雇用継続給付

雇用継続給付

FP試験ではそんなに重要ではありませんが、変更なども多く注目されている部分なので1回分割いて解説させていただきます。

雇用保険の失業給付には4種類あり、前回3つについては解説をさせていただきました。

今回は雇用継続給付についてです。

雇用継続給付

雇用保険の失業給付には4種類あり、その一つの雇用継続給付にはさらに大きく4種類あります。

①高年齢雇用継続基本給付金

②高年齢再就職給付金

③育児休業給付金

④介護休業給付金

①高年齢雇用継続給付金

老齢厚生年金の支給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられたことに伴い、多くの方が定年後から、65歳までの受給開始までに老後資金の支出が急激に増えてしまい、老後資金の貯蓄が激減し、65歳以降の生活にも支障をきたすケースが多くなりました。

そのため、

平成25年4月1日に「希望者は原則65歳まで雇用継続」という「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)の改正が施行されました。

これによって60歳から65歳も収入を得ることで、60歳から65歳の公的年金の空白期間を穴埋めしようとしたのです。

ただ、60歳以降も働き続ける際の賃金は、60歳時賃金の30~70%程度に低下するケースが多く見受けられました。そこで急激な収入の低下で定年後の生活に支障をきたすことのないよう、従来の賃金に近付けるための給付金がこの高年齢雇用継続給付金です。

【高年齢雇用継続給付金の受給要件】

・60歳以上65歳未満であり、なおかつ雇用保険の被保険者であること(短期雇用や日雇いは不可)
・雇用保険の被保険者期間が5年以上あること
(基本手当等を受給したことがある場合は、基本手当の受け取り終了から5年以上経っていること)
・60歳以降の賃金が、60歳時点の75%未満に低下していること
・育児休業給付金や介護休業給付の支給を受けていないこと

【高年齢雇用継続基本給付金の給付額】

みなし賃金日額×30(日)で計算して算出した賃金月額の61%未満・・・支給対象月に支払われた賃金額の15%が支払われる。

みなし賃金日額×30(日)を計算して、61%以上75%未満・・・支給対象月に支払われた賃金額の15%未満を段階に応じて支給

【支給上限額】

支給上限額は34万1015円(毎年8月に変更)

【支給下限額】

支給下限額は1840円。高年齢雇用継続基本給付金の支給額が1840円(毎年8月に変更)を超えない場合には支給されない。

【給付額の事例】

例1:60歳到達時点の賃金月額が30万円の人が、雇用継続されて、賃金が26万に下がった。

26万÷30万=60歳到達時の賃金の87%なので、高年齢雇用継続基本給付の支給はされない。支給されるためには75%未満でなければならない。

例2:60歳到達時点での賃金月額30万円の人が、支給対象月の賃金額が18万円に下がったとき。18万÷30万=60%
高年齢雇用継続基本給付金=18万円×15%=27000円

例3:支給対象月の賃金額が5000円(60歳到達時の賃金の約1.7%)高年齢雇用継続基本給付金の算定額は750円(5000円×15%)になり、750円もらえると思いきや1840円(支給下限額)を下回るので高年齢雇用継続基本給付金は支給されない。

【支給期間】

60歳になったその月から65歳になった月まで

②高年齢再就職給付金

高年齢雇用継続給付金と似ていますが、高年齢雇用継続給付金が務めていた会社に引き続き雇用されるのに対し、高年齢再就職給付金は離職をして、雇用保険の基本手当の支給を受けている人が再就職をしたときに賃金が低下した場合に支給する額を言います。

【支給額】

高年齢雇用継続給付金と同じ計算になります

【支給期間】

雇用保険の基本手当の支給残日数により、その支給期間はことなります。

支給残日数200日以上・・・就職日の属する月から、就職日の翌日から起算して2年を経過する日の属する月まで

支給残日数100日以上・・・就職日の属する月から、就職日の翌日から起算して1年を経過する日の属する月まで

注意点・・高年齢再就職給付金の給付期間が残っていても、65歳になった時点で給付は終了します。

また雇用保険の再就職手当を受け取っている場合は給付を受け取ることができません。

③育児休業給付

【支給要件】

被保険者が以下の要件に該当し、休業のために給与が削減、またはなくなったときに一定の要件を満たせば受取ることができます。

①1歳未満の子を養育するために休業をしたこと

ただし、以下の場合は1歳を経過しても給付が受けられます。

・原則1歳未満の子を持つ親が給付を受けるので、最長で給付は1年間が上限であるが、半年間は妻が育児休業し、半年後から夫が育児休業をした場合1歳2カ月まで給付が受けられます。

また、妻が1年間育児休暇を取得し、重ねて夫が8カ月から育児休暇を取得した場合も1歳2カ月まで支給を受けることができる。

・育児休業を取得したのち、1歳を過ぎても、休業をすることが雇用の継続のためにとくに必要と厚生労働省令で定められている場合は1歳6カ月まで給付を受けることができます。

 

ここまで細かい内容はFP2級でも関係はないのですが、みなし被保険者期間という言葉が気になる場合はこちらをご覧ください。

 

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【支給単位期間】

毎月支給なのですが、月の途中で要件が外れてしまうことがあります。ですので一カ月間どのような状態でいたら、支給を受けられるのかというのがこの支給単位期間になります。

①支給単位期間の初日から末日まで雇用保険の被保険者であること

②公共職業安定所(ハローワーク)が就業をしていると認める日数が10日以下であること

③支給された賃金の額が通常もらっている月給の8割以上もらっていないこと。

※厳密には休業開始時賃金日額×支給日数が通常働いていた月の8割未満であることです。

【支給金額】

・育児休暇開始~180日目:休業開始賃金日額×支給日数×67%
・育児休業開始から181日目以降:休業開始賃金日額×支給日数×50%

月給は休業開始前6ヶ月の平均の金額となります。

例えば、月給30万円人が自分の子供が1歳になるまで休んだ場合…

・~180日目:30万円×0.67=201,000円
・181日目~:30万円×0.5=150,000円

(201,000円×6ヶ月)+(150,000円×6ヶ月) = 2,106,000円

また、上限額は180日目までは285,621円(67%)、181日目以降は213,150円(50%)と定められています。

 

④介護休業給付