1億総活躍社会の準備。在職老齢年金の廃止、在職老齢年金とは?

1億総活躍社会の準備。在職老齢年金の廃止、在職老齢年金とは?

在職老齢年金が注目されています

自民党が一億総活躍社会にむけた提言を発表しました。

そのうちのひとつに在職老齢年金の廃止または見直しというものがありました。

この在職老齢年金って何なんでしょうか?いまいちいろいろ調べてもわかりにくいんです。

まず、すごく簡単に言います。

退職後年金を年金を受け取ることができますが、それだけでは生活ができないことがあります。または会社の社長等は例えば65歳になったとして、じゃあ定年です。バイバイ!というわけにはいきません。年金を受取りながら並行して仕事をして給料または報酬を受け取る人がいるのも当然です。

このように年金と給料または報酬をたした金額が一定額以上ある人は年金カットします。というのがこの在職老齢年金です。

在職老齢年金について理解を深めていきましょう

pension

まず日本の年金制度は2階建てということを知りましょう

それでは在職老齢年金について理解を深めていきたいのですが、知っておかなければいけない知識がいくつかあります。

まず日本の年金制度は2階建てだということです。

ずっと自営業だった方は、国民年金に加入しているのみなので将来受取れるのは

老齢基礎年金

になります。これは40年間支払続けて満額受け取ることができます。40年間払っていない場合はその割合に応じて、将来の老齢基礎年金額が減っていくという仕組みになります。

そして会社勤めの方は、わざわざ年金を払わなくても会社が「厚生年金保険料」という項目で天引きしてくれます。

厚生年金保険料をずっと支払ってきた人は将来

老齢基礎年金+老齢厚生年金

の2つを受取ることができます。

ずっと自営業だった人に比べて、老齢厚生年金部分が余計にあるのはお分かりいただけると思います。

在職老齢年金はまず老齢基礎年金は全く関係がありません。いくら給料や報酬があっても老齢基礎年金の部分はもらえます。調整が入るのは老齢厚生年金の部分だということをまずは知っておいてください。

総報酬標準月額相当額とは?

あらら、漢字だらけ。総報酬標準月額相当額とは何でしょうか?ざっくりいうとボーナスを含めたその人の年収÷12が総報酬標準月額相当額です。

ボーナス300万、毎月の収入25万だとしたら25万×12=300万

ボーナス300万+ボーナス以外の収入300万=600万÷12=50万

総報酬月額相当額は50万という計算をします。※金額等は細かい規定がありますので、詳しくは専門家に聞いてください。

総報酬月額相当額はおおよそこういうものだということだけここでは知ってください。

 

在職老齢年金は60~65歳未満と65歳以降とで金額が異なります

60~65歳未満の場合

①基本月額(毎月の老齢厚生年金の金額(厳密には年間の金額を12で割った金額))+総報酬月額相当額=28万円以下の場合

毎月の年金額と給与の金額をたしても28万円にならないときは年金カットはありません。

②基本月額+総報酬月額相当額=28万円を超えている場合

以下の表のようになります。

基本月額+総報酬月額相当額が

28万以上

基本月額が28円以下総報酬月額相当額46万以下基本月額ー(総報酬月額相当額+基本月額ー28万円)×1/2
総報酬月額相当額が46万超基本月額ー{(46万円+基本月額ー28万円)×1/2+(総報酬月額相当額-46万円)}
基本月額が28万円超総報酬月額相当額46万以下基本月額ー(総報酬月額相当額×1/2)
総報酬月額相当額が46万超基本月額ー{46万円×1/2+(総報酬月額相当額-46万円)}

一つだけ事例を、、赤字の部分を何か数字を入れて実際にやってみましょう

基本月額が25万、総報酬月額相当額が50万だったとします。年金のうち、老齢厚生年金が25万円、お仕事の給料が47万だった場合です。

計算式は

基本月額ー{(46万円+基本月額ー28万円)×1/2+(総報酬月額相当額-46万円)}

です。

数字を当てはめていきます。

25万円ー{(46万円+25万円ー28万円)×1/2+(47万ー46万円)}

=25万円ー(43万×1/2+1万円)

=2.5万円

この人が受けられる年金額は2.5万円です。

本来は老齢厚生年金として25万円受取れるはずが、在職老齢年金という形でもらえる年金は2.5万円になってしまいました。

というのが在職老齢年金です。

年金を受け取っている人は、給料を稼ぐほど、年金が減っていくこれが在職老齢年金の仕組みなのです。ただし冒頭にお話しましたが、これに加えて老齢「基礎」年金は受取ることができます。

pension

65歳以上の場合の在職老齢年金はシンプルだが、支給停止額を計算することに注意

①基本月額+総報酬月額相当額が46万以下

年金支給の停止はなし

②基本月額+総報酬月額相当額が46万超

以下の計算式に当てはめます

(総報酬月額相当額+基本月額ー46万円)×1/2

【事例】総報酬月額相当額50万、基本月額15万の場合

(50万+15万ー46万円)×1/2=9.5万円

この9.5万円は支給停止額です。

この人の年金額は15万で9.5万円が支給停止になるので

15万-9.5万円=5.5万円

在職老齢年金は5.5万円になります。

 

それで在職老齢年金の何が問題なの?

解説が長すぎて、テーマを忘れてしまいそうでしたが自民党は今回この在職老齢年金の廃止または緩和をしようとしています。

高齢者の労働力をもっと市場に取り入れるために今後も様々な政策が検討されていますが、その一つが在職老齢年金の廃止または緩和です。

ずいぶん高齢者よりの法案つくったなぁと思う方もいるかも知れませんが、よくよく計算してみるとかなり年金額が減ることがわかりますよね。

高齢者の働く意欲をそいでしまう。またせっかく年金を収めてきたのに、年金を全く受取れない人も当然出てきます。かといってこの在職老齢年金をなくして、年収のある人にも年金を渡して年金財政は大丈夫なのか?

たしかに年金を払って全く受取れない人がいるのはかわいそうな側面もありますが、

私は在職老齢年金の廃止はあまりにも、緩和のしすぎではないかと思います。みなさんはどう考えるでしょうか??