心の病による労災認定にも備えておきたい保険

心の病による労災認定にも備えておきたい保険

労務リスクにそなえる

企業には従業員の福利厚生制度の充実や労働環境の安全を守る義務があります。
仮に、業務に服している最中、通勤時間に従業員がケガをしたような場合は企業は思いがけない大きな責任を負うことがあります。
仮に企業が従業員の業務上のリスクに対してなんの措置もとっておらず、従業員やその遺族に不利益が起こることがないよう、国では労働基準法をさだめて「政府労災」への加入を義務付けています。

「政府労災」の給付内容

ところがこの政府労災は医療費の実額は支給されるものの、被災労働者本人の見舞金、入院時の雑費、付きそい費用などは対象外となります。また働けなくなって、会社を休まなければならなくなった場合、1日につき平均賃金の8割までとなっておりなぜか給与の全額補償ではないこと。また、業務中に亡くなったりまたは入院して働けなくなった本人の遺族にたいしての補償も非常に心もとない内容になっています。

過労が原因となる心の病が増えています

2016年度では過労を原因とした心の病で労災を請求した人は1586人うち労災認定を受けたのが498名となりました。これは4年連続で最高水準なのだそうです。
病気についての労災認定も過去最高、くも膜下出血や心筋梗塞、脳、心臓疾患といった過労を原因とする病気が多くなっています。政府がまとめた「働き方改革実行計画」により残業時間の上限を明記したものの、運送業が5年間その制限を猶予されています。そしてよりによってその運送業の労災認定が圧倒的に多く、残業時間についての対策や事故が起きたときの対策は特に必要性が今後高まってくるでしょう。
企業は労働契約に伴い労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をすることが求められています。これを安全配慮義務といいます。
仮に社員が業務上の理由で亡くなった場合、企業は安全配慮義務違反がなかったかどうかを精査され、安全配慮義務違反という判断となれば従業員またはその遺族から民事上の損害賠償を請求されることがあります。
こうなると非常に請求額は高額となり、政府労災だけでは到底カバーすることができずその越えた分は会社負担となります。ひいては企業にとってはとてつもない損失を被ることになるでしょう。

skeeze / Pixabay

商工会が発売している業務災害補償プランは心の病による労災も対象になります

各損害保険会社で労災総合保険等という商品名で発売しておりますが、何といっても各中央会や商工会が発売している業務災害補償プランがおすすめです。何よりも保険料が通常の民間の保険会社の保険料に比べて極めて競争力が高いこと。脳血管疾患、心疾患、心の病に起因するものでも保険の対象となります。
デメリットとして一番大きいのはあくまでも政府労災で不足する分の上乗せなので、労災認定されないと給付されないということです。微妙な事件で労災を使いたくないというときもあるかと思いますので判断が必要です。
また保険の開始日が各月の1日からしか設定できないことと、各商工会または中央会に所属している必要があること。当然これらに所属するためには会費などの費用が発生します。しかしその費用を含めても、かなりの保険料削減+労災事故の補償アップが可能となる商品です。

使用者賠償責任も備えておきたい

労災の上乗せ保険はあくまでも従業員の補償です。従業員が仮に心の病による自殺や、身体の病気がきっかけで亡くなり、遺族から安全管理配慮義務を指摘されて賠償金を求められた時、遺族の配偶者から「うちの家庭の今後の生活費は!!、慰謝料は!」と言われたときに通常では支払うことができません。この額どれくらいになるんだろうと考えたら結構大きくなることが想定できるはずです。そこで「使用者賠償責任特約」の登場です。年間で億単位の賠償保険金を用意することもできますので、労災のリスクに備えることができます。

誰でもわかる!労災の上乗せ保険と使用者賠償責任保険

まだ知らないという方は是非最寄りの商工会、中央会、保険会社や代理店にお問い合わせをしてみてはいかがでしょうか?意外とすでにこれらの会に加入しているという企業も結構ありますよ。