札幌のFP(ファイナンシャルプランナー)金子 賢司

確定拠出年金セミナー、保険、住宅ローンのセミナー活動をしているFP(ファイナンシャルプランナー)です

認知症事故訴訟(JR東海)によって賠償責任保険の改定が迫られる

   




保険会社を販売する私にとって今回の判決は衝撃的な内容でした。いろいろな事情を考慮した上での判決とはいえ、ひとつの判例が今後いろいろな同様のケースでは参考とされるため、非常に重要な裁判だったと思います。
認知症患者が起こした事故に関しては家族が責任を負わなくていい。
全ての事故がそうなるとはもちろん限りませんが、一つの指標となることは間違いないでしょう。事あるたびにこの判例がだされて、類似のケースでは議論されることになるでしょう。

実はこのようなケースは保険事故では結構あります。高齢者住宅に住んでいて、住んでいる人が認知症。契約する意思能力がない(署名ができない)ので契約者は親族や後見人がすることになります。万が一高齢者住宅で認知症の居住者が火を出して建物を全焼させた場合、入居者の火災保険で対応することになります。その際、手続きは契約者である親族や後見人がする形になります。



では途中から認知症になった場合は?

怖いのはこちらのケースです。高齢者住宅ではなく、通常の住宅で入居の際の火災保険に契約をしていました。当初は全然普通でしたが、急に重度の認知症になり火災や建物に重大な損傷を与えたとします。契約者は認知症のかた本人です。
当然大家さんは本人に訴えても通じませんし、手続きもできません。無理やり手続きさせればコンプライアンス違反です。このような場合、JR東海の事例をもとにすれば、責任は問えず大家さんは火災保険に入っていなければまるまる損害を被ることになります。
大家さんは自分所有の建物が大きな損害を受けても、契約者本人は認知症で責任能力がないうえ、家族に訴えてもその責任を問えない場合があるということが判例となってしまったということです。※今回は家族の事情も考慮はされています。

このような場合は自動車保険や火災保険の特約として付保されている「個人賠償責任特約」あるいは「日常賠償責任特約」は意味を持たなくなってしまうということです。賠償責任保険は被保険者に過失がなければ保険の対象になりません。

賠償で請求できなければ、建物の持ち主は自己負担か、自身で加入している火災保険で対応する必要があります。

損害保険各社はこのような時代背景から、個人賠償責任保険の範囲を家族や後見人に広げるようにしています。毎月の支払い額の割に便利な賠償責任保険ですが、あまり知られていません。その用途の広さと今回のように難しいケースがあるということを是非周知していただきたいと思います。






 - ファイナンシャルプランナー(FP), 損害保険, 賠償責任保険

by Kenji.Kaneko