厚生年金に加入できるなんてよいことなんじゃないの?とサラリーマンの方は思うかもしれません。しかし、、これはもっぱらパートタイマーで働いている人たちにとっては重大問題なのです。
サラリーマンの配偶者は年金保険料を払っていないのは知っていますか?これはよく、扶養に入るという言い方をしますが一定の年収まではサラリーマンの勤務先が配偶者の年金も払ってくれているのです。しかし、配偶者の方が年収500万円もあったりしたら、そんなセレブな配偶者に会社は年金保険料を負担する必要はないでしょ!!ということでここまでの年収だったら会社が年金保険料の負担をいたしましょうじゃありませんか!ということで上限を設けています。
それが130万円だったわけです。ですのでパートの間では熾烈な勤務時間調整合戦があったわけです。
近年では人手不足で上司からちょっとこの日、シフトに入ってほしんだけど・・といわれると猛烈に勤務時間が今いくらかまずは調査をして、その年収の範囲内であればにっこりと「ぜひやらせてください!」と答え、その年収をオーバーする勤務時間になれば「すいませんが扶養から外れてしまうので入れません!」とキッパリ断っていたのです。
この130万が106万になるわけですから、これまた熾烈なパートのシフト調整が始まるのです。
ちなみに配偶者が扶養に外れるとどうなるかというとこれまでサラリーマンの勤務している勤務先が年金を払っていたのですが、今後は配偶者の勤務先の厚生年金に加入することになる。というわけです。自分の給料から厚生年金保険料が天引きされてしまうのです。将来の年金が増えるというメリットはもちろんあるのですが、パートしている世代は生活が大変だから働いているのであって、将来の年金はもうちょっと先に考えようと思っている人がほとんどです。
妻が厚生年金に加入するようにしたのはなぜか?
・今後も老後の年金所得は目減りするので、年金収入を増やすため
所得代替率(しょとくだいたいりつ)といいますが、現在は60%を超えていますが、2040年度には50%以下になる見通しとなっています。これを妻も厚生年金に加入できる範囲を広げることで所得代替率を上げていこうという意図があります。自分で働いて将来の年金額を増やしてくださいね。。ということです。
※所得代替率とは・・かなりざっくりいうと現在の毎月の世帯収入が40万円の人が夫婦の年金収入20万になったら所得代替率は50%、年金収入が10万しかなかったら所得代替率は25%という意味です。
・労働時間を調整せず、活躍の場を提供するため
パートやアルバイトが増加しているものの、夫の扶養に入るために103万円未満に収入を抑えて働くというように長時間働くことが逆に損をするという状況を改善するため。労働力の確保のため、扶養に入らないように長時間労働を避けるのではなく、さらに活躍の場を提供しようという意図もあります。
ただ103万円を超えて働いたからといって、現在の手取りは厚生年金で差し引かれた分将来受け取れる年金に反映はしますが、将来の年金受取額で取り戻すことができるわけではないことに注意が必要です。何歳まで生きるか誰にも分からないから・・というのも当然ですが、
おおよその目安は年収160万円位に達すると、厚生年金保険料としてパート収入から差し引かれても将来受け取れる年金額が多くなるとされています。
結構な労働時間になりそうな気はしますが・・
ご主人が自営業、個人事業主などの第一号被保険者(夫、妻それぞれ国民年金のみを支払っている方)であれば、この変更にともなって一番恩恵を受ける人たちになります。
メリットはあるものの、現状は結局現場サイドではブーイングが大きい施策であり、さらなる勤務時間調整が働いているのが実情のようです。
老後の年金はますます減少する可能性が高い
先ほど所得代替率のお話もありましたが、受け取れる年金は着実に目減りしていきます。または今は65歳から支給開始ですが、いつ支給開始年齢がまた引き上げになるかもわかりません。私たちにとって改善と思える状態になることは非常に考えにくいです。
このように自助努力で少しでも皆さん自身で上乗せできるような制度をちょこちょこと打ち出してきています。
単純に、所得を130万以下に抑える。お構いなしにバリバリ働く、500人以下の規模の会社に就職するなどの対策はありますが、今後年金制度は良くなる方向に行くことはあり得ないと考えます。みなさんもきっと感じているはずです。
国ももう将来の年金は自分で用意してくださいよーーと言わないまでも意図した政策を打ち出しています、
その最たる事例が2017年度から導入となる公務員、専業主婦も確定拠出年金に加入できる個人型確定拠出年金の導入でしょう。
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