不動産登記のしくみ

不動産登記のしくみ

不動産登記とは

不動産の勉強を始めると必ずこんな問題に出会います。

Aさんは自分の土地をBさんに売買するため、Bさんと売買契約を締結した。

これだけなら、全く普通の取引と言えます。しかし、土地は一見しただけでは誰のものかというものが分かりません。土地に名札を付けているなんて見たことがありませんよね。

そんな土地の性質を利用して、AさんCさんにも土地を売買し、Cさんと売買契約を締結しました。

Bさんへの売買契約、Cさんへの売買契約もどちらも有効ですが、ではどちらがこの土地の持ち主であると言えるのでしょうか??先に購入したBさん??

答えは、先に登記をした人がこの土地の所有権を手にすることができます。

登記とは、土地だけでなく建物の所在地や、どのぐらいの広さのものか(面積)等の情報を不動産登記簿に記載して公示する制度のことをいいます。

今回の事例の場合は所有権の移転登記(この土地はAさんから私のものになりましたという内容)をBさんとCさんどちらが先にするかで決まります。仮にBさんが先に売買契約をAさんと結んでいたとしても、後で売買契約をしたCさんが登記をしていた場合はCさんのものになってしまいます。

不動産登記の対抗力と公信力

上記の事例の通り、不動産登記をしなければ第3者にこの土地は私のものです!と対抗することができません。これを対抗力と言います。

しかし、仮にその登記の内容がウソの内容で、今回の事例でいえばAさんが本当の所有者でなかったのにAさんと売買契約をしてしまい、土地を取得できなくなったとしても、法律的な保護をうけることはできません。登記のように公示されているものを信じて取引をしたとして、かりに事実が違ったとしても取引をした人を守る公信力が登記にはありません。

不動産登記には対抗力がありますが、公信力がありません。

不動産登記のしくみ

日本特有のしくみですが、土地と建物は別々の不動産と取り扱われるため、土地は一筆ごとに、建物は1個の建物ごとに作成され、法務局(登記所)に備え付けられて、確認をすることができます。

登記には「表題部」という表示に関する事項と「権利部」という権利に関する事項を記載する。

権利部はさらに「甲区」と「乙区」に分けられる。

「甲区」・・・所有権に何する事項が記載されています。(所有権保存登記、所有権移転登記など)

「乙区」・・・所有権以外の権利に関する事項が記載されています。(抵当権、賃借権、地上権など)

仮登記

物権の変動はあったが、本登記をするための書類がまだそろっていない。。でも先に登記をされたら困る。。というような場合、本登記の順位を保全することができる。これを仮登記という。

仮登記は、第三者に権利を主張することができない(対抗力がない)が、後日本登記がおこなわれると仮登記したときの順位が引き継がれる。

不動産登記記録

不動産登記は法務局(登記所)に不動産登記簿として備えられているが、登記用紙をまとめた紙媒体の登記簿と、コンピューターでデータ化し、登記の申請もオンラインでできるようになっている。この電磁的データのことを登記記録という。

誰でも、交付、閲覧することができ、従来の閲覧の代わりに「登記事項要約書」が交付され、従来の登記簿謄本、抄本の代わりに「登記事項証明書」が交付される。

登記記録だけでは、確認できない情報も多いので、登記所では登記記録のほかにもたくさんの資料が備えられている。

しかし、各登記所に必ずすべての以下の書類がそろっているわけではないので、注意が必要です。

法務局(登記所)に備えられているその他の資料

14条地図 ・・・不動産登記法第14条に基づいた制度の高い地図。しかし備え付けられている法務局は少ない

公図・・・14条地図に準ずる図面。14条地図よりは制度は低い

地積測量図・・・土地の形状や面積を記した図面。すべての土地に表示されているわけではない。

建物図面・・・建物の位置や形状現した図面

道路台帳・・・道路法に基づいた道路の管理図面

その他にも補完資料は有ります。