祝!確定拠出年金導入企業3万社突破!!
- 2018.06.11
- イデコ、確定拠出年金(DC)401k
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確定拠出年金が普及した背景
確定拠出年金という言葉を個人型確定拠出年金(イデコ)で知ったという人もいるかも知れませんが、企業型の方がはるかに普及が早かったのです。
確定拠出年金導入が増えたのは社員の退職金の支払いが企業には負担だったことが背景にあります。
企業年金の登場
従来の退職一時金制度という制度は特に積立の義務もないため、会社が仮に倒産したとしても全くないか、ほとんど退職金が支払われなくなったりする可能性がありました。
そこで企業年金制度が登場します。
この企業年金制度を使うと、毎月退職金のために積み立てるお金は外部に保全されるため、退職金や年金以外の用途では取り崩せなくなりました。
ちょっと資金繰りが危ないから、退職金取り崩そう・・ということができなくなったのです。
多くの企業は退職した社員に退職金を払う会社の規則を定めています。
退職金の金額は社員年数に応じてですとか役職、等級などによって取り決めている企業がほとんどでした。
ということは20歳で入社した人がいたとしたら、勤続年数によってその社員が60歳までいれば支払う金額はもうほぼ決まっているということになります。
じゃあこの退職金の原資はというと、まず会社が社員ひとりあたり毎月いくらという一定額を取りきめます。
その金額を積み立てて、いろんな商品で運用をしていざ社員が退職するときに運用していたお金の中から支払うという確定給付年金という制度が主流でした。
ところが、運用環境が悪化しなかなか運用がうまくいかなくなって、会社の規定で約束した退職金を払うことが難しくなってくる企業が増えました。「企業年金の積み立て不足」の問題が発生してしまったのです。
確定拠出年金の登場
そこで確定拠出年金が登場しました。確定拠出年金は今から退職金分ということで今から毎月渡すから自分で何とかしてね。その代り将来の退職金はないから。。退職金の前払いというイメージです。
実際は約束している退職金の半分は今まで通り渡すから、残りの半分は前払いで今から払います。全額確定拠出年金で退職金を渡しているケースは少ないですが、少なくとも一部は確定拠出年金で渡すなどで制度が導入された企業の社員は自己責任で毎月退職金を運用することになりました。
そんな!投資なんてやったことないよ・・なんていう社員のためにちゃんと元本割れしない商品も用意されています。(厳密にはそれも安泰ではないのですが・・)
ようするにもう運用利回りが悪くなり、会社で規定に書かれている退職金を用意するのが難しく、規定通り払うには会社が資産を取り崩してお金を用意しなければならなくなってしまったんです。
そこで、いまからお金を渡すから自分で何とかしてね。という制度。それが確定拠出年金です。
その渡す金額は勤続年数や役職によって決まってきまが、企業の規定によって様々な方法があります。
これがまず確定拠出年金という制度が導入となった背景の1つ目です。企業の退職金の積み立て不足の問題が少し解消されたのです。
企業は確定拠出年金を導入していることは採用のアピールポイントになる
従業員にこの制度の説明会をしているとこんな質問があります。
この制度を導入して、うちの会社に何かメリットがあるんですか?
なんていう質問が実は結構あります。
実は、この掛金の分については税金がかかりません。そして社会保険料もかかりません。なのでコスト削減につながります。
そしてもう一つは福利厚生制度として、非常に有効なアピールポイントにしている企業もあります。
確定拠出年金にはポータビリティという制度があります。
40歳の社員が100万円確定拠出年金の資産があり、ある日会社を退職したとします。いままでの退職金であれば、これ以外に何もなかったとしたら、100万円を退職金として受け取って次の会社からはゼロスタートになります。
ところが、この確定拠出年金は退職金を持ち運ぶことができます。次の転職先にも確定拠出年金の制度があれば、この100万円を次の会社に持ち込んで運用を継続できるのです。
もしかしたら、転職する人は確定拠出年金を今までやっていたから、同じ業種や同じ規模でもしどこにしようか迷ったとしたら、確定拠出年金のあるここにしようという選択肢の人もいるかも知れません。優秀な社員に限ってその辺は貪欲な傾向がありますので優秀な社員獲得のためにも福利厚生として備えておきたいということも制度導入が進んでいる一員といえます。
ちなみに次行く会社に確定拠出年金の制度がなくても、継続する方法はあります。(その場合は拠出期間中も手数料がかかります)
いずれにしても政府は2020年までに導入2万社を掲げていましたが、すでに3万を突破したということです。あまり政府目標達成したのを見たことないのですが、達成したということはそれだけメリットがあるということの表れでしょう。
説明会で各企業を回っている私としてはうれしい限りです。
確定拠出年金が登場
その企業年金の積み立て不足の問題を解決したのが、確定拠出年金でした。
確定給付年金は退職金の金額が役職、勤続年数、またはその他の企業のルールであらかじめ決まっていました。
しかし、金額を約束してしまうといざ退職時にお金が足りないと会社の資産(ようするに貯金)の中から持ち出しをして(足して)退職金規定に書かれている約束した金額を払うということもあり得ます。
確定拠出年金はそのリスクをなくしました。
ようするに、お金を一定額払うから、、
あとは自分で運用してね。
ということです。
もちろんそんな無責任なことをすると社員や組合から大ブーイングになりますので、退職金のうち半分はかつての退職金、3割は退職給付年金、そして残り2割は確定拠出年金というように使い分けをしている企業もかなりの割合であります。
でも確定拠出年金とは要はそういうことです。
もう運用が難しくて、企業でお約束した退職金が払えないかも知れないから・・
退職金の分のお金は今から例えば毎月1万円上げるから、運用をして少しでも自己責任で育ててね。
こうすれば、将来の退職金の積み立て不足による資金の持ち出しのリスクを少なくできます。
国が大きく後押しをしている制度
政府は2020年までに2万社を目標にしていましたが、2018年3月末ですでに3万社を超えたようです。
これは確定拠出年金を国が大きく後押ししたという背景もあります。
まずは確定拠出年金の掛金には社会保険料と税金がかからないという点、運用をして運用益には税金がかからない等の税制優遇が一つ。
そしてもう一つは確定拠出年金のポータビリティ制度です。
通常は企業を仮に離職、退職したら退職金を受け取って次の企業からゼロスタートになりますが、この確定拠出年金は例えば30歳までで100万円の積立があって、この人が退職したら100万円退職金として受け取るのではなく、次に行く会社にその100万円を持ち込んで再度次の会社の確定拠出年金制度で運用をしていくことができます。
もし、つぎに行く会社に確定拠出年金の制度がなければ、イデコに移管して運用を続けたりすることができるのです。
これによって、確定拠出年金は優秀な社員に振り向いてもらうための強力な福利厚生制度なので、人不足の現在各企業がこぞって導入を始めました。
私も確定拠出年金の制度説明会等のセミナー講師をさせてもらい始めてもうすぐ3年になります。
少しは役にたてているのかなぁとプチ感無量です。
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