火災保険は劣化は支払いません
- 2019.09.22
- 火災保険
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火災保険は劣化は支払いません
火災保険は建物や家財が災害などで建物や、家の中のものが損害を受けたときに支払います。よくよく考えたら当たり前なのですが、オーブンが油で汚れてきた、建物の壁にクラック(ひび割れ)ができました。火災保険は適用になりますか?こんな質問が来るのです。
オーブンの油汚れは論外にしても、建物の壁のクラックなどは微妙なケースです。当たり前のようで、いざ自分が当事者になるとつい大丈夫だと思い込んでしまう。
以前このブログでもお伝えしたのですが、今一度、、火災保険どころか、損害保険の大前提として、偶然かつ外来の事故に対してのみ損害保険というのは支払います。
ということは冒頭のオーブン、壁のクラックともに原因不明である場合は劣化による事故とされ、火災保険の支払いを受けられません。
言葉で説明するよりも、具体例を見た方が分かりやすいと思うので以下の事例をご覧ください。
急激かつ外来の事例
どんなことが急激に起こった出来事なのか、急激ではないものは時間をかけて損傷したということなので、劣化とみなされ火災保険は支払われません。
後もう一つ急激の他に、外来という部分なのですが、外来は外部に損傷を受けたということです。
外来というのは主に傷害保険の支払い要件で関連してきますが、傷害保険は医療保険と違うので、ケガしか支払われません。あくまでもケガなので、胃潰瘍や心筋梗塞などで入院したような場合は、傷害保険では支払われません。
医療保険なら対象になります。
事例 | 急激 | 外来 | 理由 |
テレビが火災で焼けた | 〇 | 〇 | 予測もできない外部の損傷のため |
テレビがうつりが悪くなった | × | × | 今後も悪くなることが予想可能、そして内部の損傷のため |
タバコで壁の色が変色した | × | 〇 | 今後も悪くなることが予想可能、外部の損傷の要件は満たしている |
急に発作が起こり3日間入院した | 〇 | × | 発作が急におこったので急激には該当しますが、外部の損傷ではない。 |
急激と認められるためには、災害が原因である必要があります。
風で物が当たって、壁にクラック(ひび)ができた(←火災保険の補償範囲が風災も含まれていれば支払いになります。)
テレビを倒して画面が映らなくなった←不足かつ突発的な事故が補償範囲に含まれていれば支払いになります。
劣化で火災保険が支払いにならないよくあるケース
テレビの映りが悪くなったからといって火災保険が出るなんて期待してないよ。当たり前じゃないか。と思うかも知れません。しかし、世の中にはいろんなケースがあり、たくさんの微妙な事例があります。
賃貸アパートで退去時の壁の黄ばみやタバコの臭いなど
賃貸物件から退去をするときには原則、入居前と同じ状態にして返却をする、「原状回復義務」があります。
しかし、長期間住んでいれば当然、汚れや床に多少の傷などはついてしまうものです。原状回復はどの程度を指すのかというガイドラインは国土交通省によって定められており、経年劣化・減価償却に考慮したうえでの原状回復ですよと定義しています。
5年から6年もすんでいれば、多少の劣化は家主の負担になります。家主の負担はこれ以上無理だとしても、敷金礼金を払っていればその範囲内でたいていは住んでしまいます。
喫煙の臭いの場合はどうでしょうか?
多少ならいいかも知れませんが、たまに入った瞬間にむせかえるような喫煙集がする部屋ってありますよね。明確な基準はありませんが、これも大家の負担で大抵は収まってしまいます。
まれにオーバーすることもありますのでその時は自己負担が発生するかも知れません。
と、、火災保険で大家の負担をオーバーしてしまった。そんな時火災保険で支払いは受けられるでしょうか?
厳密には火災保険ではなく、火災保険についている借家人賠償特約という特約で対応になるのですが、壁や床の劣化やタバコのケースについては火災保険(の特約の借家人賠償特約)では支払われません。
また契約書でこのようなケースが入居者負担と明記されている場合は、この契約が優先されるため、大家から修理代を請求されても文句が言えません。
劣化かどうか微妙だけど支払われたケース
ただ、私は顧客から事故の連絡を受けたときに自分レベルで「それは火災保険ではでません」とは絶対に答えません。きちんと自己担当に事故内容を話してみないとわからないケースはたくさんあります。
たとえば給排水の劣化によって穴があいて水漏れが発生し、壁や床が汚れた。これをピンホールといい、事故の原因としては劣化に近いのですが、これは火災保険の「給排水の水漏れ」という項目まで保障範囲を広げておけば支払い対象になります。
もう一つガラスの熱割れという現象があります。急激な気温の寒暖差でガラスにヒビが生じることがあります。これも前述の急激な事故に該当するかどうかは微妙なのケースですが、火災保険の補償範囲のうち不測かつ突発的事故で支払った事例があります。
実はこれらの損害って、保険会社の社員も知らないことがあります。きちんと事故調査に確認をしないと、せっかく使えたはずの火災保険が使えなかったということもあり得ます。
タバコの臭気や壁やクロスの劣化は災害を理由とした破損ではないので、火災保険の給付を受けるのは難しいでしょう。
火災保険の給付を何回も受けると注意が必要になってきます
これは2019年に入ってから急に始まっているのですが、保険会社も収支が厳しくなり、事故が多い顧客の取り扱いを厳しく管理しています。
1年間で事故を2回、3回おこし、火災保険での支払いを受けた場合。同じ個所を何度も修理し、火災保険を払った。
こんなケースは今まではおとがめなしで、火災保険って火事じゃなくてもいろいろ補償範囲が広くて助かる保険だね。使っても保険料が高くなるわけじゃないし・・。
これは実は今までの話です。
とくにマスコミやメディアを通じて発表したわけでもないのですが、事故が多いお客様は、火災保険の引き受けを1年見合わせたり、通常よりも高い保険料を高く設定する方針に変わっています。
すでに一部の保険会社は、このようにリスクの高い契約には条件をつけて火災保険の引き受けをするように変更されています。
こまごました事故は確かに火災保険は入っていてよかったなと思うことが多い保険ですが、今後は使いすぎると不利益を被る可能性があります。
火災保険は非常に助かる保険です
火災保険は非常に助かる保険です。火災保険なんていらないという人もいるのですが、以外なことで支払われることもあるのでまずは建物や家財など自分が火災保険に加入しているのなら、どんな災害で今の火災保険は支払われるのかは知っておく必要があります。
個々の自己判断は自分でせずに必ず保険会社に相談しましょう。
意外と支払い対象になるものも多いです。ただ、だからといってなんでもかんでも火災保険で支払えるわけではもちろんありません。保険会社の人に力技でゴネるものやめましょうね。
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