確定申告で忘れずに雑損控除か災害減免法か?

確定申告で忘れずに雑損控除か災害減免法か?

各地で台風や地震など自然災害が猛威をふるっています。

保険でカバーできる方もいますし、中には残念ながら保険金額が満足いくもので無かったり、保険が出なかったという方もいるかもしれません。

しかし、そのような方はまだ終わりではありません。

雑損控除を利用しましょう

雑損控除は以下の災害によって自分の資産が損害をうけ、保険金額などで賄い切れなかった場合は損害額を所得から控除することができるという制度です。

日本の税金の仕組みは

課税所得金額×税率=納付すべき税額

で計算します。

課税所得金額とは税金を計算するための基礎となる数字です。

例えば課税所得金額300万であれば

300万×税率10%-控除額97,500円(定額)=202500円

年間で納める税金は202500円になります。

さてここで、この年この人が台風で建物に損害を受け30万の損害を受けた。

残念ながらこの方の場合は、台風での損害は火災保険の対象外になっていたため

火災保険は支払われなかったと仮定します。

そこで雑損控除の出番です。

建物の損害が30万だったとすると、この30万を課税所得金額から引くことができます。

300万から30万を引いて

270万×10%=27万ー控除額97,500円=172500円

決して損害を受けたのは喜ばしいことではありませんが、払うべき税額を少なくすることができました。

個人事業主は確定申告をして、支払う税額を少なくすることはできますし、

サラリーマンならば、年末調整で還付を受けます。

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雑損控除を適用できる災害

以下の災害で建物や家財に損害を受けた場合、雑損控除を適用することができます。

①地震、台風、洪水、冷害、雪害、落雷などの自然災害や、火災などの人為的に起きた災害

②シロアリなどの害虫による災害

③空き巣による盗難や横領被害※

※恐喝や振り込め詐欺などは雑損控除にはなりません。

雑損控除の対象となるもの

生活に必要とされる住宅、家具、衣類など

が損害を受けたときに雑損控除の対象になります。

生活に必要とされるものが対象であり、別荘や、時計、宝石、貴金属などで30万を超えるものは適用できません。

 

雑損控除の金額の計算方法

以下の2つのうち、額の多い金額が控除対象となります。

①損失の金額-保険金などで支払われた金額-所得金額の合計額×10%

②災害によって支出した金額-5万円

全損の場合は時価の100%相当に加え撤去費用や流入土砂の除去費用といった災害関連支出を損害額に加算し、損失額を計算します。

時価1000万の家が全壊した場合、災害関連支出100万かかれば損失額は1100万円。火災保険で800万受け取ったとしたら損失額は300万円になります。

所得500万円の人が損失額300万円を被った場合は

①の計算式なら

損失額1100万-受け取った保険金800万×所得500万×10%=250万円

②災害関連支出100万円-5万円=95万

①の控除額の方が有利になります。

例えば所得3000万の人がいたとしたら、

①なら控除が受けられなくなってしまいます。

年収によっても①よりも②の方が有利になるケースがあります。

時価が分からないとき

建物の時価が分からないときは売買契約書などに書いてある取得価格から減価償却費を引いたものが時価になります。取得価格さえも分からないときは、国税庁が公表している1平方メートルあたりの工事単価に住宅の総床面積をかけて求めます。

 

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災害減免法

損害額が高額になった場合は災害減免法の適用も検討しましょう。

災害減免法適用の条件

以下の条件を満たしたときに災害減免法が適用になります。

災害減免法が適用されると

税額が免除

になります。

①災害にあった年の所得が1000万以下

②災害でうけた損害額が住宅や家財の時価の2分の1以上で、保険金で補填された金額を受け取っても損失がでている場合。

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雑損控除が所得控除に対して、災害減免法は税額免除です。

所得控除と税額控除の違いはこちらを参考にしてください。事例は住宅ローン控除を例にしていますが、

住宅ローン控除も同じ税額控除です。

イデコ(iDeCo)のデメリット。住宅ローン控除は不利といわれる仕組み。

税額を減らす効果としては災害減免法の方が効果的ですが・・

雑損控除と災害減免法どちらがいい?

一時的に税金を減らすことができる効果が高いのは災害減免法ですが、所得控除は3年間にわたって繰り越すことができます。

300万の控除を受けられるとしたら、毎年100万ずつ3年に分けて所得を減らして税額を軽減できます。一方災害減免法を適用すればその年1度で終わりです。

その年のみ、大きな税金の免除を受けるか?数年に分けて税金を少なくする方法を選ぶかは、

災害状況や、被災後の生活環境によって変わってきます。

まずは両社の違いを抑えておきましょう。

なお、災害減免法と雑損控除は同じ災害では併用することができません。

証明書は取っておきましょう

いざというときに手続きで書類が足りないということが無いように、災害関連支出の領収証や失った資産のリストや写真、罹災(りさい)証明書や、盗難証明書などは取っておきましょう。