医療保険の積立はオススメか?事例をもとに検討

医療保険の積立はオススメか?事例をもとに検討

医療保険の積立はオススメか?事例をもとに検討

医療保険の永遠のテーマかも知れませんが、医療保険は実は掛け捨てタイプと積立タイプのものがあります。よくCMで価格重視で医療保険を紹介しているのは、掛け捨てタイプです。

積立タイプは払った保険料の一部が貯蓄になるので、掛け捨てよりは保険料が高めです。本来は積立部分が払った保険の30%位は解約すれば戻ってくる積立タイプの医療保険もあるのですが、

そこまではCMでは説明しきず、積立の医療保険はCMという一瞬の時間ではただの保険料が高い商品に移ってしまいます。

わざわざ高い保険料の医療保険をCMで積立保険は保険料の一部が積み立てになっていてね・・云々という説明はややこしいのでCMではあえて行わないでしょう。

ただ、実際に商品提案の場では、掛け捨てだけでなく積立も根強いニーズがあります。

以下の事例を参考に自分なりにお得だと思うパターンを選択することができるようになればと思います。

保険料と解約返戻金(解約するともどってくるお金)はあくまでも目安です。

払込期間、終身と65歳満了の2パターンで保険料比較

①40歳、女性、医療保険60日型、保険期間終身、支払い期間も終身の場合

とある保険会社の商品では支払い金額は

3,350円/月になります。

もしこの時仮に女性が平均寿命の87歳まで生きたとしたら、

3,350円(保険料)×12×47(年※)=189万円

※40歳から87歳まで生きるので87-40=47です。

万が一、さらに日本の平均寿命があがり仮に97歳まで生きたら

3,350円(保険料)×12×57(年)=229万円

229万円を支払います。

②40歳、女性、医療保険60日型、保険期間終身、65歳で払込終了の場合

この場合保険会社の商品では支払い金額は5,360円/月になります。

これだけみたら上記の①と比べれば同じ内容なのに「高い!!」と思うでしょう。

①との違いは、一生払い続けるか?65歳で払込を終了させるか?が異なっています。

この場合は5360円×12か月×25年=支払う保険料総額約161万

ちなみに上記計算の25というのは40歳から65歳まで保険料を払うので、25年を掛けたという意味です。

65歳で払込終了なので、これ以降は保険料を払う必要なく、保障は一生残ります。

①と②を比べると、毎月の保険料は②の方が高いのですが、仮に平均寿命まで生きたとしたら、月々の保険料が高い方を選んだ方がいいということになります。

掛け捨てがいい?貯蓄型がいい?

もう一つ保険でよくある議論、医療保険は掛け捨てがいい?積立タイプがいい?

という議論です。

最近は掛け捨ての医療保険の保険料の説明をしていると逆にお客様から、

もしやめたら何も無くなるのはさびしい、、

いくらかでも保険を解約したらもらえるものはないの?

と逆に聞かれることがあります。

以下は解約返戻金(解約したらお金が戻ってくる)ありのパターンの保険料の目安です。

文章で説明すると難しいので、こういう傾向があるということだけ知ってください。

貯蓄型の考え方

③40歳、女性、医療保険60日型、保険期間終身(一生涯)、支払い期間も終身の場合

今まで説明してきたように掛け捨てではなく、

※解約返戻金(その保険を解約した時にもどってくるお金・・ようするに積立型の医療保険)が支払い総額の3割くらいまで戻ってくる医療保険に加入した場合

上記保険会社の商品では支払い金額は6,670円/月になります。

87歳まで生きた時の総支払額は376万円払うことになります
!!

さっきの②の161万と比較してもさらに高い!!

ただ、こちらは解約した時の解約返戻金があります。

解約した時に戻ってくるお金・・解約返戻金は約129万円になります。

祓った金額376万-解約して戻ってきたお金129万円

差し引き247万円。実質的な負担額は247万円です。

この247万円は実質負担する金額ということで実質負担額と言ったりします。

ちなみにに97歳まで生きた時の総支払額は456万円、解約返戻金は109万円。実質負担額347万円になります。

よくよく見てほしい点

【毎月6,670円払う保険なのですが・・】

解約する年齢保険料総支払額解約した時に戻ってくる
お金(解約返戻金)の目安
実質の自己負担
87歳約376万円約129万円約247万円
97歳約456万円約109万円約347万円

通常の積立タイプの保険は、加入期間が長ければ長いほど、解約した時にもらえる解約返戻金は増えるはずなのですが、

医療保険の解約返戻金は一旦ピークになってからそれ以降は長生きするほど解約返戻金が下がっていきます。

これは、保険の解約返戻金が生まれる仕組み上どうしてもこのような受取額の推移になっていってしまうのです。

今回は①~③のケースすべて40歳女性の場合であくまでも概算ですが資産してみました。

①と②の比較でお伝えをしたいのは、

同じ一生涯の保障をしてくれる医療保険なのですが、

早く払い込みを終えた方が毎月の保険料は高いですが、何歳まで生きるかによっては総支払額は少なくすむことがあります。

③は医療保険に関しては、積立をいつまでも長く持っていれば積立部分が増えて行くというわけではないということを知っていただきたいです。

そして重要なのは解約返戻金(たまったお金)は解約をしないともらえません解約をするということは、保険がなくなってしまうということです。

高齢になればそれだけ医療保険をつかう機会も多いので、医療保険に関して積立タイプを選ぶのは私はあまり好みません。高齢になるほど医療保険は解約してはいけない大切なものになるからです。

一生涯支払う医療保険にしても、払込期間を早くしても、積立を選んだとしても、いずれにしても総支払保険料を考えると医療保険は安い買い物ではありません。医療保険選びは自身のライフプランを加味しながら、長い目で検討するのが大切です。

金子賢司

この記事を書いた人

ファイナンシャルプランナー金子 賢司

これまで1000件以上の家計、住宅ローン、生命保険、損害保険、資産運用の相談に携わる。UHBなどのテレビのコメンテーターや確定拠出年金等のセミナーを毎年約50回実施。CFP資格保有者。TLC(生命保険協会認定FP(TLC資格とは))、損害保険トータルプランナー公式HP