初心者向けNISAの仕組み
- 2015.10.23
- NISA(ニーサ)|少額投資非課税制度
Contents
初心者向けNISAの仕組み
ここは積立NISAではなく通常のNISAのお話です。
NISA(ニーサ)って何?
NISAとはイギリスで導入され、そもそもISA(Individual(個人) Saving(貯蓄) Account(口座)(個人貯蓄口座)という制度の日本版(Nihonの「N」)を頭につけてNISA(ニーサ)と呼ばれるようになりました。日本版ISAということでNISAと言われます。意外と安易です(笑)
NISAとは「少額投資非課税費制度」のことです。小さい金額の投資ならば非課税(税金がかからない)にしますよという制度です。
NISAの「非課税」とは??
通常の投資を例にとってみると、100万円で株式を購入し、株価が上がったので120万円で売却したとします。
ここでは20万円の売却益が出ました。通常の投資では20万円がそのままもらえるというわけではなく、この20万円に税金がかかってきます。(税率20.315%)
計算をすると約4万円の税金がかかります。
本来は約4万円の税金を払わないといけないのですが、
NISA口座を利用した場合、今回は100万円の事例で説明しましたが、NISAは投資元本120万円以内の投資の中で発生した利益は非課税になる。という制度です。
NISAの非課税期間は5年間
1年の間に120万円までは何回投資をして利益が出たとしても、運用益に対しては非課税です。
ということはこれを5年間続けると120万×5年間で600万円までは非課税効果を受けることができるのです。
たとえば2015年に株式投資信託Aを100万円を購入したら、
10万の分配金を得ることができました。
2016年も同じ株式投資信託Aを持っていて10万円の分配金を得ることができました。
以降、2017年、2018年、2019年12月31までは利益が出ても非課税制度のメリットは受けられます。
→これが5年間という意味です。
毎年100万投資をして、10万円毎年分配金が出ていたとすると、
分配金の金額は10万×5年間=50万円の分配金が5年間であり、なおかつ非課税なのです。
あくまでも5年間で10%の利益が毎年出た時のお話ですが。。
ただし5年が経過し、2015年にスタートしたNISAなら、
2020年になって引き続き株式投資信託Aを保有していて、分配金10万円が発生した場合は今の制度では残念ながら課税が再開してしまい、10万×20.315%=約2万円の税金がかかるようになってしまいます。
これをロールオーバーといいます。5年経過したあと、このお金をどう取り扱うかがまた今後は問題になってきます。
「NISA」は2023年まで続けられます
たった5年だけ、、!?
と思ったかも知れません。
しかしNISAは現状2023年まで制度としては継続する予定です。
2023年までNISAはスタートができるということです。延長する可能性は高いですが。。
ということは、2019年いっぱいで2015年に始めたNISA口座での株式投資信託Aの非課税期間が終了してしまったら、
2020年から同じ商品で再投資すれば,
さらに年間120万円の範囲であれば5年間、要するに2024年まで再度継続することができます。
これが前述のロールオーバーの一つの選択肢です。
当然、2020年の段階で他に魅力的な商品があったら、別の商品でスタートしても問題ありません。そして商品はひとつである必要もなく、その金融機関で用意している商品を複数選択してもよいのです。
毎年120万円の範囲内で用意されている商品の中から選択して、運用をすれば非課税になります。
今のところNISAは2023年まではじめられるのですが、NISAのもととなったイギリスでは国民の4割が利用しており、期限がなくなったと言われています。もし日本での活用が進んで来れば、この期限措置は日本でも無くなるかも知れませんね。
NISA口座を開設できるのはこんな人
- 口座開設をしようとする年の1月1日時点で20歳以上の人
- 日本に居住していること・・いつの時点で日本に居住しているかという基準日も重要です。海外を繰り返して海外の住所から日本の住所に移したことがあったり、外国人で永住する人も、最近居住を始めた人などは日本に居住という扱いになるか確認が必要です。
NISAの始め方
まずはNISA口座を作りましょう。
ただしNISA口座をする前にもう一つ口座を作らなければなりません。
- 証券会社であれば「証券口座」
- 銀行や信託銀行であれば「銀行・信託銀行口座」
をまずは作る必要があります。
- 「証券口座」があって初めて「証券会社NISA口座」を作ることができます。
- 「銀行・信託銀行口座」があって初めて「銀行・信託銀行NISA口座」を作ることができます。
あらかじめ「証券口座」、「銀行・信託銀行口座」を持っている人はすぐにそれぞれのNISA口座を作ることができます。
NISA口座開設の流れ
NISA口座開設までの流れは以下の通りです。
なお平成28年以降はマイナンバーの提示も必須になります。
金融機関(証券会社や銀行など)から口座開設書類をもらう。
↓
金融機関に書類を提出します
NISA口座開設に必要な書類
- NISA口座開設申込書(NISA口座の前に、証券口座、銀行・信託銀行口座をまだ作ってない人はそれも提出)
- 非課税適用確認申請書の交付申請書 兼 非課税口座開設届出書の提出
- 住民票の写し
↓
金融機関が税務署にNISA口座開設の申請をし、税務署がチェック
(NISAは非課税のメリットがあるので、この人は複数の金融機関に口座を開設していないか?などを税務署でチェックする必要があるのです)
↓
金融機関からの承認
↓
NISA口座の開設!!
という流れになります。
NISAを扱っている金融機関選びのポイント
①自分の取り扱いたい資産があるか?
NISA口座は1人1口座のため、どこの金融機関で口座開設するかはとても大切なポイントです。NISAでは公社債、または「公社債」投資信託を取り扱うことができないことに注意が必要です。
したがって、取り扱う商品は比較的リスクのある商品であるということをまずは理解しておく必要があります。
NISAの対象商品は「株式」投資信託、国内株式、海外株式、国内ETF、海外ETF、国内REIT、海外REITが主な取扱商品です。金融機関によっては取り扱いがない資産もありますので自分はどの資産を取り扱いたいのかをよく考えて選択するのがポイントです。
一般的には銀行よりも証券会社の方が取り扱い商品は多いです。
とりあえず作ったのによくよく見てみたら取り扱いたい資産がない!というようなことのないよう注意しましょう。
②売買手数料
投資信託は商品の売買をするときに手数料がかかります。NISA口座での売買委託手数料を無料にしている金融機関もあるので、この手数料というのも重要なポイントです。
基本は手数料無料のネット証券を利用するのが良いです。
NISAの注意点
NISA口座を開設して、株式を購入してよし!これで非課税のメリットをうけて運用しよう!と思うのはいいのですが、そのままでは非課税のメリットを受けることができません。
配当金の受け取り方法を「株式比例配分方式」を選択しておかないと非課税どころか配当金に20.315%の課税がされてしまいただ口座開設の手間だけがかかってしまったということになりかねません。再度やり直しになってしまいますので注意が必要です。
NISAよくある質問集
NISAの口座を他社へ変更することはできますか?
NISAは1人1口座なので複数金融機関でNISA口座をもつことができません。
当初考えていた運用方法や商品ではなかったときは金融機関を変更することができます。
1年の間に一度でもNISA枠を使っているときはその年は変更することができません。そのような場合はその年ではなく翌年に「非課税管理勘定廃止通知書」をこれまでの金融機関に発行してもらい、つぎの金融機関に提出をします。
NISA口座だけつくって、まったく利用していないような場合はその年でも「非課税管理勘定廃止通知書」を発行してもらうことができます。
すでに購入している株式や投資信託はどうなる?
NISA口座の商品を移管することができないので、いったん売却をして次の金融機関の口座で運用を再度始めることになります。
NISAは家族でもつことは可能ですか?
前述の年齢要件と日本国内に居住している要件を満たせば家族全員NISA口座を保有でき、運用益非課税のメリットを受けることができます。
NISAは確定申告をする必要はありますか?
NISAは確定申告の必要はありません。運用益が非課税な上、他の課税口座と損益通算もできないからです。
NISAの年間非課税枠は翌年に持ち越せるか?
NISAの非課税枠は翌年に持ち越すことはできません。年間120万円の非課税枠があるのですが、2017年に100万しか使わなかったので、残りの20万+年間120万の控除枠をたして140万とはならず、120万円のみとなります。
NISAの非課税枠はくりかえし使えますか?
年間120万円が限度なので、一度120万円いっぱいまで購入し、120万円売却したからまたこの年度で120万円の枠が戻る。。というのは間違いです。一度120万の非課税枠を使い切ったら、売却しても再度非課税枠が使えるようになるわけではありません。使い切りです。
この記事を書いた人
ファイナンシャルプランナー金子 賢司
これまで1000件以上の家計、住宅ローン、生命保険、損害保険、資産運用の相談に携わる。UHBなどのテレビのコメンテーターや確定拠出年金等のセミナーを毎年約50回実施。CFP資格保有者。TLC(生命保険協会認定FP(TLC資格とは))、損害保険トータルプランナー、公式HP
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