遺言(直筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言)
- 2016.01.09
- 相続・事業承継 FP 独学 ファイナンシャルプランナー
遺言とは
亡くなった人が相続人となりうる人たちに残す意思表示のことです。その様式は法律によって定められており、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3通りがあります。
なぜ遺言が必要か
相続財産の分配をするためには、遺産分割協議をおこない、誰がどの財産を相続するかを決めなければなりませんが、相続人全員の合意が必要です。そのため、合意に応じない人がいたりして話し合いが長期化することも考えられます。
遺言があることによって被相続人の意思が明確になっていれば、遺言書の通りに相続をすることになり、生前の被相続人の意思の通りに相続させることができまし、争いが生じた場合も遺留分を侵害しない限りは遺言に記載された内容で分配することになるため、手続きがスムーズです。
相続人の遺産分割協議で合意があった場合はそちらが優先になります。
遺言の要件
- 満15歳以上であれば誰でも作成できる
- 一度作成した遺言はいつでも自由に内容の一部、または全部を撤回できる(後述する遺言の方式は問わない(公正証書遺言を自筆証書遺言で撤回することもできる)
- 最初に作成した遺言と後に書き直した遺言の内容が抵触する場合は、前の遺言が後の遺言によって撤回されたとみなされる。
- 遺言を書いたあと、遺言を書いた人が故意に遺言を破棄したような場合はその部分について撤回をしたとみなされる。
遺言の方式
①自筆証書遺言
遺言を書く本人(遺言者)が、文章、日付、氏名などを自署して押印する。ワープロや代筆は不可。、加筆、訂正は厳格な決まりがある。
・証人や立会人
不要
・検認
必要
・メリット
①作成が簡単であること
②内容が秘密にできる
③費用がかからない
・デメリット
①誰にも発見されない可能性がある
②紛失や改ざんの可能性がある
③要件を満たしていない場合は、無効となってしまう
②公正証書遺言
本人が後述し、公証人が筆記する。証人が内容を確認し、公証人とともに本人も署名。公証役場で作成し、原本は公証役場で保管している。
・証人や立会人
証人2人以上が必要
・検認
不要
・メリット
①遺言の紛失や改ざんの心配がない
②遺言の要件を満たさず、無効になる心配はない
・デメリット
①手続きが煩雑
②費用が高い
③内容を秘密にできない
③秘密証書遺言
本人が作成し、遺言に署名、押印して、同じ印で封印する。公証人の前で本人が住所、氏名を記し、公証人が日付などを記入する。ワープロ、代筆が可能。
・証人、立会人
公証人と証人2人以上
・検認
必要
・メリット
①遺言の内容を秘密にでき、なおかつ遺言の存在は明らかである
②改ざんのおそれがない
・デメリット
①費用がかかる(公正証書遺言よりは安い)
②手続きがやや煩雑
遺言が発見された場合
遺言が発見されたり、保管していた際は相続が開始した後に遅滞なく家庭裁判所に提出し、検認を受けなければなりません。仮に勝手に開封した場合は、遺言自体は無効にはなりませんが、過料が課せられます。
※公正証書遺言は検認は不要です。
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