認知症の基礎知識とケアについて

認知症の基礎知識とケアについて

認知症の基礎知識とケアについて

政府は70代の認知症の割合を10年間で1割減らす目標を掲げた大綱の素案を発表しました。

認知症と老化の違い

認知症は年をとるにつれて人の名前が思い出せなくなったりすることはありますが、それは実際私でもあります。認知症と老化の違いがありますので、ちょっとした物忘れなどであの人は認知症だ!と判断はできません。

認知症は老化による自然な変化ではなく

「病気などの原因」によって神経細胞の破壊が進んでいる

ことを言います。

 老化認知症
原因老化による自然な変化脳の神経細胞の病的な変化
もの忘れ体験したことの一部を忘れる(ヒントがあれば思い出す)

体験したことを丸ごと忘れている(ヒントがあっても思い出せない)

判断力低下しない低下する
自覚忘れたことを自覚している忘れたことの自覚がない
日常生活支障はない支障をきたす
進行度合あまり進行しない

少しずつ進行する

認知症はどれくらいの人がなる

厚生労働省ホームページより65歳以上の高齢者で認知症になる人は、

平成32年で631万人

平成42年830万人

平成52年953万人

平成62年1016万人

※各年齢層の認知症有病率が2012年以降も上昇すると仮定した場合は上記のようになると推計されており、毎年急増すると推測されています。

認知症の種類

アルツハイマー型認知症

脳の広い範囲に老人斑や神経原線変化が出現してゆっくりと脳神経が機能低下する。

特に女性に多い認知症で、物忘れから始まり、妄想など広い範囲での障害に進行していきます。

血管性認知症

脳卒中が原因の認知症です。血管が破れたり、つまった場所によって症状が異なります

男性に多くみられる認知症で、もの忘れの他、手足のしびれ・麻痺、感情のコントロールがうまくいかないなどの症状があります。

レビー小体型認知症

脳内にレビー小体という異常なたんぱく質がたまり発症します。

男性に多く、認知機能障害の他、幻視・妄想などが見られます。

前頭側頭型認知症

脳の前頭葉と側頭葉という部分が委縮し、血流が低下することによってさまざまな症状が引き起こされます。

人格が変更したり、非常識な行動が目立つようになったりします。

認知症の症状別の割合

アルツハイマー型66.2%
血管性認知症19.6%
レビー小体型認知症6.2%
前頭側頭型認知症1.1%
その他6.9%

認知症の症状

周辺症状

妄想・無気力・うつ・不安などの感情障害と興奮・暴力などの行動異常があります。

中核症状

記憶障害、理解判断力の障害、失語・失認識・失行などがあります

 

MCI(軽度認知障害)とは

認知症はある日気が付いたら急になるわけではなく、診断技術が進歩することにより、軽度認知障害(MCI)という状態があることが分かってきました。

MCIの段階なら回復する可能性も

MCIの状態は、多少もの忘れがあるとはいえ日常生活にあまり支障はありません。家族も高齢なんだからしょうがないということで見過ごしてしまいがちです。

MCIを放置すると1年目で10%5年目で40%の人が認知症を発症するといわれています。しかし逆にMCIの段階で適切な予防措置を講じれば、回復したり認知症の発症を遅らせることができます。

適切な処置によって26%が健常者へ回復したり、遅らせることがが分かっています。

早めに気づき対策を行えば、認知症への移行を防ぐことができるのです。

MCIはどうやって診断されるのか

MCIや認知症が気になる人は病院の「物忘れ外来」を受診するとよいです。

医療機関では、MCIや認知症を判断するために面接や神経心理テスト、画像診断などの検査を行います。

こんな症状が認知症のサイン

なかなか気づきにくいですし、断定はできませんがこんな行動は認知症のサインと言えます。

お財布の中身がパンパン

通常に買い物に行っているのですが、何を買ったらいくらになるか、手持ちのお金がいくらなのかを記憶できていないので、何を買ってもお札を出すようになっている。→あまりガミガミと注意をしたり、買い物に行かせないのはより進行をさせてしまいます。

おつりがたまらない金額にしたり、帰ってきたら確認をしたり、スーパーが混雑している時間に行かないような工夫が必要です。

思い出話を何回も繰り返す

これは判断が付きにくいですが、これは記憶障害が原因で少し前の記憶は抜け落ちますが、若いときの強く印象に残った出来事は覚えています。

無視をしたり、それもう聞いた!といって話を遮ったりするのは避けましょう。

デイサービスなどで話をする場を提供してあげることも重要です。

料理の味付けがおかしくなった

急に料理に時間がかかる顧客用になったり、味が以上に濃くなったという状態が続いた場合。料理の順番や使う調味料の内容が分からなくなっていることがあります。

おいしくないやなんかおかしんじゃないの?というような指摘は避けましょう。

そっと調味料を手渡してあげるなどの配慮が必要です。

本人も自覚している

MCIや認知症は初期段階では本人も自覚しています。

認知症予防の方法

仮に受診をして、MCIや認知症であることが告知されたとしても、MCIの段階であれば認知症の発症を遅らせたり、健常な状態に戻ったりします。

MCIケアのポイントは以下の通りです

運動をする

適度な運動で認知機能のアップにつながります。

手足の筋肉を動かすための神経は脳と結ばれているため、脳が活性化します。

オススメの運動は、ウォーキング、水中運動やサイクリングなどの有酸素運動などをおしゃべりができる程度の速さで続ける。1日30分の運動を週3~4回が望ましいです。

身近な町内のラジオ体操や山歩き同好会などのイベントに参加するなども効果的です。

食事の改善

魚介類に含まれるDHAやEPA,各種ビタミン、ポリフェノールが効果があります。

DHAやEPAの脂肪は脳の情報伝達をスムーズにしたり、緑黄色野菜や果物に含まれるビタミンC,E、ポリフェノールが含まれており認知症発症リスクを軽減するといわれています。

生活習慣病の改善

糖尿病、脂質異常症、高血圧などは認知症の進行を早めるといわれています。さらにタバコやアルコールの多様も認知症の危険因子なので避ける必要があります。

知的刺激を高める

いわゆる脳トレです。積極的に私生活に脳トレ(運動や文字遊びなど)を取り入れましょう。

キーボード、ギター、読書、トランプやパズル、など。

またはデュアルタスクで脳の活性化。デュアルタスクとは2つの異なることを同時に行うことです。

ウォーキングしながら引き算。(3歩すすむごとに頭の中では100から3ずつ順番に引いていくなど)

社会脳を鍛える

孤立が認知症の症状を悪化させるため、地域の交流会などにできる限り参加するようにしましょう

認知症や介護に関する相談をしたいとき

医療機関

前述した物忘れ外来だったり、認知症外来、老年内科などがあります。精神科、神経科、心療内科などで対応することもあります。

地域包括支援センター

各市町村が設置するセンターで保険師や社会福祉士、ケアマネージャーなどが無料で医療、福祉、介護などの相談に乗ってくれます。

認知症を漠然と悩むのではなく、適切な処置や対応をし、しかるべき機関に相談することで一人で抱え込むことがないようにしましょう。