医療保険は掛け捨てと積立タイプのどちらが良い
- 2019.05.10
- ファイナンシャルプランナー(FP) 医療保険 生命保険
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医療保険は掛け捨てと積立タイプのどちらが良い
民間で販売している医療保険は病気やケガで入院や最近では通院した場合に手術の内容によって一定額を支払、入院や通院も1日あたり5000円など一定額を保険金として受取れるというものです。
しかし、一概に医療保険というこの商品ですが同じ保障内容でも保険料が全く違うことがあります。
インターネットや新聞広告などに大きく出ている保険料は掛け捨ての最も安い保険料です。
しかも保険会社によって、20代女性や30代男性等も同じ保障だったとしても保険料はバラバラです。
その会社の一番強いところを表示しているだけで表示されていない性別や年齢は優位性が無かったり、他社に負けている可能性がありますので気をつけましょう。
広告でわざわざ他社に負けている料金ゾーンを表示したりはしませんよね。
大きく表示をしている場合はやはり保険料という点では自信があるぜ!ということの表れでもあると思います。
医療保険にも掛け捨てや積立型があります
実は医療保険にも掛け捨てと積立型があります。
掛け捨てとは、その保険を解約したり満期になったとしても1円も戻ってこないタイプです。
積立は解約をすると一定の解約返戻金といってようするにお金が一部戻ってきます。
これは保険会社によってまちまちですが、一番戻ってくる時期で払った金額の5割ー6割くらいが解約すれば戻ってくる。この割合も保険会社によって違います。
・・「解約すれば」ですよ!!
30歳で加入をして、もっともお金が戻ってくる年齢までに100万円払っていたとしたら解約すると約60万はお金が戻ってくるということです。残りの40万円は掛け捨てになります。
はたしてこれを積立と言ってよいのかどうかは疑問ですが、一般的に使われておりますのでここでは使用させていただきます。
当然、掛け捨てよりも保険料は高くなります。
医療保険の積立は万が一の時の保障にもなります。
医療保険に亡くなった時の保障は付けますか?
こう聞かれて、亡くなった時の保障をつけたら積立の医療保険を選択することになります。
この積み立て部分の金額=亡くなった時の保険金になります。
上記の例で行けば60万円は亡くなった時の保険金になります。60万の保障で足りるかどうかはお葬式代にもならないとは思いますが、医療保険にもつけることは可能ですということと、亡くなった時の保障は積み立てた金額とイコールということを知っておいてください。
医療保険のその他のパターン
健康祝い金パターン
掛け捨て、積立以外にも、10年ごとに健康祝い金のような名目で10万や15万をお返しする保険もあります。
これも通常の掛け捨てよりももちろん高くなります。その健康祝い金もお金の出所は自分の保険料です。
健康祝い金がもらえなかった部分は掛け捨てになります。
1万円を10年払い続けて祝い金を10年後15万円受取りました。
120万円トータルで払ったことになりますので、15万を受けとって残りの105万円は掛け捨てです。
医療保険を使わなかったらお金を返すパターン
定められた年齢まで医療保険を使用しなかったらこれまでの金額を全部お返しするパターン。
もし、医療保険を使っていた場合も定められた期間までに例えば10万使用したらその分を差し引いてお返しということになります。
いろんなパターンがありますね。
一概に医療保険を金額の安さだけで決めてはダメということです。
積立型医療保険はできれば避けたほうがいい
これは私の意見ですが、医療保険の積立型は私は避けるべきだと思います。
例えば積立型医療保険の保険料が月で7000円の保険料だった人がいたとします。
おおよそ30歳で加入していたとしたら60歳までに
トータルで払った保険料は
30年×12カ月×7000円=252万円。
解約される最も多い金額の時期が60歳なので、60歳で解約をすると
おおよそ125万円くらいが戻ってきて残りの125万円が掛け捨てになります。
では・・
この積立型の保険と同じ内容を掛け捨てで作ってみると、一概には言えないのですが
おそらく3400円くらいになります。
では3400円を30年払い続けた時のトータルは・・
30年×12カ月×3400円=122万。
この保険は掛け捨てなので、122万円は掛け捨てです。
アレ・・
積立で125万円掛け捨てになったのと、そもそも掛け捨てを選んだ時の金額122万って
大して変わらん!!
若干の差はもちろんありますが、実は積立てを選ぼうが掛け捨てを選ぼうが掛け捨てになる金額はあまり変わらないんです。(←コレ声を大にしていいたい!!)
この仕組みを説明しても、やっぱり積立がいいという選択をする人も多いのですが・・
実は
医療保険に関しては積立の保険料はとんでもない落とし穴があります。
医療保険は一定年齢をすぎると解約返戻金が減ってくる
医療保険は保険の仕組上、ピークの年齢を過ぎると解約した時に帰ってくるお金が減っていきます。
おおよそ60歳を過ぎるころから、徐々に解約した時に戻ってくるお金(解約返戻金)は減ってくるのです。
一生涯の医療費の半分は70歳以上で使う時代です。
繰り返します。積立の医療保険の解約返戻金は、
解約しないと戻ってきません。ということは医療保険がなくなるということです。
60歳でこの保険を解約しますか?
この仕組みを知っていれば、60歳で一旦解約をして、掛け捨ての保険に加入するという選択も可能ですが多くの人は知りません。
また60歳時点で、健康で保険に加入できる身体でなければ新しい保険に加入さえできずこの保険を続けるしかありません。(告知緩和型保険で加入するのは可能かも知れません)
ということは使わなかったらいつか解約すればいいやとおもって、この保険に加入し続けているとただ毎月高い保険料を払っているだけ。になってしまいます。
この保険、例えば98歳まで加入して戻ってくるのは約110万です。
なんだーー結構戻ってくるんじゃん。
ちょっと待ってください。それまでにいくら払ったと思ってるんですか?
30歳から98歳まで約7000円払い続けているんですよ。
トータル払込金額約570万です。
医療保険はお金に余裕があるから病気になっても自腹で何とかするという人以外は、加入したらあまり解約することはあり得ません。
年齢を重ねれば重ねるほど使う可能性が高くなるのが医療保険です。
こと医療保険に関しては解約した時に戻るお金が60歳がピークでだんだん減っていくという仕組みがある以上、私は全くおすすめしません。
※生存祝い金や医療保険が帰ってくる仕組みの商品については、個別の検討が必要です。今回の積立てのケースには当てはまりませんのでご了承願います。
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